人文研究見聞録:西宮神社の境内社 [兵庫県]

兵庫県西宮市にある西宮神社(西宮えびす神社)には、多くの境内社があります。

そこで、西宮神社の境内社を特集してこのページで紹介したいと思います。

西宮神社についてはこちらの記事を参照:【西宮神社(西宮えびす神社)】


廣田神社 摂社

南宮神社(なんぐうじんじゃ)


人文研究見聞録:西宮神社の境内社 [兵庫県]

【概要】

・甲山の山麓に鎮座する廣田神社の摂社
・浜の南宮と呼ばれ、平安期には京都の貴族の崇敬を受けた

【祭神】

・豊玉姫神(トヨタマヒメ):ホオリ(山幸彦)の后であり、ウガヤフキアエズの母神に当たる
 → 『記紀神話』によれば、海中にある海神宮に住む神であり、その正体は鰐もしくは龍であったとされる
・市杵島姫神(イチキシマヒメ):宗像三女神の一柱で、弁財天と習合している
 → 『記紀神話』ではスサノオの娘とされた
 → 神としての性格が六甲周辺で祀られるセオリツヒメと重複しているという指摘がある
・大山咋神(オオヤマクイ):日吉大社・松尾神社の主祭神であり、山王権現と習合している
 → 『古事記』によれば、オオトシノカミの御子神とされる
・葉山姫神(ハヤマヒメ):山背根子の娘であり、摂津国の広田神社を創祀した

末社

火産霊神社(ほむすびじんじゃ)


人文研究見聞録:西宮神社の境内社 [兵庫県]

【概要】

・火伏の神・火皇産霊神を祀る社であり、愛宕さんと通称される
・享保17年(1732年)、垂加神道を奉じた当時の神主が、若林強斎と山本復斎の霊社を合祀したとされる
・貞享3年(1686年)の絵図には「火之大神」とある

【祭神】

・火皇産霊神(ホムスビ):火伏の神であり、愛宕(あたご)の神とも呼ばれる
 → 愛宕神社の祭神・火之迦具土神(ヒノカグツチ)と同神であると思われる

百太夫神社(ひゃくだゆうじんじゃ)


人文研究見聞録:西宮神社の境内社 [兵庫県]

【概要】

・人形遣いの祖神・百太夫神が祀られる社
・1月5日に百太夫神社祭が行われる

【祭神】

・百太夫神(ひゃくだゆうのかみ):西宮の「えびすかき」として有名な人形操りの祖神
 → 日本の民間信仰の神であり、傀儡師(傀儡子)や遊女に信仰されている
 → 小児の健康を守る信仰がある

六甲山神社(ろっこうざんじんじゃ)


人文研究見聞録:西宮神社の境内社 [兵庫県]

【概要】

・慶長期(1596~1615年)以前から六甲山の山頂には白山権現が祀られいた(石宝殿と呼ばれる)
・古くは六甲山一帯は廣田神社の社領であり、石宝殿の分社・遥拝所として寛政元年(1789年)に浜南宮の中に勧請された
・六甲山の山頂にある石宝殿の方角を向いて建てられている

【祭神】

菊理姫命(ククリヒメ)『日本書紀』の異伝にて、イザナギが黄泉国から帰ってきた際に助言した神として登場する
 → 別名・白山比売神(シラヤマヒメ)と呼ばれ、加賀国の白山の神として知られている
 → 『ホツマツタエ』によれば、アワナギの子でイザナギの兄妹とされる
  ⇒ アマテル(天照大御神)が生後に発した言葉を聞き取ったことから、キクキリヒメとも呼ばれた
  ⇒ カンミムスビ(神皇産霊神)と結婚し、根の国を治めたとされる
  ⇒ 没後にカンミムスビと共にシラヤマカミとなった

大國主西神社(おおくにぬしにしじんじゃ)


人文研究見聞録:西宮神社の境内社 [兵庫県]

【概要】

・往古、国土経営に尽力した二柱の神を祀る社
・延喜式神名帳における式内社・大國主西神社とも言われている
・元は境内の阿彌陀堂という仏堂であったとも言われている
・当社では享保20年(1735年)、大己貴命・少彦名命二柱を勧請し神社にしたとものとしている
・明治7年11月に県社となった
・戦後は社格を持たぬ神社として当社の境内社となっている

