八坂神社(祇園さん・八坂さん) [京都府]
2015/07/28
京都市東山区祇園町にある八坂神社(やさかじんじゃ)です。
全国にある八坂神社や素戔嗚尊を祭神とする祇園社の総本社であり、地元では「祇園さん」の名で親しまれています。
また、毎年7月中に行われる祇園祭(ぎおんまつり)を主催していることでも有名です。
神社概要
由緒
社伝によれば、斉明天皇2年(656年)に高句麗から副使として派遣された伊利之使主(いりしおみ)が、新羅国の牛頭山に座していた素戔嗚尊を山城国愛宕郡八坂郷の地に奉斎したことに始まるとされています。
また、一説には貞観18年(876年)に南都の僧円如が建立し、堂に薬師千手等の像を奉安したとされ、その年の6月14日に天神(祇園神)が東山の麓の祇園林に垂跡したことに始まるとも云われているそうです。
このように、創祀には諸説あるとされますが、当社は古くは 感神院 または 祇園社 と称していたとされ、慶応4年(1868年)に神祇官らによって八坂神社に改称されたことにより、現在の名称が定まったとされています
なお、当社にはいくつかの不思議があり、それらは現在では「八坂神社の七不思議」として知られています。
八坂神社の七不思議についてはこちらを参照:【八坂神社の七不思議】
祭神
八坂神社の祭神は以下の通りです。
【中御座】
・素戔嗚尊(スサノヲ):三貴子の一柱であり、出雲の祖神
【東御座】
・櫛稲田姫命(クシイナダヒメ):スサノオの后神
→ 足名椎命(アシナヅチ)・手名椎命(テナヅチ)の娘
・神大市比売命(カムオオイチヒメ):スサノオの妃神
・佐美良比売命(サミラヒメ):スサノオの妃神
→ 『記紀』には登場しないが、須勢理毘売命の母神とされる(磐坂彦尊の母とも)
→ 速佐須良比売(ハヤサスラヒメ)の別名という説がある
・蛇毒気神(だどくけのかみ):不詳
→ 沙渇羅龍王の娘、もしくはヤマタノオロチが変化したものという説がある
【西御座】
・八柱御子神(やはしらのみこがみ):素戔嗚尊の8柱の御子神
→ 八島篠見神(ヤシマジヌミ):『古事記』では大国主の祖、『旧事紀』では大己貴命の別名とされる
→ 五十猛神(イタケル):『日本書紀』で素戔嗚尊と共に天下り、日本に樹木の種を植えて廻った神とされる
→ 大屋比売神(オオヤヒメ):五十猛命の妹神で、抓津姫命の姉神
→ 抓津比売神(ツマツヒメ):五十猛命、大屋津姫命の末妹神
→ 大年神(オオトシ):『古事記』では神大市比売命の子神とされる
→ 宇迦之御魂神(ウカノミタマ):稲荷神として知られ、『古事記』では神大市比売命の子神とされる
→ 大屋毘古神(オオヤビコ):五十猛神の別名という説がある
→ 須勢理毘売命(スセリビメ):大己貴命の后神(佐美良比売命の子神とされる)
・稲田宮主須賀之八耳神(イナダノミヤヌシスガノヤツミミ):須賀宮の首長になったアシナヅチ・テナヅチを指す
・素戔嗚尊(スサノヲ):三貴子の一柱であり、出雲の祖神
【東御座】
・櫛稲田姫命(クシイナダヒメ):スサノオの后神
→ 足名椎命(アシナヅチ)・手名椎命(テナヅチ)の娘
・神大市比売命(カムオオイチヒメ):スサノオの妃神
・佐美良比売命(サミラヒメ):スサノオの妃神
→ 『記紀』には登場しないが、須勢理毘売命の母神とされる(磐坂彦尊の母とも)
→ 速佐須良比売(ハヤサスラヒメ)の別名という説がある
・蛇毒気神(だどくけのかみ):不詳
→ 沙渇羅龍王の娘、もしくはヤマタノオロチが変化したものという説がある
