人文研究見聞録:世木神社(世木坐渡会氏神社) [三重県]

三重県伊勢市にある世木神社(せぎじんじゃ)です。

伊勢市駅の傍に鎮座しており、祭神に天牟羅雲命(あめのむらくものみこと)をはじめとする5柱の神を祀っています。


神社概要

由緒

創建年代は不詳ですが、古くから当地に鎮座する世木社という名の古社であり、外宮の禰宜を務める度会氏(わたらいし)の遠祖を奉斎した神社であるとされています。

なお、「世木」は水をせき止める「堰(せき)」に由来しており、古くは宮川の分流の豊川をせき止めて農業用水とする堰があったことから、この名で呼ばれているそうです。

社伝によれば、主祭神の天牟羅雲命はこの地の豪族で度会氏の遠祖とされ、世木村に住んで世木氏と名乗り、本社を氏神として治水を祈願していたとされます。

また、世木氏の氏寺である光明寺に残る古文書によれば、鎌倉時代にはこの地は盛行したという記録があるとされ、15世紀半ばに世木氏が他の土地に移住していくと、この社は残った村人たちの氏神とされたそうです。

そして、明治41年に周辺の度会氏関係の社を合祀して「世木坐渡会氏神社」となり、現在に至るとされています。

祭神

人文研究見聞録:世木神社(世木坐渡会氏神社) [三重県]

世木神社の祭神は以下の通りです。

主祭神

・天牟羅雲命(あめのむらくものみこと):天水の政事を担当される水神であり、外宮の神水の守護神とされる
 → 由緒書によれば、天牟羅雲命御玉(あめのむらくものみことのみたま)とも
  ⇒ この地の豪族で度会氏の遠祖とされ、世木氏と名乗ったとされる
 → 籠神社によれば、籠神社の社家・海部家三代目の祖先に当たり、ニニギに仕えたとされる
  ⇒ 彦火明命(ホアカリ)の子孫であり、天香語山命(高倉下)と穂屋姫命の子とされる
 → 外宮の上御井神社、下御井神社の守護神とされる
  ⇒ 「天忍石の長井の水」という神水を、高千穂・丹波・伊勢に遷したという伝承がある

相祭神

・菅原道真公(すがわらみちざねこう):学問の神として全国の天神社・天満宮で祀られる
・度会晴彦神主(わたらいはるひこかんぬし):外宮に奉仕していた神主で、「白太夫」と呼ばれたとも
・大国主命(おおくにぬしのみこと):出雲の国造りの神であり、縁結びの神ともされる
・宇迦御魂神(うかのみたまのかみ):稲荷神であり、食糧を司る神とされる

境内の見どころ

本殿

人文研究見聞録:世木神社(世木坐渡会氏神社) [三重県]

世木神社の本殿です。

上記の祭神を祀っています。

三吉稲荷神社

人文研究見聞録:世木神社(世木坐渡会氏神社) [三重県]

世木神社の境内社の三吉稲荷神社(さんきちいなりじんじゃ)です。

詳細は不明ですが、祭神は三吉稲荷大明神であると思われます。

おみくじ

人文研究見聞録:世木神社(世木坐渡会氏神社) [三重県]

世木神社のおみくじです。

外宮にはおみくじが無いので、引きたい場合はこちらの神社で引くことができます。

料金: 無料
住所: 三重県伊勢市吹上1丁目2-6(マップ
営業: 終日開放
交通: 伊勢市駅(徒歩1分)

公式サイト: http://sgshrine.blogspot.jp/
matapon
著者: matapon Twitter
「日本神話」を研究しながら日本全国を旅しています。旅先で発見した文化や歴史にまつわる情報をブログ記事まとめて紹介していきたいと思っています。少しでも読者の方々の参考になれば幸いです。