田縣神社(田県神社) [愛知県]
2015/11/18
愛知県小牧市にある田縣神社(たがたじんじゃ)です。
創建年代不詳(伝・弥生時代)の古社であり、境内に数多くの男女の性器を模ったオブジェを奉納していることで有名です。また、毎年3月15日には古代の性器崇拝に基づく「豊年祭」が行われ、祭礼の当日には世界中から見物客が集まります。
なお、犬山市(付近)にある大縣神社でも同様に豊年祭が行われ、田縣神社が男根を重んじることに対し、大縣神社には女陰を重んじることから、2社は対になっているのではないかという指摘もあるようです(一応、無関係とされる)。
性器崇拝についてはこちらの記事を参照:【生殖器崇拝(性器崇拝)とは?】
神社概要
創建由緒
田縣神社の由緒について、由緒書には以下のように記されています。
御創建年代は弥生時代までさかのぼり、「母なる大地は、父なる天の恵みにより受胎する」と古代人の民俗思想により始まり、五穀の豊穣・国土の発展を神に祈ったと伝えられております。
古来より当社には、男茎形をお供えする風習があり、「産むは生む」に通じて、子宝・安産の子孫繁栄、企業・商売の繁昌、さらには恋愛成就・縁結び・夫婦円満・厄除開運・交通安全・諸病の平癒等の守護神として全国の崇敬者に格別の尊崇を受けております。
古来より当社には、男茎形をお供えする風習があり、「産むは生む」に通じて、子宝・安産の子孫繁栄、企業・商売の繁昌、さらには恋愛成就・縁結び・夫婦円満・厄除開運・交通安全・諸病の平癒等の守護神として全国の崇敬者に格別の尊崇を受けております。
このことから、弥生時代から既に存在していた土着の性器崇拝に基づく神社であると考えられます。
祭神
田縣神社の祭神は以下の通りです。
主祭神
・御歳神(ミトシノカミ):五穀豊穣の神
→ 大歳神(オオトシノカミ)の子であり、素戔嗚尊(スサノオ)の孫に当たる
・玉姫神(タマヒメノミコト):子宝・安産の守護神
→ 尾張開拓の祖神・大荒田命(オオアラタ)の王女であり、尾張氏の健稲種命(タケイナダネ)の妃
・御歳神(ミトシノカミ):五穀豊穣の神
→ 大歳神(オオトシノカミ)の子であり、素戔嗚尊(スサノオ)の孫に当たる
・玉姫神(タマヒメノミコト):子宝・安産の守護神
→ 尾張開拓の祖神・大荒田命(オオアラタ)の王女であり、尾張氏の健稲種命(タケイナダネ)の妃
豊年祭
田縣神社の豊年祭(ほうねんまつり)について、由緒書には以下のように記されています。
天下の奇祭として有名は豊年祭は、毎年3月15日に執り行われます。
この祭は長さ2.5m程の大男茎形(おおわせがた)を神輿に担ぎ、稲の尊さ・万物の尊さ・生命の尊さを訴え、今年一年が豊かな年であることを祈る祭りであり、万物育成・世界平和の願いを込めて御旅所より御神前にお供えする神事です。
このような神事は私達の祖先が生活の中から生み出し、大切に守り続ける貴重な文化遺産ともいうべき神祭りです。
この祭は長さ2.5m程の大男茎形(おおわせがた)を神輿に担ぎ、稲の尊さ・万物の尊さ・生命の尊さを訴え、今年一年が豊かな年であることを祈る祭りであり、万物育成・世界平和の願いを込めて御旅所より御神前にお供えする神事です。
このような神事は私達の祖先が生活の中から生み出し、大切に守り続ける貴重な文化遺産ともいうべき神祭りです。
上記のとおり、豊年祭は古代の性器崇拝に始まり、五穀豊穣はじめとする生命の尊さを訴える古い歴史を持つ祭りであり、ネットを介して世界中に知られるようになった有名な祭りでもあります。
そのため、当日には人種や老若男女問わず、多種多様の見物客の集まる「天下の奇祭」として知られています。
なお、男性器を奉る田縣神社の豊年祭は別名「扁之古祭(へのこ祭)」とも呼ばれ、一方、女性器を奉る大縣神社の豊年祭は別名「於祖々祭(おそそ祭)」と呼ばれています(2社は付近にあり、同日に開催される)。
豊年祭についての詳しい情報はこちらの記事を参照:【天下の奇祭・田縣神社の豊年祭2015】
大男茎形
田縣神社の豊年祭で神輿に乗せられる巨大な男根形の御神体は「大男茎形(おおわせがた)」と呼ばれています。
これは『古語拾遺』にある御年神の説話に因むとされ、その内容は以下の通りです。
御歳神の祟り(『古語拾遺』より)
神代の頃、大地主神(オオトコヌシ)が田を作ろうとした日に田人に牛肉を食べさせた。そのとき、御歳神(ミトシノカミ)の子は、その田に来て饗を止めさせ、その有様を父に告げた。
