人文研究見聞録:上野神社(近江八幡市) [滋賀県]

滋賀県近江八幡市にある上野神社(うえのじんじゃ)です。

平安時代に鎮座したとされる古社であり、主祭神に健速須佐之男命を祀っています。

なお、当初の祭神は鴨建角身命であり、創建にまつわる伝説も伝えられています。


神社概要

由緒

滋賀県神社庁HPによれば、社伝に"延暦13年(794年)に鎮座し、鴨建角身命(カモタケツヌミ)を祀る"とあるとされます。

近代以降は、明治9年(1876年)に村社になり、明治43年(1910年)に桐原七ヶ村の産土神を合祀したとされます。

なお、当社の創祀について以下のような社伝が伝えられています。

上野神社の社伝 ※読みやすいように加筆修正しています

第21代 雄略天皇の御代、この地に物部宿禰(もののべのすくね)の高比古(タカヒコ)という者が居り、射術に優れていた高比古は郊外に出て一日中 狩りをしていた。

そんな中、池沢のある場所にて、日が陰り霧が深くなったことから道に迷ってしまい、林の中で伏していると一人の老人が現れて「我は この地に住んでいる者だが、汝は弓箭に達する。もし、我を祀るならば天下後代に至るまで五穀豊穣・郷村安穏の守護を成そう」と言った。

高比古は目の前に神が現れたと思い、まず神籠を造り、後世のために祠を設置するための基礎を築いた。そして、賀茂明神を祀り、後世は5月の祭礼に弓箭を以って神を祀った。

祭神

上野神社の祭神は以下の通りです。

【主祭神】

・健速須佐之男命(タケハヤスサノオ):三貴子の一柱で出雲の祖神(天照大神の弟神に当たる)

【配祀神】

・應神天皇(おうじんてんのう):第15代天皇であり、八幡神として全国の八幡宮などで祀られる
菅原道真公(すがわらのみちざね)平安中期の政治家(死後、天満天神として信仰される)
・天照大御神(アマテラス):太陽を神格化した皇祖神であり、伊勢内宮の主祭神として有名
・日本武尊(ヤマトタケル):第12代景行天皇の皇子であり、九州の熊襲と東北の蝦夷の征討を成したとされる
・伊邪那岐尊(イザナギ):『記紀』において国産み・神産みの男神とされる
・伊邪那美尊(イザナミ):『記紀』において国産み・神産みの女神とされる
・蛭子尊(ヒルコ):イザナギ・イザナミの最初の子であり、不具であったために流された神(西宮神社の祭神)
・建御名方神(タケミナカタ):諏訪大神、諏訪大明神とも呼ばれ、諏訪大社の主祭神として有名
・市杵島姫命(イチキシマヒメ):宗像三女神の一柱で、弁財天と習合している
・大山祇神(オオヤマヅミ):山を司る神とされる
・草野比賣命(カヤノヒメ):草の神とされる
・大名持命(オオナムチ):大国主命の名で知られる出雲大社の主祭神
・須佐理毘賣命(スセリヒメ):『古事記』に登場し、スサノオの娘でオオナムチの正妻となった女神
・大山咋命(オオヤマクイ):山背国を開拓したとされる比叡山の神(松尾大社・日吉大社で祀られる)
・豊宇気毘売神(トヨウケビメ):ワクムスビの子で、豊受大神と同一視される食物を司る女神

境内社

人文研究見聞録:上野神社(近江八幡市) [滋賀県]
人文研究見聞録:上野神社(近江八幡市) [滋賀県]

上野神社の境内社は以下の通りです。

・子安神社
・岩滝神社
・大神宮社
・稲荷神社
・多賀神社
・新宮神社

境内の見どころ

鳥居

人文研究見聞録:上野神社(近江八幡市) [滋賀県]

上野神社の鳥居です。

神馬像

人文研究見聞録:上野神社(近江八幡市) [滋賀県]

上野神社の神馬像です。

遥拝所

人文研究見聞録:上野神社(近江八幡市) [滋賀県]

上野神社には、明治天皇遙拝所神武天皇遙拝所があります。

拝殿

人文研究見聞録:上野神社(近江八幡市) [滋賀県]

上野神社の拝殿です。

本殿

人文研究見聞録:上野神社(近江八幡市) [滋賀県]

上野神社の本殿です。

料金: 無料
住所: 滋賀県近江八幡市安養寺町832(マップ
営業: 終日開放
交通: 篠原駅(徒歩3分)

公式サイト: http://uenojinja.web.fc2.com/
matapon
著者: matapon Twitter
「日本神話」を研究しながら日本全国を旅しています。旅先で発見した文化や歴史にまつわる情報をブログ記事まとめて紹介していきたいと思っています。少しでも読者の方々の参考になれば幸いです。