温泉津温泉 [島根県]
2017/12/03
島根県大田市温泉津町にある温泉津温泉(ゆのつおんせん)です。
古くから「万病に効く」といわれる薬効のある温泉であり、天然温泉としての評価が高いことでも知られています。
また、港町でもある温泉街は、石見銀山と共に世界遺産にも登録されています。
温泉津温泉について
概要
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温泉津温泉(ゆのつおんせん)は島根県大田市温泉津町にある温泉で、古くから"万病に効く温泉"といわれており、日本温泉協会に全項目最高評価を受けた天然温泉として認定されています。
温泉街は歓楽街のない古風で静かな街並みになっており、国の重要伝統的建造物群保存地区に指定されています。また、港町でもある温泉街は「石見銀山遺跡とその文化的景観」の一部として世界遺産にも登録されています。
なお、温泉街には共同浴場が2軒あり、その昔 傷を負ったタヌキが湯浴みして傷を癒したと伝えられる「元湯泉薬湯」と、地震の時に忽然と湧き出したことから"なまずの湯"とも呼ばれる「薬師湯」があります。
2つの浴場は泉質が異なりますが、いずれも薬効あらたかな泉質を持つことで知られ、湯治客に人気があるそうです。
泉質など
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温泉津温泉の共同浴場の泉質と料金は以下の通りです。
【元湯泉薬湯】
・泉質:含土類食塩泉
・泉温:49.9℃(かなり熱い)
・泉色:白濁色
・効能:慢性関節リウマチ・慢性筋肉リウマチ・神経痛・神経炎・創傷・痛風・尿酸素質・慢性皮膚病など
・料金:大人370円、小学生以下200円
・泉質:含土類食塩泉
・泉温:49.9℃(かなり熱い)
・泉色:白濁色
・効能:慢性関節リウマチ・慢性筋肉リウマチ・神経痛・神経炎・創傷・痛風・尿酸素質・慢性皮膚病など
・料金:大人370円、小学生以下200円
公式サイト:ゆのつ元湯温泉
【薬師湯】
・泉質:ナトリウム・カルシウム塩化物泉
・泉温:45.9℃(熱め)
・泉色:季節や時間によって変わる(茶褐色・黄金色・エメラルドグリーン色など)
・効能:生活習慣病・神経痛・関節炎・筋肉痛・うちみ・慢性消化器・痔疾・疲労回復・慢性皮膚病・切傷・火傷など
・料金:大人650円、小学生以下300円
・泉質:ナトリウム・カルシウム塩化物泉
・泉温:45.9℃(熱め)
・泉色:季節や時間によって変わる(茶褐色・黄金色・エメラルドグリーン色など)
・効能:生活習慣病・神経痛・関節炎・筋肉痛・うちみ・慢性消化器・痔疾・疲労回復・慢性皮膚病・切傷・火傷など
・料金:大人650円、小学生以下300円
公式サイト:温泉津温泉・薬師湯
歴史
案内板によれば、温泉津温泉の始まりは何時代か分かっていないものの、平安時代の承平の頃(931~938年)には既に温泉の所在が都に知られており、元湯には「タヌキが湯浴みして傷を癒やしている様子を見た旅の僧が発見した」という伝説があるとされています。
中世の観応・文和の頃(1350~1356年)には、多くの霊験を積んだ伊藤重佐という修行者が洞穴が開き、薬師如来を祀る薬師堂(現・温泉寺)を建てて諸人の病苦救済の起願し、新たに温泉津の開発を行ったとされ、それ以来、重佐の子孫が薬師堂の住職として世人の福祉に尽くし、温泉によって多くの人々を病苦から救ったそうです。
また、ウィキペディアによれば 温泉津は山陰道の宿場町であり、戦国時代や江戸時代は石見銀山から産出される銀の積出港になったことから大いに栄えたとされ、近代には明治5年(1872年)に発生した浜田地震によって別の源泉が湧き出して、今の薬師湯となったとされています。
関連知識
元湯発見の伝説
案内板によれば、元湯は"タヌキが湯浴みして傷を癒やしている様子を見た旅の僧が発見した"とされています。
その伝説は以下の通りです。
【元湯発見の伝説】
往古の何時ごろからか、この浦浜の奥に杉の樹木に覆われた守山があり、頂きには ひときわ高い古い大杉の木がそびえ、その下に小さな古廟があった。山の谷の厳間には、出泉で出来た小さな池のような泉溜があった。
ある時、浦の浜に一人の旅の僧が現れた。僧は この古廟に一夜の睡美枕を求めた。翌朝、古廟を後に山を下って行くと、傷を負った大きな古狸(ふるだぬき)が池に浸かって傷口を舐めていた。
