真清田神社(眞清田神社) [愛知県]
2015/01/30
愛知県一宮市真清田にある真清田神社(ますみだじんじゃ)です。
尾張国一宮であり、祭神に尾張氏の祖神として天火明命(アメノホアカリ)を祀っています。
創建には諸説ありますが、いずれも創祀を紀元前に遡る古いものとしています。
※画像はウィキメディア・コモンズよりパブリックドメインの画像を拝借させていただいています。
神社概要
創建由緒
真清田神社の創建については諸説あり、その内訳は以下のようになっています。
・社伝:祭神の天火明命が大和国葛城地方の高尾張邑を出て、神武天皇33年3月3日に当地で鎮祭されたことに始まる
・神武天皇年間説:『一宮神宮記』や『尾張国一宮伝記』など近世の文献に見られる伝承(内容は社伝と重複)
・崇神天皇年間説:社地の「青桃之丘」を国常立尊の国土造成の所縁の地とし、崇神天皇の夢想により国常立尊を奉斎した
→ 『真清田神社縁起(古縁起)』『真清探桃集』に見られる伝承。
・神武天皇年間説:『一宮神宮記』や『尾張国一宮伝記』など近世の文献に見られる伝承(内容は社伝と重複)
・崇神天皇年間説:社地の「青桃之丘」を国常立尊の国土造成の所縁の地とし、崇神天皇の夢想により国常立尊を奉斎した
→ 『真清田神社縁起(古縁起)』『真清探桃集』に見られる伝承。
なお、上記の文献はいずれも中世以降の成立になるため、これらの伝承の真偽や神武天皇や崇神天皇の時期に淵源を求めた理由は明らかとなっておらず、「神武天皇33年3月3日」という年月日についても既に存在した桃花祭(3月3日)から逆に創造されたとする説があるそうです。
また、これらの文献から、『真清田神社史』では尾張氏が大和葛城地方から尾張に進出し、崇神天皇頃にあたる尾張氏一族の倭得玉彦命の時期に神社が創祀されたと想定しているとされています。
なお、平安以降は『延喜式』神名帳で名神大社に列せられ、平安末期には尾張国一宮の地位を確立したとされています。以来、国司をはじめとする人々の崇敬を集め最盛を極めたとされますが、天正12年(1584年)の大地震で社殿が崩壊し、豊臣秀吉に社領も没収されて社勢は衰えたとされています。
ですが、江戸時代に徳川家から庇護を受けて復興し、再び広範囲の社領を有するようになり、明治時代には国幣小社、大正時代に国幣中社に列し、皇室国家から厚待遇を受けたそうです。
そして、戦後は一宮市の氏神として尾張の人々から篤い崇敬を集め、現在に至るとされています。
祭神
真清田神社の祭神は以下の一柱とされています。
・天火明命(アメノホアカリ):天孫(天照大御神の孫)であり、尾張氏の祖神とされる
→ 京都の丹後地方にある籠神社の伝承によれば、天火明命は彦火明命と同神とされる
→ 『先代旧事本紀』などによれば、正式名称を「天照国照彦天火明命櫛玉饒速日尊」というとされる
→ 本地仏は『真清田神社縁起』では毘盧遮那仏、『神道集』では地蔵菩薩とする
→ 古くは祭神に龍神が含まれるため、水神・龍蛇神の性格を持つ農耕神であるという説もある
→ 京都の丹後地方にある籠神社の伝承によれば、天火明命は彦火明命と同神とされる
→ 『先代旧事本紀』などによれば、正式名称を「天照国照彦天火明命櫛玉饒速日尊」というとされる
→ 本地仏は『真清田神社縁起』では毘盧遮那仏、『神道集』では地蔵菩薩とする
→ 古くは祭神に龍神が含まれるため、水神・龍蛇神の性格を持つ農耕神であるという説もある
祭神の変遷
真清田神社の祭神については古くから諸説あり、時代によって遷り変っているようです。
真清田神社の祭神については古くから諸説あり、時代によって遷り変っているようです。
・室町時代~:国常立尊(『真清田神社縁起(古縁起)』による)
・室町~江戸:大己貴命(『大日本国一宮記』による)
・江戸時代~:天火明命(江戸時代の国学者・歴史学者による説)
・明治時代~:国常立尊・天照大御神・月夜見神・大己貴神・大竜王神
・現代:天火明命(大己貴命については奉斎神(土地神)であった可能性が指摘される)
・室町~江戸:大己貴命(『大日本国一宮記』による)
・江戸時代~:天火明命(江戸時代の国学者・歴史学者による説)
・明治時代~:国常立尊・天照大御神・月夜見神・大己貴神・大竜王神
・現代:天火明命(大己貴命については奉斎神(土地神)であった可能性が指摘される)
尾張氏と天火明命
「天火明命(アメノホアカリ)」は、元伊勢籠神社の社伝によれば「彦火明命(海部氏祖神)」と同神とされ、『先代旧事本紀』によれば「饒速日尊(天照国照彦天火明命櫛玉饒速日尊)」と同神とされています。
また、同書では尾張氏の祖神は「天香山命(アメノカグヤマ)」としており、『記紀』にある「神武東征」の中で神武天皇に霊剣フツノミタマを渡して窮地を救った「高倉下」の別名とされています。
