人文研究見聞録:晴明神社(敦賀市) [福井県]

福井県敦賀市にある晴明神社(せいめいじんじゃ)です。

陰陽師・安倍晴明にゆかりのある神社であり、拝殿内には晴明が祈念と伝わる祈念石が残されています。


神社概要

由緒


案内板によれば、当地には元々 保食神(ウケモチ)を祀る神祠があり、正暦年間(990~994年)陰陽師・安倍晴明が当地に住んで天文・地文を研究し、日夜 この神祠に参詣したと伝えられており、当社には晴明が供えたとされる「晴明の祈念石」が今でも残されています。

また、当社は南北朝の金ヶ崎の戦いや、戦国時代の織田・朝倉の戦乱などの戦火を免れたことから、古くから晴明の霊験あらたかな神社として崇敬を集めており、近代においても第二次世界大戦中の敦賀空襲で被災しなかったそうです。

なお、当社は明治11年(1878年)に社号を晴明神社と改称し、明治24年(1891年)に春玉稲荷を合祀し、大正5年(1916年)に西方の元朝市場より現在地に遷座したとされており、現在では遠方からも晴明ファンが訪れる神社となっています。

祭神


人文研究見聞録:晴明神社(敦賀市) [福井県]

晴明神社の祭神は以下の通りです。

・保食神(ウケモチ):稲荷神社で祀られることが多い神であり、「日本神話」では食料を生み出す神とされる
安倍晴明公(あべのせいめい)平安時代に活躍した陰陽師
・春玉稲荷:稲荷神のことだと思われる

関連知識

祈念石


人文研究見聞録:晴明神社(敦賀市) [福井県]

由緒書に登場する「祈念石」とは、安倍晴明が天文地文学を研究した際に祈念と伝わる石とされています。

なお、説明書によれば この石には以下のような話が伝えられているそうです。

晴明町(相生町)の平山善右ェ衛門 邸内に安倍晴明が保食大神を信仰し、天文地文学を研究した時に祈念した石があった。

ある日、家人が子供のむつき(産着)を この石にかけて干したところ、にわかにお腹が痛くなり、すぐに医者に診てもらうがよくならず、卜者(現在の易者)の易断を乞うたところ、それは邸内にある霊石を汚したからである。速やかに浄水で洗い、塩で清めて、その粗忽を詫びねばならぬと教えられた。

早速、その教えのとおりにすると、はたして腹痛が治ったのである。家人らは その霊威を崇敬して、それよりお祭りを一層厳かに行った。晴明神社に安置されている祈念石がそれである。

晴明神社ライン


人文研究見聞録:晴明神社(敦賀市) [福井県]

晴明神社と言えば、安倍晴明の屋敷跡に建てられた京都の晴明神社が有名です。

この他にも晴明の出生地説の一つである大阪市阿倍野区には、安倍晴明神社があることで知られています。

そして、この敦賀にも晴明神社がありますが、この3社を線で結ぶと ほぼ一直線につながります

この立地には一体どのような意味合いがあるのでしょうか?

境内の見どころ

鳥居


人文研究見聞録:晴明神社(敦賀市) [福井県]

晴明神社の鳥居です。

手水舎


人文研究見聞録:晴明神社(敦賀市) [福井県]

晴明神社の手水舎です。

手水鉢には晴明桔梗(五芒星)が刻まれています。

御神燈


人文研究見聞録:晴明神社(敦賀市) [福井県]

晴明神社の御神燈です。

表面には晴明桔梗(五芒星)がデザインされています。

社殿


人文研究見聞録:晴明神社(敦賀市) [福井県]

晴明神社の社殿です。

屋根の拝み(中央あたり)には、晴明桔梗(五芒星)があしらわれています。

社殿内部


人文研究見聞録:晴明神社(敦賀市) [福井県]

晴明神社の社殿内部です。

今回 訪れた際には、宮司さんに声をかけて貰って中に上がらせて貰いました。

内部には祭壇が設けてあり、その下に祈念石という石が祀られています。

また、晴明像や写真なども飾られていました。

ちなみに、敦賀市には当社以外に晴明関係の神社は無いそうです(県内のおおい町に天社土御門神道はあるが…)。

祈念石


人文研究見聞録:晴明神社(敦賀市) [福井県]

晴明神社の祈念石です。

安倍晴明が祈念したと伝えられる石で、現在では石に向かって投げた賽銭が上に乗ると願いが叶うといわれています。

料金: 無料
住所: 福井県敦賀市相生町8-20(マップ
営業: 8:00~17:00
交通: 敦賀駅(徒歩20分)
matapon
著者: matapon Twitter
「日本神話」を研究しながら日本全国を旅しています。旅先で発見した文化や歴史にまつわる情報をブログ記事まとめて紹介していきたいと思っています。少しでも読者の方々の参考になれば幸いです。