人文研究見聞録:熱田神宮 [愛知県]

愛知県名古屋市熱田区にある熱田神宮(あつたじんぐう)です。

「日本神話」において、スサノオに退治されたヤマタノオロチの尾から出てきた神剣「草薙剣(くさなぎのつるぎ)」を神体としており、それに宿るとされる熱田大神(あつたのおおかみ)を主祭神として祀っています。

創祀は古く、景行天皇43年(1世紀頃)に草薙剣を奉斎鎮守するため、宮簀媛命(ミヤスヒメ)によって創建された古社であると伝えられており、その時代に活躍した日本武尊(ヤマトタケル)も相殿に祀っています。


神社概要

由緒

人文研究見聞録:熱田神宮 [愛知県]

熱田神宮の創祀は、三種の神器の一つである草薙剣(くさなぎのつるぎ)の奉斎に始まるとされています。その経緯については、以下の通りです。

第12代景行天皇の時代、日本武尊(ヤマトタケル)が東征(東国の平定)の帰路に尾張へ滞在した際に、尾張国造乎止与命(オトヨ)の娘・宮簀媛命(ミヤスヒメ)と結婚しました。

その際、草薙剣を妃の手元へ留め置いたとされ、後に日本武尊が伊勢国の能褒野(のぼの)で亡くなると、宮簀媛命は熱田に社地を定めて草薙剣を奉斎して鎮守したのが始まりと云われています。

なお、上記については『記紀神話』にも記されており、それによれば、伊勢神宮の斎宮である倭姫命(ヤマトヒメ)がヤマトタケルの東征の折に草薙剣を渡し、ヤマトタケルの死後に熱田に移ったと記されています。

祭神

人文研究見聞録:熱田神宮 [愛知県]

熱田神宮の際神は以下の通りです。

主祭神

・熱田大神(あつたのおおかみ):御神体・草薙神剣に宿る天照大神の神霊とされる。
 → 御神体・草薙神剣(くさなぎのみつるぎ):三種の神器の一つであり、草薙剣・天叢雲剣とも呼ばれる

相殿神

・天照大神(アマテラス):三貴子の一柱であり、皇室の祖神に当たる
・素盞嗚尊(スサノオ):三貴子の一柱であり、ヤマタノオロチを退治して天叢雲剣(草薙剣)を高天原に献上した
・日本武尊(ヤマトタケル):景行天皇の皇子であり、草薙剣を持って東征を成功させた
・宮簀媛命(ミヤスヒメ):日本武尊より預けられた草薙剣を奉斎鎮守するため熱田神宮を建立した
・建稲種命(タケイナダネ):ミヤスヒメの兄であり、東征の際にはヤマトタケルの副将軍を担ったとされる

関連社

八剣宮

人文研究見聞録:熱田神宮 [愛知県]

熱田神宮の別宮・八剣宮(はっけんぐう)です。

飛鳥時代末期(708年)に宝剣を新たに鋳造し、それを祀る社として創建されたそうです。

一の鳥居(南門)の付近に位置しており、本宮と同じ祭神を祀っています。

御田神社

人文研究見聞録:熱田神宮 [愛知県]

熱田神宮の摂社・御田神社(みたじんじゃ)です。

祭神に大年神(オオトシカミ)を祀っており、五穀豊穣の守護神として尊崇されています。

上知我麻神社

人文研究見聞録:熱田神宮 [愛知県]

熱田神宮の摂社・上知我麻神社(かみちかまじんじゃ)です。

祭神に尾張国造の乎止與命(オトヨ)を祀っており、熱田の地主神として尊崇されています。

また、「知恵の文殊様」としても崇められ、入試の合格祈願のための参拝者が多いとされます。

熱田神宮の関連社一覧

熱田神宮の別宮・摂社・末社の一覧は以下の通りです。

【別宮】

八剣宮:熱田大神を祀る

【摂社】

境内

・一之御前神社:天照大神荒魂を祀る
・日割御子神社:天忍穂耳尊を祀る
・孫若御子神社:天火明神を祀る
・南新宮社:素盞嗚尊を祀る
・御田神社:大年神を祀る
・下知我麻神社:真敷刀俾命・乎止與命を祀る
 ・大国主社:大国主命を祀る
 ・事代主社:事代主命を祀る
・龍神社:吉備武彦命、大伴武日命を祀る

境外

・高座結御子神社:高倉下命を祀る
 ・鉾取社:鉾取神を祀る
 ・新宮社:素盞嗚尊を祀る
 ・御井社:御井神を祀る
 ・稲荷社:宇迦之御魂神を祀る
・氷上姉子神社:宮簀媛命を祀る

【末社】

境内

・元宮:宮簀媛命を祀る
・神明社:天照大神を祀る
・玉根社:少彦名命を祀る

境外

・朝苧社(元熱田):火上老婆靈(うばのみたま)を祀る
・青衾神社:天白王月神 天道日女命を祀る
・松姤神社:宮簀媛命を祀る

境内の見どころ

こころの小径

人文研究見聞録:熱田神宮 [愛知県]

熱田神宮のこころの小径(こみち)です。

本宮の西に入口があり、この小径を進むと清水社の湧水に通じています。

その清水社には、熱田大神が絶世の美女と謳われた楊貴妃となったとの言い伝えも残されているそうです。

なお、この小径にはその他の社殿も数多くあり、熱田神宮で最も神聖な場所とされています。

信長塀

人文研究見聞録:熱田神宮 [愛知県]

熱田神宮の信長塀(のぶながべい)です。

桶狭間の戦いの折、織田信長が熱田神宮に戦勝祈願したとされ、戦勝後に寄進されたと云われています。

眼鏡之碑

人文研究見聞録:熱田神宮 [愛知県]

熱田神宮の眼鏡之碑(めがねのひ)です。

この像は、玉祖命(櫛明玉命)を祖神として崇拝する名古屋眼鏡商業協同組合によって昭和57年に奉納された銅像とされ、眼鏡業に因んで縄文時代の眼鏡(遮光器)を付けているとされる遮光器土偶の姿をモチーフにしているんだそうです。

なお、熱田神宮にまつわる尾張国造の祖先は天火明命(ホアカリ)とされていますが、この神は神武以前に大和を支配していた饒速日尊(ニギハヤヒ)と同一であるとも云われています。

そのニギハヤヒに仕えた長髄彦(ナガスネヒコ)は、神武東征で主権が譲渡された後に処刑されて亡くなったとされますが、青森県の歴史が記される古史古伝『東日流外三郡誌』によれば、兄の安日彦(アビヒコ)とともに東北の津軽へ逃げのび、そこで荒覇吐(アラハバキ)を祀る王国を創ったと云われています。

その荒覇吐(アラハバキ)の図として「遮光器土偶」が描かれているのですが、「眼鏡之碑」との関連性はあるのでしょうか?

料金: 無料
住所: 愛知県名古屋市熱田区神宮1-1-1(マップ
営業: 終日開放、無休
交通: 神宮前駅(徒歩7分)、JR熱田駅(徒歩11分)

公式サイト: http://www.atsutajingu.or.jp/jingu/
matapon
著者: matapon Twitter
「日本神話」を研究しながら日本全国を旅しています。旅先で発見した文化や歴史にまつわる情報をブログ記事まとめて紹介していきたいと思っています。少しでも読者の方々の参考になれば幸いです。