狛犬(こまいぬ)の謎
2015/08/04
神社と言えば「狛犬」が思い浮かびますが、実は狛犬の起源は海外にあるとされています。
そもそも日本の神社自体も、元来 社殿を持たない形式であったとされており、社殿を持つようになった時代も具体的には分かっていないようです。
ちなみに、神話にも登場するほど古いとされる「出雲大社」も、創建当初は現在とは異なる形をしていたとされています。
それでは、神社で馴染みの深い狛犬は一体いつ、どこから来たのでしょうか?その謎に迫ってみたいと思います。
起源
狛犬の起源は、通説では 古代オリエント(中東地域)や古代インドで神域を守護するとされた「獅子(ライオン)」であるとされており、それがシルクロードを渡って日本に伝わって来たとされています。
一説には、中国に渡った遣唐使が中国の皇帝の守護獣であった獅子像を見て、帰朝後に宮中に「獅子座の思想」を持ち込んだとされています。そのため、平安時代には平安京(京都御所)の清涼殿に二対の獅子像が安置されたそうです。
呼称
呼称については、大きく分けて2つの説があるようです。
一つは中国を起源とする説で、「狛」には「周辺の野蛮な地」もしくは「神獣」という意味があるとされ、それより「異国に棲む犬に似た神獣」ということで「狛犬」と呼ばれるようになったという説です。
もう一つは国内を起源とする説で、獅子像が一般的ではなかった時代に庶民の間で「高麗(朝鮮)から伝わった犬」であるということから「高麗犬(こまいぬ)」という俗称が付いたという説です。
普及
通説では平安時代より設置されるようになったとされ、平安京の清涼殿にも獅子像が存在しています。また、平安中期に成立した『うつほ物語』の中にも「狛犬」の名が登場しており、平安時代には認知されていたものと思われます。
そして、鎌倉時代に入ると徐々に設置されるようになり、江戸時代以降に急速に普及していったそうです。そのため、今日には神社で当然のように見られる狛犬は、割と新しいものが多いようですね。
特徴
狛犬は、古代オリエントに端を発し、中国に影響を受けて日本で設置されるようになったとされますが、中国で見られる獅子像は「唐獅子」と呼ばれ、「左右同様の形」をしているのが特徴であるとされています。
反面、国内の「狛犬」は、通常では口を開けた「阿形(あぎょう)」と口を閉じた「吽形(うんぎょう)」で表されることが多いです。これは、仏教において宇宙の始まりと終わりを表す「阿吽(あうん)」を表現しているとされ、国内では奈良時代より「神仏習合」の思想が一般的であったとされることから、仏教の影響を受けた形となったと考えられます。
そのほか、「角があるもの」と「角がないもの」で表されることもあります。このパターンは京都御所の清涼殿に代表する形であり、八坂神社(京都府)や厳島神社(広島県)などの狛犬も、この形で表現されています。この形で表される理由としては諸説ありますが、代表的なものを以下に記載します。
清涼殿の獅子像 |
狛犬と日ユ同祖論
「日ユ同祖論」とは、日本人とユダヤ人(古代イスラエル人)は共通の先祖を持つ兄弟民族であるという説です。簡単に言えば、旧約聖書の創世記に登場するノアの子孫のうち、セムの子孫が神(ヤハウェ)との契約を果たした古代イスラエル人であり、また日本人でもあるとする説です。
その中で語られる説として、「獅子はユダ族の紋章」であり、「一角獣は北イスラエル王国の王族であるヨセフ族の紋章」であり、聖書における契約の民が天皇家と深くかかわることから、これらの象徴として「角があるもの」と「角がないもの」を表現したとするものです。
日本の文化とイスラエルの文化には、言語や祭祀を始めとする多くの共通点があり、その一環として語られている説です。
京都を代表する地名である「祇園」も、イスラエルのエルサレム地方を指す「シオン」と共通するものがあり、八坂神社の狛犬も「角があるもの」と「角がないもの」となっています。
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また、「祇園祭」で奉納される「獅子舞」の獅子も「角があるもの」と「角がないもの」に分かれていることから、何か意図的に意味を含まされているものと考えられます。
祇園祭の獅子舞 |
また、「祇園祭」で奉納される「山鉾」の胴掛けにも、「ダビデ王」や「ピラミッド」など聖書にまつわるデザインのものがあり、京都とイスラエルには繋がりがあるのではないかという説が古くから唱えられています。
鯉山の胴掛けにはダビデ王が描かれる |
しかし、具体的な記録や物証が発表されていないことから、この説は主に都市伝説として語られています。
狛犬とメソポタミア神話
世界最古の神話とされる「メソポタミア神話」には、天地創造や大洪水についての記述もあり、一説には聖書の創世記の源流となった神話であるとも言われています。
この「メソポタミア神話」には、「アン」「エンリル」「エンキ」という主要な三神が登場し、その神々の性格は「日本神話」の「造化三神」に類似しています。このことから、両脇に狛犬が座し、中央に神が鎮座するという神社の形式は、「造化三神」の様相を象徴しており、古代オリエントとの繋がりを示しているという説もあります。
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また、「ギリシア神話」や「ヨーロッパの王室」との繋がりを示す説もあります。詳しくは下記の動画をご覧ください(はやし浩司氏の説)。
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「日本神話」を研究しながら日本全国を旅しています。旅先で発見した文化や歴史にまつわる情報をブログ記事まとめて紹介していきたいと思っています。少しでも読者の方々の参考になれば幸いです。
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