【西御座】
・八柱御子神(やはしらのみこがみ):素戔嗚尊の8柱の御子神
→ 八島篠見神(ヤシマジヌミ):『古事記』では大国主の祖、『旧事紀』では大己貴命の別名とされる
→ 五十猛神(イタケル):『日本書紀』で素戔嗚尊と共に天下り、日本に樹木の種を植えて廻った神とされる
→ 大屋比売神(オオヤヒメ):五十猛命の妹神で、抓津姫命の姉神
→ 抓津比売神(ツマツヒメ):五十猛命、大屋津姫命の末妹神
→ 大年神(オオトシ):『古事記』では神大市比売命の子神とされる
→ 宇迦之御魂神(ウカノミタマ):稲荷神として知られ、『古事記』では神大市比売命の子神とされる
→ 大屋毘古神(オオヤビコ):五十猛神の別名という説がある
→ 須勢理毘売命(スセリビメ):大己貴命の后神(佐美良比売命の子神とされる)
・稲田宮主須賀之八耳神(イナダノミヤヌシスガノヤツミミ):須賀宮の首長になったアシナヅチ・テナヅチを指す
祇園祭
八坂神社の祭礼である祇園祭(ぎおんまつり)は、明治までは「祇園御霊会」と呼ばれており、平安時代に起こった疫病の流行を怨霊の祟りと捉える「御霊信仰」の思想に基づいて、怨霊を鎮めて祀り守護神とする「御霊会(ごりょうえ)」を起源とする祭礼であるとされています。
毎年7月に1ヵ月かけて行われる祭りであり、八坂神社内では神楽や舞が奉納され、神幸行列や花傘巡幸などが行われます。また、7月17日と7月24日には、祇園周辺で山鉾巡行が行われ、全国的にも有名な祭りとして知られています。
詳しくはこちらの記事を参照:【祇園祭】
形代
八坂神社には人形に災難や病気を移して厄払いを行う「形代(かたしろ)」というものがあります。形代は、神霊が依り憑く 依り代の一種であり、厄除を行う本人の息を吹きかけて使用するそうです。
おそらく、今宮神社の「やすらい人形」と同様に御霊会に関連する鎮疫儀礼の一種であると考えられます。
境内社
摂社
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八坂神社の摂社は以下の通りです。
・疫神社:蘇民将来を祀る
・悪王子社:素戔嗚尊の荒魂を祀る
→ 悪王子の「悪」とは「強力」の意とされており、一般的に捉えられる「悪い」とは意味が異なるとされる
→ 元は京都市下京区の「悪王子町」に祀られていたとされる(現在は「元悪王子社」が建っている)
・冠者殿社:天照大御神との誓約時の素戔嗚尊の御気を祀る
・悪王子社:素戔嗚尊の荒魂を祀る
→ 悪王子の「悪」とは「強力」の意とされており、一般的に捉えられる「悪い」とは意味が異なるとされる
→ 元は京都市下京区の「悪王子町」に祀られていたとされる(現在は「元悪王子社」が建っている)
・冠者殿社:天照大御神との誓約時の素戔嗚尊の御気を祀る
末社
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八坂神社の末社は以下の通りです。
・北向蛭子社:事代主神を祀る
・大神宮社:天照大神・豊受大神を祀る
・美御前社:多岐理比売命・多岐津比売命・市杵島比売命を祀る
・大国主社:大国主神・事代主神・少彦名命を祀る
・玉光稲荷社:宇迦之御魂神を祀る(玉光稲荷社権殿の「命婦稲荷社」と二社で一体とされている)。
・日吉社:大山咋神・大物主神を祀る
・刃物神社:天目一箇神を祀る
・厳島社:市杵島比売命を祀る
・太田社:猿田彦命・宇受女命を祀る
・大年社:大年社・巷社神を祀る
・十社
