人文研究見聞録:生殖器崇拝(性器崇拝)の奇祭一覧

生殖器崇拝(性器崇拝)のまとめにちなんで、全国の性にまつわる奇祭を月別にここにまとめておきます。

生殖器崇拝(性器崇拝)についてはこちらの記事を参照:【生殖器崇拝(性器崇拝)とは?】



1月


・てんてこ祭【愛知県】
 → 毎年1月3日に熱池八幡社(愛知県西尾市熱池町)で行われる
  ⇒ 赤装束に身を包み、男根形の木像をぶら下げた厄男が太鼓に合わせて町を練り歩く奇祭
・稲渕の綱掛神事【奈良県】
 → 毎年1月第2月曜日に奈良県の明日香村(奈良県高市郡明日香村稲渕1165-2)で行われる
  ⇒ 「雄綱」と呼ばれる男根形の藁人形を飛鳥川の上に吊るして子孫繁栄・五穀豊穣・悪病退散を祈願する民間習俗
・栢森の綱掛神事【奈良県】
 → 毎年1月11日に奈良県の明日香村(奈良県高市郡明日香村栢森131)で行われる
  ⇒ 「雌綱」と呼ばれる女陰形の藁人形を飛鳥川の上に吊るして子孫繁栄・五穀豊穣・悪病退散を祈願する民間習俗
・ご神体祭【群馬県】
 → 毎年1月14日に間物地区(群馬県多野郡神流町)で行われる
  ⇒ 「オンマラサマ」と呼ばれる男根形の木像が注連縄に吊るされて祀られるという無病息災と子孫繁栄を願う神事
・嫁つつき 【秋田県】
 → 毎年1月15日に秋田県で行われるという奇習(民間習俗)
  ⇒ 新婚夫婦の子宝を願い、集落の子供達が新妻を囲んで男根形の棒で突く
・塞の神まつり 【富山県】
 → 毎年1月15日に近い日曜日に行われる富山県の上野邑町地区の小正月の火祭り(左義長)
  ⇒ 男女一対の木偶人形を持ち「塞の神じゃ、大神じゃ、じいじもばあばも、ほこほこじゃ…」と唄う
・白木野人形送り【岩手県】
 → 毎年1月19日に白木野公民館(岩手県和賀郡西和賀町白木野)で行われる
  ⇒ 男根付きの藁人形に疫神を降ろして地域の外に追い出す民間信仰の神事
・下前形送り【岩手県】
 → 毎年1月19日に下前公民館(岩手県和賀郡西和賀町)で行われる
  ⇒ 男根付きの藁人形に疫神を降ろして地域の外に追い出す民間信仰の神事
・おめつき 火伏せ祭(名振のおめつき) 【宮城県】
 → 毎年1月24日に秋葉神社(宮城県石巻市)で行われる
  ⇒ 即興劇という猥談と寸劇の後に男根形のオブジェに乗って神事を行うとされる
・金剛地金山神社祭典【山梨県】
 → 毎年1月28日に金山神社(山梨県甲斐市宇津谷5114)で行われる
  ⇒ 男女の性器を模ったあんころ餅が奉納され、振る舞われる夫婦和合と子宝を願う神事


