人文研究見聞録:玉宮史跡 [島根県]

島根県松江市の玉造温泉にある玉宮史跡(たまみやしせき)です。

玉作の祖神・櫛明玉命が製玉事業を起こした場所と伝えられ、出雲の玉作部の居住地であったとされています。

また、玉宮神社の跡地でもあり、製玉の遺物が発掘される貴重な古代遺跡として史跡保存地にもなっています。


概要

人文研究見聞録:玉宮史跡 [島根県]

案内板によれば、玉作湯神社の社伝に「当地は玉作の祖神・櫛明玉命(クシアカルダマ)が玉作の事業を起こした地であり、その後は玉作の工人が集落を成して玉作を行った場所である」と伝えられており、かつては玉宮神社(現・玉作湯神社境内社)が鎮座していたとされます。

大正4年(1915年)に玉宮神社が玉作湯神社の境内に遷座してからは、その旧跡として石碑などが残されており、この付近には大連塚(おおむらじづか)と称される古代の玉作連(たまつくりむらじ)の祖を祀る塚も存在しているそうです。

なお、かつては山に沿った平地があって居住に適した地であったとされますが、天正年中(1573~1593年)および万延元年(1860年)の洪水によって地相が変動してしまったとされます。

また、付近の丘陵からは勾玉の材料となるメノウ・水晶などの原石が採掘され、当地の遺跡からは当地産出の原石から造られた勾玉や その未完成品、玉磨砥(砥石)・ルツボなどの製玉の道具や土器片なども発見されていることから、当地の歴史を裏付ける貴重な古代遺跡として、内務省告示第270号の史跡保存地に指定されています。

なお、案内板による説明は以下の通りです。

【玉宮史跡(玉作湯神社有地)】

この地は、上代攻玉の祖神・櫛明玉命が初めて攻玉の業を起こされし地と云われ、古語拾遺にも「櫛明玉命は出雲国玉作の祖なり」と見え、命を御祭神とする玉宮神社の遺跡で、同社境内地及び附近を玉の宮と称する。

同社殿は、大正4年に玉作湯神社境内に奉遷されてより、現今の旧跡を存す。社伝には「この地域は櫛明玉命御起業地にして、初めて攻玉の業を起こし給うに始り、爾後攻玉部の工人集落をなして製玉の業を行われし処」と伝えられ、近くには大連塚と称し、上古玉作連(むらじ)の祖を祀れる塚をも現存する。

この地は、天正年中及び万延元年両度の洪水に玉宮川氾濫し、地相著るしく麥動を来たせるも、往時にありては山に拠りたる平地ありて往居にも適当の地であったと伝えられている。

附近の丘陵には、製玉の原石たる水晶・瑪瑙の類を蔵す。上代において、これ等の原石を以って作られた勾玉(まがたま)を初め、各種玉類並びにその未製品及び玉磨砥、また上代硝子キ・同坩堝片・土器等多数この地域から発見されていることは、これ等上代玉作の由緒を突証している。

而して、この地域は我國史上貴重な上代遺蹟として、大正11年内務省告示第270号をもって史跡保存地に指定されている。

料金: 無料
住所: 島根県松江市玉湯町玉造(マップ)
営業: 終日開放
交通: 玉造温泉駅(徒歩43分、車7分)
matapon
著者: matapon Twitter
「日本神話」を研究しながら日本全国を旅しています。旅先で発見した文化や歴史にまつわる情報をブログ記事まとめて紹介していきたいと思っています。少しでも読者の方々の参考になれば幸いです。