人文研究見聞録:猿田彦神社(山ノ内庚申) [京都府]

京都市右京区にある猿田彦神社(さるたひこじんじゃ)です。

道ひらきの神として知られる猿田彦大神を祀る神社であり、腰痛・神経痛・中風の平癒に御利益があるとされています。


神社概要

由緒

かつては辻に立つ道祖神が信仰されていたものであり、平安期に天台宗の開祖・最澄(さいちょう)が座禅のために霊窟を求めて探して歩いていたところ、猿田彦大神が現れて当地を示しため、座禅石の傍らに猿田彦大神を祀ったことに始まるとされます。

また、嵯峨天皇の行幸の際に猿田彦が道案内を務めたたことから、天皇の勅命によって社殿が建立されたそうです。なお、元は安井村松本領に社殿があり、さらに境内には山伏修験者の行場があったとされ、愛宕詣りする人々は滝に打たれて身を清めてから参詣したとされています。

その後、明治期に現在地に遷座して現在に至るとされており、当社は別名 山ノ内庚申(やまのうちこうしん)とも呼ばれて京洛三庚申の一社に数えられる名社であると言われています。

祭神

猿田彦神社の祭神は以下の通りです。

主祭神

・猿田彦大神(サルタヒコ):「日本神話」で天孫・瓊々杵尊の道案内をしたとされる神
 → 『日本書紀』によれば、鼻が高く、天狗のような姿をしていたとされる

境内社

人文研究見聞録:猿田彦神社(山ノ内庚申) [京都府]
大国主社
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秋葉社
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稲荷社

猿田彦神社の境内社と祭神は以下の通りです。

・大国主社:大国主命(オオクニヌシ)を祀る
・秋葉社:秋葉明神(あきはみょうじん)を祀る
・稲荷社:稲荷大神(いなりおおかみ)を祀る

仏像群

人文研究見聞録:猿田彦神社(山ノ内庚申) [京都府]

猿田彦神社の境内には、修験道の行場の名残として以下の仏像が祀られています。

・役行者尊
・聖観世音菩薩
・不動明王
・延命地蔵大菩薩
・延命地蔵大菩薩

関連知識

猿田彦大神(サルタヒコ)とは?

人文研究見聞録:猿田彦神社(山ノ内庚申) [京都府]

猿田彦神社の主祭神は、社名の通り猿田彦大神(サルタヒコ)祀っています。

サルタヒコと言えば伊勢の猿田彦神社の祭神として有名であり、「日本神話」の天孫降臨の際に「天孫・ニニギノミコトの道案内を務めた」という説話から「みちひらきの神」と呼ばれ、現在では「人生の道案内の神」として尊崇されています。

また、手塚治虫のマンガ「火の鳥シリーズ」にも登場していることでも有名です。

しかし、神話における登場シーンは少なく、「天孫を道案内するために現れた 容姿が天狗(テング)に似た国津神であり、天孫降臨以降はアメノウズメと共に行動し、伊勢で漁をしている時に貝に足を挟まれて海中に沈んだ」といった程度の情報しか記されていません。

そのわりには日本全国の神社の末社などで数多く祀られており、地域によっては田の神道祖神としても祀られている神様です。そのため、よく祀られているわりには 実体があまり分かっていないという「謎の多い神」として知られています。

神使の猿

人文研究見聞録:猿田彦神社(山ノ内庚申) [京都府]
人文研究見聞録:猿田彦神社(山ノ内庚申) [京都府]
人文研究見聞録:猿田彦神社(山ノ内庚申) [京都府]

京都の猿田彦神社の神使(神の使い)は「」とされています。

そのため本殿付近には多くの猿像が安置されており、由緒書には「見ざる、言わざる、聞かざるの三神猿は、世の諸悪を排除して開運招福をもたらす崇高な御神教を示すものである」と紹介されています。

ちなみに伊勢周辺での猿田彦大神の神使は「」とされており、京都の猿田彦神社とは異なるようです。

境内の見どころ

鳥居

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猿田彦神社の鳥居です。

拝殿

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猿田彦神社の拝殿です。

本殿

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猿田彦神社の本殿です。

神木

人文研究見聞録:猿田彦神社(山ノ内庚申) [京都府]

猿田彦神社の神木です。

料金: 無料
住所: 京都府京都市右京区山ノ内荒木町3(マップ
営業: 終日開放
交通: 嵐電天神川駅(徒歩4分)、太秦天神川駅(徒歩5分)、嵐電山ノ内駅(徒歩7分)
matapon
著者: matapon Twitter
「日本神話」を研究しながら日本全国を旅しています。旅先で発見した文化や歴史にまつわる情報をブログ記事まとめて紹介していきたいと思っています。少しでも読者の方々の参考になれば幸いです。