2月


・登別温泉湯まつり【北海道】
 → 毎年の2月3日、4日にかけて登別温泉(北海道登別市登別温泉町)行われる
  ⇒ 同祖神とされる漆黒の巨大な男根を担いで廻る奇祭であり、男性は褌、女性は晒という姿で参加する
・山の神笑い祭り【三重県】
 → 毎年2月7日に篝堂(三重県尾鷲市南浦2546-16)で行わる
  ⇒ 山の女神とオコゼの故事に因み、山の女神に男根形の木像が奉納され、皆がオコゼを抱いて笑うという奇祭
・おんだ祭り 【奈良県】
 → 毎年2月第1日曜日に飛鳥坐神社(奈良県明日香村)で行われる
  ⇒ 天狗とお多福が性行為を模した寸劇を行う五穀豊穣と子孫繁栄の神事(ただし、中の人は男性)
・牛蒡祭【三重県】
 → 毎年2月11日に仲山神社(三重県津市美杉町)で行われる
  ⇒ 男根形の木像と女陰形の藁人形を乗せた神輿がそれぞれ別々に練り歩き、最終的に合体するという三重の奇祭
・左草人形送り【岩手県】
 → 毎年2月11日に左草公民館(岩手県和賀郡西和賀町左草)で行われる
  ⇒ 「ショウキサマ」と呼ばれる性器の付いた男女一対の藁人形に疫神を降ろして地域の外に追い出す民間信仰の神事
・雪中花水祝【新潟県】
 → 毎年2月11日に藪上神社(新潟県魚沼市堀之内)で行われる
  ⇒ 巨大で真っ赤な男根形を神輿に乗せて町を練り歩き、新婚に冷水をぶっかける子宝・夫婦和合などを願う神事
・高道祖神社の道祖神祭【茨城県】
 → 毎年旧暦1月14日(2月中旬)に高道祖神社(茨城県下妻市高道祖)で行われる
  ⇒ 「塞り棒(さやりぼう)」と呼ばれる男根と女陰を模った持ちが販売され、それを食べると子宝に恵まれるとされる
・御塞神祭【山形県】
 → 毎年旧暦1月15日(2月中旬~下旬)に平塩熊野神社(山形県寒河江市平塩)で行われる
  ⇒ 木彫りの男根を女性を模った「御塞神」に奉納する神事であり、男根形を手に入れると福が訪れると云われる


3月


・流し雛(淡島神社例祭)【神奈川県】
 → 毎年3月3日に淡島神社(神奈川県横須賀市芦名)で行われる
  ⇒ 祭礼で使う底がない柄杓と共に、幣帛の巻かれた男根形の石像が奉納される
・豊年祭(へのこ祭) 【愛知県】
 → 毎年3月15日に田縣神社(愛知県小牧市)で行われる
  ⇒ 御神体である大男茎形を乗せた神輿を担いで付近を練り歩く、五穀豊穣と子宝・安産を願う神事
・豊年祭(おそそ祭) 【愛知県】
 → 毎年3月15日頃に大縣神社(愛知県犬山市)で行われる
  ⇒ 女陰を模したお多福や衣装を着て付近を練り歩く、五穀豊穣と子宝・安産を願う神事
・ほだれ祭り 【新潟県】
 → 毎年3月第2日曜日に下来伝ほだれ神社(新潟県長岡市)で行われる
  ⇒ 日本一の大きさを誇るとされる男根形の御神体(ほだれ様)にまたがり、五穀豊穣と子宝・安産を願う神事


4月


・かなまら祭り 【神奈川県】
 → 毎年4月の第一日曜日に金山神社(神奈川県川崎市)で行われる
  ⇒ 数種類の男根形の御神体を乗せた神輿を担いで周辺を練り歩く、性病除や商売繁盛を願う神事
・水使神社の例祭【栃木県】
 → 毎年4月と10月第3日曜日に水使神社(栃木県足利市五十部町)で行われる
  ⇒ 例祭の日に限り、神社秘蔵の「性にまつわる珍宝」が開帳される
・大沢温泉金勢まつり 【岩手県】
 → 毎年4月29日に大沢温泉(岩手県花巻市)で行われる
  ⇒ 男根形の御神体(金勢様)を神輿のように担いで縁結び、子宝・安産を願う


5月


・へいさんぼう【茨城県】
 → 毎年5月5日に牛渡鹿島神社(茨城県かすみがうら市牛渡)で行われる
  ⇒ 「平三坊」という男性役が木製の男根を振り回し、「早乙女」という女性役にハメるという五穀豊穣を願う神事
・ナーバ流し【茨城県】
 → 毎年5月下旬に御船神社(茨城県行方市蔵川)で行われる
  ⇒ 「ナーバ(苗束)」という藁で作った男女の性器を併せて祀る御田植祭とされる