『先代旧事本紀』および「籠神社社伝」によれば、「天香山命」は天火明命(彦火明命・饒速日尊)と天道日女命(大己貴神の娘)の間に生まれた子であり、神武天皇の東遷後は勅命によって大和から東方の開拓に従事したことが、関連する神社の伝承として伝えられています。特に新潟県の彌彦神社では越後国開拓の祖神として信仰されていることで有名です。
また、「天香山命」の異母兄弟に当たる「宇摩志麻遅命(ウマシマジ)」は、神武天皇の東遷後は勅命によって大和から西方の開拓に従事し、島根県の物部神社に鎮座した物部氏の祖神として知られています。
上記のことから、尾張氏の祖神とされる「天香山命」の親である「天火明命」は尾張氏の始祖であるとも言え、そのルーツを遡れば京都府北部の元伊勢籠神社で祀られる「彦火明命」に行きつくことから、真清田神社は海部氏・尾張氏・物部氏の始祖神を祀っているとも考えられます。
また、明治時代の五柱の祭神である国常立尊・天照大御神・月夜見神・大己貴神・大竜王神は、籠神社の奥宮である真名井神社の祭神と相関性が見られることから、真清田神社のルーツを探る上で京都府北部の丹後地方の神社・伝承などと照らし合わせてみると、なかなか興味深いことが分かるように思います。
詳しくはこちらの記事も参照:【元伊勢籠神社】【真名井神社】【饒速日とは?】
境内社
三明神社
真清田神社の摂社・三明神社(さんみょうじんしゃ)です。
主祭神の荒魂を祀っているとされています。
服織神社
真清田神社の摂社・服織神社(はとりじんじゃ)です。
主祭神の母神に当たる萬幡豊秋津師比売命(ヨロズハタトヨアキツシヒメ)を祀っています。
末社
真清田神社の境内末社は以下の11社となっています(このほか境外末社として25社が存在する)。
境内の見どころ
鳥居
真清田神社の鳥居です。
楼門
真清田神社の楼門です。
神水舎(手水舎)
真清田神社の神水舎です。
ここの龍の口からは神水が湧き出ており、平安時代に白河天皇がこの神水を飲んで病気を治したと云われています。そのため、無病息災の水とされており、日々の炊飯や薬用、書道鍛錬の水として利用することが奨められています。
そのほか、石の重さで祈願成就を占う「おもかる石」や、触れて子宝祈願を行う「男根形の石」、自分の姿を映して心を清める「御鏡」、自分の顔を写して健康、家内安全を祈る「井戸」があるなど、見どころが多い場所となっています。
拝殿
真清田神社の拝殿です。
本殿
真清田神社の本殿です。
内陣・中陣の扉や柱桁などには、伊勢神宮から下賜された古材を使用しているんだそうです。
・神明社:天照大神、品陀和気命を祀る
・三末社(天神社):天神七代神、伊弉冉命、速玉男神、事解男神、訶遇突智神、市杵島姫神を祀る
・三末社(犬飼社):犬飼神、住吉三神、神功皇后、猿田彦命、真神田曽根連、本宮荒魂、菊理姫命を祀る
・三末社(愛鷹社):愛鷹神、瀬織津姫神、速秋津姫神、速佐須良姫神、気吹戸主命、木花咲屋姫神を祀る
・愛宕社:防火の神を祀る
・須佐之男社:須佐之男神を祀る
・秋葉社:訶遇突智神(カグツチ)を祀る
・稲荷社:倉稲魂命(稲荷神)を祀る
・厳島社:市杵島姫神を祀る
・八龍神社:元は厳島社に祀られた龍神石が、神仏分離で日泰寺に移り、再び真清田神社に還ったときに創建された
・三八稲荷社(さんぱち):倉稲魂命を祀る
・三末社(天神社):天神七代神、伊弉冉命、速玉男神、事解男神、訶遇突智神、市杵島姫神を祀る
・三末社(犬飼社):犬飼神、住吉三神、神功皇后、猿田彦命、真神田曽根連、本宮荒魂、菊理姫命を祀る
・三末社(愛鷹社):愛鷹神、瀬織津姫神、速秋津姫神、速佐須良姫神、気吹戸主命、木花咲屋姫神を祀る
・愛宕社:防火の神を祀る
・須佐之男社:須佐之男神を祀る
・秋葉社:訶遇突智神(カグツチ)を祀る
・稲荷社:倉稲魂命(稲荷神)を祀る
・厳島社:市杵島姫神を祀る
・八龍神社:元は厳島社に祀られた龍神石が、神仏分離で日泰寺に移り、再び真清田神社に還ったときに創建された
・三八稲荷社(さんぱち):倉稲魂命を祀る
料金: 無料
住所: 愛知県一宮市真清田1丁目2-1(マップ)
営業: 9:00~17:00、無休
交通: 尾張一宮駅(徒歩10分)、 名鉄一宮駅(徒歩10分)、名鉄バス「本町」下車
公式サイト: http://www.masumida.or.jp/
住所: 愛知県一宮市真清田1丁目2-1(マップ)
営業: 9:00~17:00、無休
交通: 尾張一宮駅(徒歩10分)、 名鉄一宮駅(徒歩10分)、名鉄バス「本町」下車
公式サイト: http://www.masumida.or.jp/
スポンサーリンク
「日本神話」を研究しながら日本全国を旅しています。旅先で発見した文化や歴史にまつわる情報をブログ記事まとめて紹介していきたいと思っています。少しでも読者の方々の参考になれば幸いです。
スポンサーリンク
コメント
0 件のコメント :
コメントを投稿