津門神社(津門大明神) [兵庫県]
2017/01/01
兵庫県西宮市にある津門神社(つどじんじゃ)です。
応神朝に百済から渡来してきた漢織姫と呉織姫が、当地に大日如来を祀ったことに始まるとされる古社であり、かつては毘沙門天神を主祭神としていたとも云われています。
なお、現在の主祭神は天照皇大神であり、脇殿に毘沙門天神と八意思兼神が祀られています。
神社概要
由緒
由緒書によれば、第15代応神天皇の御代に百済(朝鮮半島)から渡来して、織物や染色の技術を伝えたとされる漢織姫(あやはひめ)と呉織姫(くれはひめ)が、務古の里と呼ばれる地に彼らが拝す外来の神(大日如来)を祀ったことに始まるとされます。
また、平安時代の延喜元年(901年)に大宰府に左遷されることになった菅原道真公が旅路の途中で当地の小祠周辺で休憩したと云われており、その小祠が津門大明神と称され、津門の氏神として里人の崇敬を集めることになったそうです。
その後、江戸時代の宝暦4年(1754年)に現在地に遷宮し、当時は毘沙門天神を祀っていたとされますが、明治になると神仏分離令の影響を受けて天照皇大神を主祭神とし、毘沙門天神と八意思兼神を脇殿に祀って現在に至るとされています。
ちなみに、神木のクスノキの根元に建つ神社碑は、元々は大塚古墳の蓋石だったそうです。
なお、由緒書では以下のように説明されています。
津門神社 由緒
津門神社の発祥は六甲山脈を背に務古の里にあり。務古の里は古来、自然の良港で津登、津奴、津門との名称がある。大昔は京都方面より山陽四国地方へ渡る人、上方へ上る人で船の出入りも繁しく津の国唯一の良港であった。
港の東南に津奴の塩浜があり、北には津登。東には津門の里があり、岡一帯に老松が繁茂し、務古または津登の松原として万葉の古歌にもある通り有名である。古跡として今も残されている稜羽、呉羽姫が百済の国より渡来、我が国に初めて機織または染物などを教えた地にて、彼らが外来渡来の神(大日如来)を勧請し、創立したと云われている。
今から1610有年前(延喜元年)、菅公(菅原道真)が大宰府に左遷の途次、美しい白砂青松の景勝を愛でられ、小祠の辺に御休憩になった。その祠が津門大明神と称し、里人が崇敬する津門の氏神である。
津門の氏神である祠を現神域に遷宮したのが宝暦4年(1754年)11月にして旧社殿上棟札により明らかであり、当時は神仏混淆の時代で、毘沙門天神を祀りしも、明治の代になり、日本の祖神と仰ぐ天照皇大神の御分霊を本殿御祭神と仰ぎ、脇殿に毘沙門天神と八意思兼神を合祀し、末社に弁財天社、武光稲荷社、愛宕社、白王社、針塚などを祀る。
なお、神木の樟(クスノキ)、榎(エノキ)は昭和48年10月西宮市保護木の指定を受け、樟の根元に建つ津門神社碑は、元大塚古墳の蓋石であった。
津門神社の発祥は六甲山脈を背に務古の里にあり。務古の里は古来、自然の良港で津登、津奴、津門との名称がある。大昔は京都方面より山陽四国地方へ渡る人、上方へ上る人で船の出入りも繁しく津の国唯一の良港であった。
港の東南に津奴の塩浜があり、北には津登。東には津門の里があり、岡一帯に老松が繁茂し、務古または津登の松原として万葉の古歌にもある通り有名である。古跡として今も残されている稜羽、呉羽姫が百済の国より渡来、我が国に初めて機織または染物などを教えた地にて、彼らが外来渡来の神(大日如来)を勧請し、創立したと云われている。
今から1610有年前(延喜元年)、菅公(菅原道真)が大宰府に左遷の途次、美しい白砂青松の景勝を愛でられ、小祠の辺に御休憩になった。その祠が津門大明神と称し、里人が崇敬する津門の氏神である。
津門の氏神である祠を現神域に遷宮したのが宝暦4年(1754年)11月にして旧社殿上棟札により明らかであり、当時は神仏混淆の時代で、毘沙門天神を祀りしも、明治の代になり、日本の祖神と仰ぐ天照皇大神の御分霊を本殿御祭神と仰ぎ、脇殿に毘沙門天神と八意思兼神を合祀し、末社に弁財天社、武光稲荷社、愛宕社、白王社、針塚などを祀る。
なお、神木の樟(クスノキ)、榎(エノキ)は昭和48年10月西宮市保護木の指定を受け、樟の根元に建つ津門神社碑は、元大塚古墳の蓋石であった。
