人文研究見聞録:机崎神社 [島根県]

島根県益田市にある机崎神社(つくえざきじんじゃ)です。

奈良時代に創建された古社であり、祭神に宇迦魂命・大国主命・猿田彦命を祀っています。

幕末には、長州戦争の際に長州軍が留まり、対幕府の作戦を立てたとされています。

なお、五穀・産業・開運の御神徳があるそうです。


神社概要

由緒

由緒書によれば、当社は奈良時代の天平年間(729~749年)に現社殿の背後にある稲積山に、五穀・産業・開運の祖神である大国主大神・宇賀魂大神・猿田彦大神を祀ったことに始めたとされます。

平安時代の延長3年(925年)に当地方で稲虫が大発見して五穀が被害に遭った際、当社に祈願すると害虫が去ったとされ、以来 稲積山に社殿を造営して稲積神社と呼称し、祭祀を営んだそうです。

鎌倉時代の建久3年(1192年)に当地方を支配していた益田兼高が七尾城主となり、稲積山を削って平たくし、社殿の修復と社地の献納を行ったとされます。

南北朝時代の興国2年(1341年)には、騒乱時に石見国司・日野邦光が稲積山に砦を築いて戦い、この時に山頂の神社を現在地に遷座して机崎神社と称するようになったそうです。

その後、江戸初期の正保3年(1646年)に本殿と拝殿を焼失すると仮宮が建てられ、江戸中期の明和6年(1771年)に本殿及び舞殿を造営し、江戸後期の文化8年(1811年)に拝殿と鳥居が再建され、昭和期に大修復と大改築が行われて現在に至るとされています。

また、幕末に起こった第二次長州戦争では当地が戦場となり、長州軍が扇原関門に迫った時、長州軍は机崎神社に集結して軍の指揮を執った大村益次郎は稲積山で敵情視察を行ったそうです。

なお、由緒書による説明は以下の通りです。

【机崎神社 由緒】

古傅(言い伝え)によれば、この机崎神社は奈良時代、聖武天皇の天平年間(729~749年)頃 背後の稲積山に五穀・産業・開運の祖神である大国主大神・宇賀魂大神・猿田彦大神を御祭神として奉斎した事に始まる。

平安時代の延長3年(925年)、稲虫が大発生して2年にわたり五穀に大きな被害を与え、住民の生活が困窮に瀕した時、一心なる祈願の結果、神助を蒙り、さしもの悪虫も消滅し去ったのである。歓喜した住民は御神徳に感謝し、稲積山に宮柱を造営して、稲積神社と呼称して盛んなる祭祀を営んだ。

鎌倉時代初期 建久3年(1192年)、益田兼高が七尾城主となるや、稲積の山頂を削平し、更に修復を加え、社地を献納する等して神威いよいよ増した。その後、南北朝時代初期、興国2年(1341年)の騒乱に石見国司・日野邦光が この稲積山頂に砦を築いて戦った。この時、山頂の神社をこの地に遷座し、机崎神社と称するようになった。

正保3年(1646年)、旅人の失火によって本殿と拝殿を焼失したが、そうして御神体を奉遷し、仮宮を建てて祀った。

かくして明和6年(1771年)、本殿及び舞殿を造営し、拝殿と鳥居は文化8年(1811年)に再建されたものであるが、昭和38年本殿を大修復し、更に昭和52年に創建1225年祭を機に拝殿を新改築して今日に至っている。

現在も五穀・産業・開運の守護神として広く崇敬され、その地域は当地方は もとより遠く山口県にまで及んでおり、毎年の例祭の外、植付祭・いのこ祭の傅祭が今も行われている。

【机崎神社 益田戦争 長州軍陣地】

幕府は慶応2年(1866年)第二次長州戦争の軍を起こし、四境より戦端が開かれ石州口の戦場となったのが益田でした。幕府軍は浜田藩、福山藩の連合軍で、6月17日の朝、萬福寺と勝達寺(天石勝神社)、医光寺に布陣しました。

村田蔵六(大村益次郎)率いる長州軍は幕府軍の動きを読み、16日には扇原関門に迫りました。扇原関門の関守は浜田藩士岸静江国治、少数の士卒そして農民兵16名のみです。藩命を遵守した岸静江は関門を迫る長州軍を断固拒絶し、槍を構えた立ち姿のまま銃弾を浴び絶命したといいます。

藩境の扇原関門を突破した長州軍は机崎神社に集結し、指揮をとった村田蔵六が傍らの稲積山で敵情視察をし、幕府軍の動静を探り、作戦を立てたと言われています。

祭神

机崎神社の祭神は以下の通りです。

・宇迦魂命(ウカノミタマ):稲荷神であり、スサノオの御子神とされる
大国主命(オオクニヌシ)「日本神話」で国造りを成したとされる神で、出雲大社の主祭神として有名
・猿田彦命(サルタヒコ):天孫・瓊々杵尊が降臨した際に道案内した神

境内社

人文研究見聞録:机崎神社 [島根県]

机崎神社の境内社は以下の通りです。

・稲荷社

境内の見どころ

鳥居

人文研究見聞録:机崎神社 [島根県]

机崎神社の鳥居です。

石碑

人文研究見聞録:机崎神社 [島根県]

机崎神社の石碑です。

拝殿

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机崎神社の拝殿です。

拝殿内

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机崎神社の拝殿内です。

中には長州戦争で指揮を執った大村益次郎の写真などが飾られています。

御朱印

人文研究見聞録:机崎神社 [島根県]

机崎神社の御朱印は、希望者がセルフで持ち帰られるようになっています。

なお、初穂料は気持ちで良いとされ、中には御朱印と由緒書が入っています。

料金: 無料
住所: 島根県益田市土井町5-56(マップ
営業: 不明
交通: 益田駅(徒歩25分)

公式サイト: http://www.all-iwami.com/
matapon
著者: matapon Twitter
「日本神話」を研究しながら日本全国を旅しています。旅先で発見した文化や歴史にまつわる情報をブログ記事まとめて紹介していきたいと思っています。少しでも読者の方々の参考になれば幸いです。