6月


・県祭り(あがたまつり) 【京都府】
 → 毎年6月5日から翌6日にかけて行われる京都府宇治市で行われる
  ⇒ 暗闇で行なわれる「暗闇祭」であり、古くは相知らぬ男女が祭りの中で性交渉を行ったと云われる(現在は明るい)
・どんつく祭り 【静岡県】
 → 毎年6月第1火~水曜日にどんつく神社(静岡県賀茂郡東伊豆町)で行われる
  ⇒ 男根形の御神体を乗せた神輿を担いで周囲を練り歩く、夫婦和合と子孫繁栄を願う神事
・羽茂まつり【新潟県】
 → 毎年6月15日に佐渡島の草刈神社・菅原神社・度津神社(新潟県佐渡市羽茂本郷)で行われる
  ⇒ 菅原神社の「太神楽つぶろさし」では、巨大な男根を持つ「つぶろさし」が登場する神楽が行われる
・しねり弁天たたき地蔵【新潟県】
 → 毎年6月30日に弁財天宮と観音寺の間(魚沼市小出市街)で行われる
  ⇒ 女性の尻をつねる奇祭であり、500kg以上ある男根形の木像が弁天の輪に入る「金精様の婿入り」という神事が行われる


7月


・淡島・金勢祭り(盛岡まぐわい祭り)【岩手県】
 → 毎年7月の第3土曜日に淡島明神社と智和伎神社で行われる
  ⇒ 女陰形の「あわしま様」と男根形の「こんせい様」という藁で作られた御神体を併せる「まぐわいの儀」を行う神事
・中沢虫追いまつり【岩手県】
 → 毎年7月下旬に蒼前神社(岩手県二戸市上斗米中沢)で行われる
  ⇒ 性器の付いた男女一対の藁人形を持って町内を練り歩き、最後にその人形を燃やす民間信仰の神事
・白山丸祭り【新潟県】
 → 毎年7月最終日曜日に佐渡國小木民俗博物館(新潟県佐渡市宿根木)で行われる
  ⇒ 伝統芸能「ちとちんとん」では男根の木像を持って踊り、「大珍宝神輿」という巨大な男根を乗せた神輿も登場する
・姫神祭 【徳島県】
 → 毎年夏(7月下旬~8月上旬)に八幡神社(姫神神社、徳島県海部郡牟岐町)で行われる
  ⇒ 御神体とされる巨大な男根形のハリボテを大島の姫神という女陰形の自然石まで運び、そこで合体させる
・ぼんのこへんのこ祭【滋賀県】
 → 毎年7月31日に松尾神社(滋賀県湖南市平松)で行われる
  ⇒ 女陰形の茅の輪「ぼんのこ」と男根形の木像「へんのこ」を奉納して火伏せを祈願する神事


8月


・鹿野山の人形焼【千葉県】
 → 毎年8月14日に神野寺の駐車場(千葉県君津市鹿野山)で行われる
  ⇒ 乳房と男根付きの巨大な藁人形(両性具有とされる)を燃やして豊作を願うという祭礼
・福田人形まつり【岩手県】
 → 毎年8月中旬に高清水稲荷神社(岩手県二戸市御返地福田)で行われる
  ⇒ 性器の付いた男女一対の藁人形に疫病除の祈願をし、最後にその人形を川に流す民間信仰の神事
・珍棒地蔵祭り【新潟県】
 → 毎年8月の第四日曜日に音子神社(新潟県長岡市上樫出)で行われる
  ⇒ 音子神社の掃除をメインとする奇祭であり、巨大な男根を持つ「珍棒地蔵」の土像が造られる


9月


・ボゼ祭り【鹿児島県】
 → 毎年旧暦7月7日~7月16日(8~9月頃)に悪石島公民館前(鹿児島県鹿児島郡十島村悪石島)で行われる
  ⇒ 「ボゼ」という仮面をつけた神は「ボゼマラ」という男根を指す棒で叩いて悪霊払いを行う
・ささらすり【長野県】
 → 毎年9月中旬に2日間かけて行われる千国諏訪神社(長野県北安曇郡小谷村)の例祭
  ⇒ 男根を模った「ささら」という2本の棒を持つ「ささら師」に女性が追いかけ回される奇祭
・枋ノ木神社金勢様まつり【岩手県】
 → 毎年9月第3土曜日から翌日曜日にかけて枋ノ木神社(岩手県二戸市石切所)で行われる
  ⇒ 男根形の御神体を乗せた山車や神輿が町内を練り歩く、五穀豊穣と子孫繁栄を願う神事
・日本のふるさと遠野まつり【岩手県】
 → 毎年9月の第3土曜日から翌日曜日かけて遠野郷八幡宮(岩手県遠野市松崎町)で行われる
  ⇒ 遠野市の郷土芸能がメインだが、男根形の御神体を乗せた「勢組」が町を練り歩く(ポスターの女性は異常な美人である)
・美ヶ原温泉 道祖神祭り 【長野県】
 → 毎年9月第4土曜日に美ヶ原温泉(長野県松本市)で行われる
  ⇒ 木製の巨大な男根を担ぎ、温泉街を練り歩く