→ 多賀社:伊邪那岐命を祀る
→ 熊野社:伊邪那美命を祀る
→ 白山社:白山比咩命を祀る
→ 愛宕社:伊邪那美命、火産霊命を祀る
→ 金峰社:金山彦命、磐長比売命を祀る
→ 春日社:天児屋根命、武甕槌神、斎主神、比売神を祀る
→ 香取社:経津主神を祀る
→ 諏訪社:健御名方神を祀る
→ 松尾社:大山咋命を祀る
→ 阿蘇社:健磐龍神、阿蘇都比咩命、速甕玉命を祀る
・五社
→ 八幡社:応神天皇を祀る
→ 竈神社:奥津日子神、奥津比売神を祀る
→ 風神社:天御柱命、国御柱命を祀る
→ 天神社:少彦名命を祀る
→ 水神社:高龗神、罔象女神を祀る
・大神宮社:天照大神・豊受大神を祀る
・美御前社:多岐理比売命・多岐津比売命・市杵島比売命を祀る
・大国主社:大国主神・事代主神・少彦名命を祀る
・玉光稲荷社:宇迦之御魂神を祀る(玉光稲荷社権殿の「命婦稲荷社」と二社で一体とされている)。
・日吉社:大山咋神・大物主神を祀る
・刃物神社:天目一箇神を祀る
・厳島社:市杵島比売命を祀る
・太田社:猿田彦命・宇受女命を祀る
・大年社:大年社・巷社神を祀る
・十社
→ 多賀社:伊邪那岐命を祀る
→ 熊野社:伊邪那美命を祀る
→ 白山社:白山比咩命を祀る
→ 愛宕社:伊邪那美命、火産霊命を祀る
→ 金峰社:金山彦命、磐長比売命を祀る
→ 春日社:天児屋根命、武甕槌神、斎主神、比売神を祀る
→ 香取社:経津主神を祀る
→ 諏訪社:健御名方神を祀る
→ 松尾社:大山咋命を祀る
→ 阿蘇社:健磐龍神、阿蘇都比咩命、速甕玉命を祀る
・五社
→ 八幡社:応神天皇を祀る
→ 竈神社:奥津日子神、奥津比売神を祀る
→ 風神社:天御柱命、国御柱命を祀る
→ 天神社:少彦名命を祀る
→ 水神社:高龗神、罔象女神を祀る
関連知識
当社の祭神について
現在の主祭神は素戔嗚尊(スサノオ)・櫛稲田姫命(クシナダヒメ)・八柱御子神(スサノオの8柱の子)であり、素戔嗚尊の妻2柱と櫛稲田姫命の父母神を配祀しています。
しかし、明治以前の主祭神は、牛頭天王(ゴズテンノウ)・頗梨采女(ハリサイニョ)・八王子(ハチオウジ)であり、神仏分離令という神道と仏教を分けて区別させる政策によって、現在の祭神とされたようです。
しかし、そもそも牛頭天王は、素戔嗚尊の本地(本来の姿)とされる習合神であることから、祭神が替えられたというわけではなく、神道における名前に変わったという認識が適当であると言えるでしょう。
牛頭天王について
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牛頭天王(ゴズテンノウ)とは、仏教の天部(天界に住む者)であり、釈迦の生誕地に因む祇園精舎の守護神とされています。
しかし、その起源は明らかではなく、神話や伝承によれば、インド神話のインドラ神の化身(別名とも)、または日本神話の素戔嗚尊(スサノオ)の本地(本来の姿)、または薬師如来の垂迹(仮の姿)であるとされており、多くの神仏と同一とされる習合神であるとされています。
また、牛頭天王の名は新羅の牛頭山に由来すると云われています。日本神話においても、スサノオは出雲以前に新羅に天降り、曾尸茂梨(ソシモリ)に辿りついたという説話があることから、共に新羅経由で日本に入ってきたという点で二神は一致します。
また、牛頭天王は日本各地に伝わる「蘇民将来」の説話の中に登場しており、数多くのバリエーションがある中で、説話中の性格が一致する武塔神(むとうしん)と同一とされ、この説話において武塔神自身が「吾(われ)は速須佐能神(すさのおのかみ)なり」と称していることから、この点でもスサノオと一致します。