すると、御歳神は激怒して、その田に宇名後(イナゴ)を放って苗葉をたちまちに枯れさせてしまった。そこで、大地主神は、片巫(カタカムナギ)と 肘巫(ヒジカムナギ)に占わせ、解決の策を探らせた。
その占いから「御歳神の祟り」であると分かり「白猪・白馬・白鶏を献上して、その怒りを解くべし」と出た。そのため、占いの教えのままに御歳神に謝罪し、それぞれの供物を献上した。
すると、御歳神は供物を以ってそれに答え、糸巻き・麻の葉・鳥扇などと共に「男茎」を用いたイナゴ除けのまじないを教えた。そして、その教え通りにすると、再び苗葉が茂り、年穀も豊かに実ったという。
神代の頃、大地主神(オオトコヌシ)が田を作ろうとした日に田人に牛肉を食べさせた。そのとき、御歳神(ミトシノカミ)の子は、その田に来て饗を止めさせ、その有様を父に告げた。
すると、御歳神は激怒して、その田に宇名後(イナゴ)を放って苗葉をたちまちに枯れさせてしまった。そこで、大地主神は、片巫(カタカムナギ)と 肘巫(ヒジカムナギ)に占わせ、解決の策を探らせた。
その占いから「御歳神の祟り」であると分かり「白猪・白馬・白鶏を献上して、その怒りを解くべし」と出た。そのため、占いの教えのままに御歳神に謝罪し、それぞれの供物を献上した。
すると、御歳神は供物を以ってそれに答え、糸巻き・麻の葉・鳥扇などと共に「男茎」を用いたイナゴ除けのまじないを教えた。そして、その教え通りにすると、再び苗葉が茂り、年穀も豊かに実ったという。
上記の説話にある「男茎を用いた蝗除けのまじない」が、この大男茎形の起源とされています。
奥宮
田縣神社の奥宮には多数の男茎形が奉納されており、奥には一際大きな「大男茎形」が鎮座しています。
また、奥宮の鈴も男根形であり、そのほか周囲にも多数の男根形のオブジェが奉納されています。
なお、奥宮の説明書によれば、以下のように説明されています。
田縣の奥宮
千年の昔より遠近の人々願ひの叶ひしを喜びて、逸物を供える慣習あり、これをみて男子はその雄大な形相に益々発奮して仕事に励み、女人はひそかに伺いみて願ひかければ良縁を得るまた子宝に恵まれるとぞ、生むは産むに通じて商売繁盛には霊験いやちこなり
千年の昔より遠近の人々願ひの叶ひしを喜びて、逸物を供える慣習あり、これをみて男子はその雄大な形相に益々発奮して仕事に励み、女人はひそかに伺いみて願ひかければ良縁を得るまた子宝に恵まれるとぞ、生むは産むに通じて商売繁盛には霊験いやちこなり
境内の見どころ
本殿
田縣神社の本殿です。
奥宮
田縣神社の奥宮です。
珍宝窟
田縣神社の珍宝窟(ちんぽうくつ)です。
男根と睾丸をモチーフにしたオブジェが設置された祠であり、2つの玉をさすると御利益があるとされています(右の玉は「家内安全・商売繁盛・金運」、左の玉は「恋愛成就・子宝・安産・夫婦和合」)。
なお、付近の石碑には「玉さすり 賽銭入れて 珍となす」と記されており、賽銭を入れると「チーン」という音が鳴る仕組みになっているのが面白いです。
豊年祭の絵馬
田縣神社の絵馬には、豊年祭で用いられる男根を乗せたお神輿が描かれています。
男根形のオブジェ
田縣神社の境内には多種多様の男根と女陰の像が祀られています。
※以下の画像は民俗学の資料として載せています。
男根形のおみやげ
付近のスーパーには田縣神社のお土産コーナーがあり、「さずかり飴」などの男根を模ったお菓子が販売されています。
料金: 参拝無料
住所: 愛知県小牧市田県町152
営業: 9:00~17:00、無休
交通: 田県神社前駅(徒歩5分)
公式サイト: http://www.tagatajinja.com/index.html
住所: 愛知県小牧市田県町152
営業: 9:00~17:00、無休
交通: 田県神社前駅(徒歩5分)
公式サイト: http://www.tagatajinja.com/index.html
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「日本神話」を研究しながら日本全国を旅しています。旅先で発見した文化や歴史にまつわる情報をブログ記事まとめて紹介していきたいと思っています。少しでも読者の方々の参考になれば幸いです。
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