祭神
津門神社の祭神は以下の通りです。
主祭神
・天照皇大神(アマテラス):太陽を神格化した皇室の氏神であり、伊勢神宮内宮の主祭神として知られる
→ 明治期より当社の主祭神とされた(神仏分離令の影響と考えられる)
→ 元々は大日如来(密教の最高仏)であったとされ、神仏習合において天照大神と同一視されたという見解がある
脇殿神
・毘沙門天神(ビシャモンテンシン):仏教の神であり、四天王の多聞天が独尊として祀られる際の呼称とされる
→ 七福神の一尊として知られており、勝負事に御利益があるとされる
→ 当社においてはかつての主祭神であり、津門の氏神として祀られていた
・八意思兼神(ヤゴコロオモイカネ):日本神話に登場する神で、知恵を司るとされる
→ 「八意(やごころ)」は多くの知恵という意味を指すとされる
⇒ 『ホツマツタヱ』においては「ヤツココロ」は「告白」の意とされ、オモイカネの代名詞とされる
→ 『ホツマツタヱ』においてはヒルコ(ワカヒルメ)の夫であったとされる
⇒ 『ホツマツタヱ』においてはヒヨミという暦を造る役職を担っていたとされ、陰陽師の前身であるという見解がある
・天照皇大神(アマテラス):太陽を神格化した皇室の氏神であり、伊勢神宮内宮の主祭神として知られる
→ 明治期より当社の主祭神とされた(神仏分離令の影響と考えられる)
→ 元々は大日如来(密教の最高仏)であったとされ、神仏習合において天照大神と同一視されたという見解がある
脇殿神
・毘沙門天神(ビシャモンテンシン):仏教の神であり、四天王の多聞天が独尊として祀られる際の呼称とされる
→ 七福神の一尊として知られており、勝負事に御利益があるとされる
→ 当社においてはかつての主祭神であり、津門の氏神として祀られていた
・八意思兼神(ヤゴコロオモイカネ):日本神話に登場する神で、知恵を司るとされる
→ 「八意(やごころ)」は多くの知恵という意味を指すとされる
⇒ 『ホツマツタヱ』においては「ヤツココロ」は「告白」の意とされ、オモイカネの代名詞とされる
→ 『ホツマツタヱ』においてはヒルコ(ワカヒルメ)の夫であったとされる
⇒ 『ホツマツタヱ』においてはヒヨミという暦を造る役職を担っていたとされ、陰陽師の前身であるという見解がある
境内社
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津門神社の境内社は以下の通りです。
・弁財天社
・武光稲荷社
・愛宕社
・白王社
・祖霊社
・不詳社
・武光稲荷社
・愛宕社
・白王社
・祖霊社
・不詳社
境内の見どころ
鳥居
津門神社の鳥居です。
拝殿
津門神社の拝殿です。
本殿
津門神社の本殿です。
神木と神社碑
津門神社の神木のクスノキです。
この傍らに建つ神社碑は、元々 大塚古墳の蓋石であったとされています。
明星池
津門神社の境内にある明星池です。
首洗い池とも呼ばれており、案内板にて以下のように説明されています。
史蹟公園・明星池(伝説、首洗い池)
この池は美丈丸(美女丸)の身代わりとなり首を斬られた幸寿丸の哀史と、昔 旱魃(かんばつ)のとき、村人がこの池に弁財天を祀って雨乞いをしたところ、満願の日に一天にわかにかき曇り喜雨となる(という伝説がある)。その奇蹟は古老の語り草になっている。
この池は美丈丸(美女丸)の身代わりとなり首を斬られた幸寿丸の哀史と、昔 旱魃(かんばつ)のとき、村人がこの池に弁財天を祀って雨乞いをしたところ、満願の日に一天にわかにかき曇り喜雨となる(という伝説がある)。その奇蹟は古老の語り草になっている。
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「日本神話」を研究しながら日本全国を旅しています。旅先で発見した文化や歴史にまつわる情報をブログ記事まとめて紹介していきたいと思っています。少しでも読者の方々の参考になれば幸いです。
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