また、牛頭天王の別名とされるインド神話のインドラ神は、ヴァジュラ(金剛杵)を以って凶暴な大蛇であるヴリトラを倒したという説話があることから、日本神話におけるスサノオのヤマタノオロチ退治と性格が一致します。
また、妻や子の数(8柱)などもスサノオの伝承と一致する点が多く、そうした性格の同一性からスサノオと同一神とされているようです。なお、上記に関連する神々も八坂神社の本殿および境内社に祀られています。
詳しくはこちらの記事を参照:【牛頭天王とは?】
蘇民将来について
蘇民将来(そみんしょうらい)とは、八坂神社の摂社・疫神社の祭神であり、スサノヲとのやり取りにおいて夏越祓で行われる「茅の輪くぐり」のきっかけとなったという以下のような説話があります。
蘇民将来の説話
昔、祖神(おやがみ)が諸国を巡っていたとき、日暮れに宿を求めていた。
裕福な巨旦将来は宿を貸すのを拒んだが、貧しい蘇民将来は祖神に宿を貸し、さらに食事まで出して手厚くもてなした。
すると祖神は「我はハヤスサノヲの神なり」と名乗り、後年疫病が蔓延しても「茅の輪をつけて『蘇民将来の子孫なり』と名乗れば、災厄から免れよう」と災厄免除の約束して去った。
後に巨旦将来の子孫は皆絶えたが、蘇民将来の子孫は無事に繁栄した。
昔、祖神(おやがみ)が諸国を巡っていたとき、日暮れに宿を求めていた。
裕福な巨旦将来は宿を貸すのを拒んだが、貧しい蘇民将来は祖神に宿を貸し、さらに食事まで出して手厚くもてなした。
すると祖神は「我はハヤスサノヲの神なり」と名乗り、後年疫病が蔓延しても「茅の輪をつけて『蘇民将来の子孫なり』と名乗れば、災厄から免れよう」と災厄免除の約束して去った。
後に巨旦将来の子孫は皆絶えたが、蘇民将来の子孫は無事に繁栄した。
詳しくはこちらの記事を参照:【蘇民将来とは?】
境内の見どころ
鳥居
八坂神社の鳥居です。
南楼門
八坂神社の南楼門です。
狛犬
八坂神社の狛犬です。
西楼門
八坂神社の西楼門です。
オブジェ
八坂神社の境内には様々なオブジェがあります。
舞殿
八坂神社の舞殿です。
神楽や舞の奉納が行われる施設であり、祇園祭の間には石見神楽(いわみかぐら)や鷺舞(さぎまい)および、様々な伝統芸能が奉納されます。
本殿
八坂神社の本殿です。
承応3年(1654年)に祇園造で造られた建物であり、重要文化財に指定されています。
料金: 無料
住所: 京都府京都市東山区祇園町北側625番地(マップ)
営業: 終日開放
交通: 祇園四条駅(徒歩9分)、河原町駅(徒歩12分)
公式サイト: http://www.yasaka-jinja.or.jp/
住所: 京都府京都市東山区祇園町北側625番地(マップ)
営業: 終日開放
交通: 祇園四条駅(徒歩9分)、河原町駅(徒歩12分)
公式サイト: http://www.yasaka-jinja.or.jp/
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「日本神話」を研究しながら日本全国を旅しています。旅先で発見した文化や歴史にまつわる情報をブログ記事まとめて紹介していきたいと思っています。少しでも読者の方々の参考になれば幸いです。
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