10月


・ちとちんとん【新潟県】
 → 毎年10月の第二土曜日(15・16日)に新潟県佐渡市宿根木で行われる
  ⇒ 宿根木鎮守の祭で、男根を持ったヒョットコとササラを持ったオカメが舞う
・水使神社の例祭【栃木県】
 → 毎年4月と10月第3日曜日に水使神社(栃木県足利市五十部町)で行われる
  ⇒ 例祭の日に限り、神社秘蔵の「性にまつわる珍宝」が開帳される
・天狗まつり【大阪府】(※他の性器崇拝の祭礼と重複することからリストに含める)
 → 毎年10月15・16日に聖天宮西江寺(大阪府箕面市)で行われる
  ⇒ 踊り狂う天狗は「ささら」という棒で女性の尻を叩くと子宝に恵まれるという
・山北のお峯入り【神奈川県】
 → 数年おき(5、6年に一度)の10月16日に山北町役場(神奈川県足柄上郡山北町)で行われる
  ⇒ 男性のみで行われる祭りであり、オカメが白く大きな男根形の木像を背負って行う「五色踊り」が奉納される
・はなよ【岡山県】
 → 毎年10月の19日20日に近い日曜日に七曲神社(岡山県岡山市北区御津金川)で行われる
  ⇒ 「はなよ」と呼ばれる雌の獅子舞が、ひょっとこの持つ男根に食らいつこうとする寸劇が行われる奇祭
・武蔵野美術大学芸術祭【東京都】
 → 毎年10月末の3日間に行われる武蔵野美術大学 鷹の台キャンパス(東京都小平市小川町)で行われる
  ⇒ 毎年の多種多様な男根神輿が造られるが、芸大の文化祭なので性器崇拝に当てはまるか否かは微妙


11月


・英彦山男魂祭【福岡県】
 → 毎年11月中旬(10日ごろ?)に深倉園地(福岡県田川郡添田町)で行われる
  ⇒ 「寶朕神」と呼ばれる男根形の御神体を乗せた山車が出る


12月


・安食の酉の市【千葉県】
 → 毎年12月の初酉の日を含む3日間に大鷲神社(千葉県印旛郡栄町)で行われる
  ⇒ 巨大な男根形の「魂生大明神」乗った山車を「女性」が曳き廻す「魂生大明神曳き廻し」が行われる
・斎田の山の神さん【三重県】
 → 毎年12月8日に近い日曜日に山の神さんの祠で行われる
  ⇒ 山の神とされる女神に細かい細工のされた男根形の木像を奉納して無病息災を願う民間信仰の神事
・あらい祭り(大根祭り)【千葉県】
 → 毎年12月14日に大宮神社(千葉県山武郡芝山町)で行われる
  ⇒ 男根と女陰を模った大根を新妻の前に出して子孫繁栄を願い、竹の櫓に火を掛けて大根を投げ合うという神事
・大飯祭り【茨城県】
 → 毎年12月第2日曜日(または第1日曜日)に下泉公民館(茨城県桜川市下泉)で行われる
  ⇒ 大量の白米を食べるという奇祭であり、「イマハマ」と呼ばれる役者は長くて白い木製の男根を携えている
・福田の馬鹿祭り【茨城県】
 → 毎年旧暦11月15日・16日(12月中旬)にかけて鹿島神社(茨城県稲敷郡阿見町)で行われる
  ⇒ ヒョットコとオカメの夫婦に扮した男性が、大根で造られた男根と女陰を持って各家を廻る民間習俗

matapon
著者: matapon Twitter
「日本神話」を研究しながら日本全国を旅しています。旅先で発見した文化や歴史にまつわる情報をブログ記事まとめて紹介していきたいと思っています。少しでも読者の方々の参考になれば幸いです。