僧は杉の木立に身を隠し、息を凝らして じっと古狸の様子を見守った。古狸は やがて森の中へ消えていった。僧は古狸が浸かっていた池に行き、手を入れてみると温かい温泉だった。僧は浦浜に出て 傷を負った古狸の話を残して旅立って行った。
やがて泉底から湧出する温泉は、病苦を取り除く霊泉として諸人の知るところとなった。
往古の何時ごろからか、この浦浜の奥に杉の樹木に覆われた守山があり、頂きには ひときわ高い古い大杉の木がそびえ、その下に小さな古廟があった。山の谷の厳間には、出泉で出来た小さな池のような泉溜があった。
ある時、浦の浜に一人の旅の僧が現れた。僧は この古廟に一夜の睡美枕を求めた。翌朝、古廟を後に山を下って行くと、傷を負った大きな古狸(ふるだぬき)が池に浸かって傷口を舐めていた。
僧は杉の木立に身を隠し、息を凝らして じっと古狸の様子を見守った。古狸は やがて森の中へ消えていった。僧は古狸が浸かっていた池に行き、手を入れてみると温かい温泉だった。僧は浦浜に出て 傷を負った古狸の話を残して旅立って行った。
やがて泉底から湧出する温泉は、病苦を取り除く霊泉として諸人の知るところとなった。
浅原才市像
温泉街にある浅原才市(あさはらさいち)の像です。
浅原才市は明治大正期の温泉津ゆかりの人物で、浄土真宗の妙好人(真宗の篤信者)であり、下駄職人としての仕事の合い間などに「口あい(浄土真宗の信心を詠んだ詩)」を書き綴り、7000首を超える数多くの詩歌を残したとされます。戦後、仏教哲学者として有名な鈴木大拙の著書『日本的霊性』の中で取り上げられたことで世界的に有名になったそうです。
なお、像に角が生えている理由は、才市が熱心な寺参りをほめられた時に「わしが寺に参るのは、鬼が寺に参るのだと言うことを見てもらいます」と言って、自ら地元の日本画家に書いてもらった「角のある肖像画」がモデルになっている為だとされています。
周辺の見どころ
元湯飲泉場
温泉津温泉街にある元湯飲泉場です。
龍の像のボタンを押すと口から温泉が出るようになっており、備え付けのコップで飲泉することができます。
飲用すると糖尿病、胃腸病、胸焼けなどに効果があるそうです(ただし、胃酸過多症・胃潰瘍・腎臓炎などはNG)。
千古の湯の華石
温泉津温泉街にある千古の湯の華石です。
元湯泉薬湯の入口に安置されている奇岩で、温泉成分が沈殿してできたものとされています。
龍御前神社
温泉津温泉街にある龍御前神社(たつのごぜんじんじゃ)です。
戦国時代に勧請された神社であり、祭神に大己貴命・少彦名命・豊玉姫命・健岩龍命・他4柱の神を祀っています。
社殿の背後に龍のような巨岩があり、その下に旧本殿があることが特徴です。
また、毎週土曜日に夜神楽を開催していることでも知られています。
詳しくはこちらの記事を参照:【龍御前神社】
その他の観光スポット
温泉津温泉街の観光スポットは以下の通りです。
・温泉寺:室町時代に温泉津を開発した修行僧・伊藤重佐が建てた薬師堂に始まる寺院
・恵珖寺:戦国時代に創建された寺院で、細川幽斎が百歌連歌の会を開いたという逸話などがある
・安楽寺:浅原才市ゆかりの寺院で、才市の遺品などが保存されている
・西楽寺:創建年代は不詳だが、石山合戦の際の本願寺顕如からの依頼状が残されている寺院
・龍澤寺:木喰五行ゆかりの寺院で、旅の途中に立ち寄った五行が自ら刻んだ釈迦如来の木像を安置している
・恵珖寺:戦国時代に創建された寺院で、細川幽斎が百歌連歌の会を開いたという逸話などがある
・安楽寺:浅原才市ゆかりの寺院で、才市の遺品などが保存されている
・西楽寺:創建年代は不詳だが、石山合戦の際の本願寺顕如からの依頼状が残されている寺院
・龍澤寺:木喰五行ゆかりの寺院で、旅の途中に立ち寄った五行が自ら刻んだ釈迦如来の木像を安置している
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「日本神話」を研究しながら日本全国を旅しています。旅先で発見した文化や歴史にまつわる情報をブログ記事まとめて紹介していきたいと思っています。少しでも読者の方々の参考になれば幸いです。
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