【祭神】

・大己貴命(オオナムチ):出雲大社の主祭神である大国主大神とされる
・少彦名命(スクナヒコナ):オオナムチと共に国造りを成した神とされる

神明神社(しんめいじんじゃ)


人文研究見聞録:西宮神社の境内社 [兵庫県]

【概要】

・稲荷神を合祀する神明社
・明治6年(1873年)に大阪奉行所西宮勤番所より遷座した社

【祭神】

・豊受比女命(トヨウケビメ):『古事記』に登場する神で、ワクムスビの子とされる
 → 稲荷神と習合し、豊穣を司る神とされる
 → 伊勢外宮の主祭神の豊受大神と同神とも言われる
  ⇒ 丹後の真名井神社の社伝によれば、豊受大神の顕現の神とされる

松尾神社(まつおじんじゃ)


人文研究見聞録:西宮神社の境内社 [兵庫県]

【概要】

・酒の神・海上安全の神・船玉の神・道案内の神を祀る社
・寛政2年(1790年)に当地の酒家仲一同が酒造繁栄祈願のために奉斎した

【祭神】

・大山咋命(オオヤマクイ):松尾大社主祭神で酒の神とされる
・猿田彦命(サルタヒコ):天孫降臨の際に先導した道案内の神とされる
・住吉大神(すみよしおおかみ):住吉大社の主祭神で海上安全の神・船玉の神とされる

市杵島神社(いちきしまじんじゃ)


人文研究見聞録:西宮神社の境内社 [兵庫県]

【概要】

・厳島に鎮座する市杵嶋姫命を祀る社
・貞享3年(1686年)の古絵図に「弁財天」と記される

【祭神】

・市杵島神(いちきしまのかみ):宗像三女神の一柱であるイチキシマヒメに当たる

宇賀魂神社(うがのみたまじんじゃ)


人文研究見聞録:西宮神社の境内社 [兵庫県]

【概要】

・農業・産業を司る稲荷神を祀る社
・室町中期の文明年間(1469~1486年)には既に鎮座していた

【祭神】

・宇賀御魂命(ウガノミタマ):農業・産業を司る稲荷神

沖恵美酒神社(おきのえびすじんじゃ)


人文研究見聞録:西宮神社の境内社 [兵庫県]

【概要】

・通称「あらえびすさま」と呼ばれ、勝負の神として親しまれている
・室町時代の文書に度々「西宮荒夷社鳴動」と記されていた
・元は境内外の洗戎(現・荒戎町)に鎮座していた
・明治5年(1872年)に境内現在地に遷座した

【祭神】

・沖恵美酒大神(おきのえびすおおかみ):えびす大神の荒魂とされる

梅宮神社(うめのみやじんじゃ)


人文研究見聞録:西宮神社の境内社 [兵庫県]

【概要】

・酒の神・酒解神(大山祇神)を祀る社
・嘉永4年(1851年)までは社殿が無く、神木を祀るという形式であった

【祭神】

・酒解神(さかとけのかみ):オオヤマツミの別名
 → 木花開耶媛が彦火火出見尊を産んだ際、大山祇神が狭名田の茂穂で天甜酒を造り、天地の神々に捧げたことに由来する

庭津火神社(にわつびじんじゃ)


人文研究見聞録:西宮神社の境内社 [兵庫県]

【概要】

・神域を守護する荒神を祀る社
・社殿が無く、塚の形をした封土を拝する古い形式の神社
・貞享3年(1686年)の絵図には「荒神」と示される

【祭神】

・奥津彦神(オキツヒコ):大年神の御子神で奥津比女神の夫に当たる(竈の神の一柱)
・奥津比女神(オキツヒメ):大年神の御子神で奥津彦神の妻に当たる(竈の神の一柱)

児社(このやしろ)


人文研究見聞録:西宮神社の境内社 [兵庫県]

【概要】

・南宮神社の末社

【祭神】

・児尊(このみこと):幼児の健康を守る神

料金: 無料
住所: 兵庫県西宮市社家町1-17(マップ
営業: 5:00~19:00(10月~3月 5:00~18:00)
交通: 西宮駅(徒歩5分)

公式サイト: http://nishinomiya-ebisu.com/index.html
matapon
著者: matapon Twitter
「日本神話」を研究しながら日本全国を旅しています。旅先で発見した文化や歴史にまつわる情報をブログ記事まとめて紹介していきたいと思っています。少しでも読者の方々の参考になれば幸いです。