人文研究見聞録:鏡神社(竜王町) [滋賀県]

滋賀県蒲生郡竜王町にある鏡神社(かがみじんじゃ)です。

古くから当地の産土神として鎮座している古社であり、新羅より渡来したとされる天日槍を祀っています。

また、源義経は当社で元服したと伝えられており、境内には義経の烏帽子掛けの松が安置されています。


神社概要

由緒

由緒書によれば、創祀年代は不詳とされますが、垂仁天皇3年(BC.31)に朝鮮半島の新羅国より来朝した天日槍(アメノヒボコ)が神宝の日鏡を山上に納めて鏡山と称し、その山裾にて従者に陶器を造らせたと伝えられており、天日槍を当地の産土神として崇めたのが起源であるされています。

また、当地 鏡路・鏡山は万葉の歌枕として150余首詠まれ、宮廷巫女の歌人・額田王や鏡王女にも所縁の地であり、承安4年(1174年)には源義経が当地に宿泊し、自ら烏帽子を着けて元服(成人の儀式)した地であるとも伝えられています。

社殿については、寛平年間(889~898年)に火災に遭ったと伝えられており、現在の本殿は室町時代に再建したものとされ、国の重要文化財に指定されています。

なお、由緒書による解説は以下の通りです。

【鏡神社 由緒】

当神社の創祀年代は不詳であるが、主祭神 天日槍尊(アメノヒボコ)は『日本書紀』による新羅國の王子にして垂仁天皇3年の御世(BC.31)に来朝し、多くの技術集団(陶物師・医師・薬師・弓削師・鏡作師・鋳物師など)を供に近江の国へ入り集団を成し、吾国は育み文化を広めた祖神を祀る古社である。

天日槍は持ち来たる神宝の日鏡を この地に納めたことから「鏡」の地名が生まれ、書紀にも「近江鏡の谷の陶人は、すなわち天日槍の従人なり」と記されている。鏡山の麓は渡来集団に関わる地名も多く、須恵器を焼いた古窯跡群も広く現存する。

延喜の御世には大嘗会に鏡餅を献上した火鑚の里であり、鏡路は鏡山と共に万葉の歌枕として150余首詠まれ、宮廷巫女の歌人・額田王や鏡王女にも所縁の地である。現社殿は室町時代に再建された三間社流れ造りにして、屋根は「こけら葺き」の貴重な建築様式は国の重要文化財である。

承安4年(1174年)、牛若丸こと源氏の遮那王は京都鞍馬から奥州へ旅路、この鏡の宿に泊まり、境内宮山の岩清水を盥(たらい)に汲み、自ら烏帽子を着けて元服した。鏡神社へ参拝した16歳の若者は「吾こそは源九郎義経なり」と名乗りをあげ、源氏の再興と武運長久を祈願した武将元服の地である。以後、岩清水は源義経元服池と称し、現在も清水を湛えている。義経公を偲ぶ「とがらい祭り」は11月2日の夕刻に男児を主役に斎行される。

大正6年、当地宮城一帯における特別大演習を大正天皇御統監のみぎり、鏡神社宮山に行幸あそばされ、御親拝の栄に浴す。以後宮山を御幸山と称し、自然公園として管理される。飛地境内の鏡山は山頂に近江の総社・龍王宮を祀り、7月10日を例祭とする。

祭神

鏡神社の祭神は以下の通りです。

【主祭神】

・天日槍尊(アメノヒボコ):『記紀』に登場する人物で、垂仁天皇の御代に渡来した新羅王子とされる

【配祀神】

・天津彦根命(アマツヒコネ):スサノオとアマテラスの誓約で生まれた男神の一柱
・天目一箇命(アメノマヒトツ):「日本神話」に登場する神で、製鉄・鍛冶の神であるとされる
 → 『ホツマツタヱ』では、右目一つで八振の八重垣の剣を造ったことでアマメヒトツという尊称を賜ったとされる

関連社

人文研究見聞録:鏡神社(竜王町) [滋賀県]
八幡神社

鏡神社の関連社は以下の通りです。

【境内社】

・八幡神社:誉田別尊(応神天皇)、源義経を祀る

【境外社】

・龍王宮(貴船神社):高龗神(八大竜王摩那斯龍神)を祀る
 → 鏡山の山頂に祀られており、推古天皇の御代に雨の神・八大龍王を祀ったことに始まる
 → 598年に聖徳太子によって建立されたと伝えられる箱石雲冠寺の鎮守であったとされる

境内の見どころ

鳥居

人文研究見聞録:鏡神社(竜王町) [滋賀県]

鏡神社の鳥居です。

源義経の烏帽子掛けの松

人文研究見聞録:鏡神社(竜王町) [滋賀県]

鏡神社にある源義経の烏帽子掛けの松です。

承安4年(1174年)3月3日に鏡の宿で元服した牛若丸が、烏帽子を掛けて源九郎義経と名乗りをあげたと伝えられています。

鏡山古窯址群

人文研究見聞録:鏡神社(竜王町) [滋賀県]

鏡神社の境内にある鏡山古窯址群です。

祓戸神

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鏡神社に祀られている祓戸神です。

拝殿

人文研究見聞録:鏡神社(竜王町) [滋賀県]

鏡神社の拝殿です。

本殿

人文研究見聞録:鏡神社(竜王町) [滋賀県]

鏡神社の本殿です。

南北朝時代に建立されたものであり、国の重要文化財に指定されています。

料金: 無料
住所: 滋賀県蒲生郡竜王町鏡1289(マップ
営業: 終日開放
交通: 篠原駅(徒歩26分)

公式サイト: http://www.town.ryuoh.shiga.jp/yoshitune/genpuku/kagami-jinja.html
matapon
著者: matapon Twitter
「日本神話」を研究しながら日本全国を旅しています。旅先で発見した文化や歴史にまつわる情報をブログ記事まとめて紹介していきたいと思っています。少しでも読者の方々の参考になれば幸いです。