四天王寺の聖霊会 [大阪府]
2017/08/19
大阪府にある四天王寺では、毎年4月22日に聖霊会(しょうりょうえ)という大法要が行われます。
この聖霊会に参加してきたので、法要の概要と参加レポートを以下にまとめてみたいと思います。
概要
四天王寺について
四天王寺(してんのうじ)とは、大阪市天王寺区に位置する寺院で、飛鳥時代に聖徳太子によって創建された日本最古の官寺(国営の寺院)であり、創建に至る経緯は『日本書紀』に記されています。
『日本書紀』によれば、用明天皇2年(587年)、かねてより仏教の是非を巡って対立していた崇仏派の蘇我氏と排仏派の物部氏の間で武力闘争が勃発し、蘇我軍に参加していた厩戸皇子(聖徳太子)が白膠木(ぬるで)の木で四天王の像を作って「もし、この戦に勝利したなら、必ずや四天王を安置する寺を建てよう」と誓願をすると、味方の矢が物部軍の大将である物部守屋を討ち取り、劣勢だった蘇我軍を勝利に導いたとされ、推古天皇元年(593年)、聖徳太子は難波の荒陵(あらはか)に四天王寺を建立したとされています。
このため、四天王寺は聖徳太子と深い関わりを持つ寺院であり、毎月22日には聖徳太子の月命日として「太子会(たいしえ)」という縁日が行われ、毎年4月22日には聖徳太子の命日を偲んで「聖霊会舞楽大法要」が行われます。
詳しくはこちらの記事も参照:【四天王寺】 【丁未の乱とは?】 【聖徳太子とは?】
太子会とは?
太子会(たいしえ)とは、太子忌(たいしき)とも呼ばれる聖徳太子の月命日であり、四天王寺の縁日として毎月22日に絵堂と中心伽藍などが無料開放され、境内では四天王寺骨董市が行われます。
一般的には 縁日として屋台や骨董市が開かれることで知られており、レトロなインテリア雑貨や掘り出し物のアンティークなどを探すことが楽しみとされているようです。ちなみに、前日の21日にも弘法大師の月命日である大師会(だいしえ)として、屋台や骨董市が開かれています。
太子会で無料開放される施設
・中心伽藍:金堂・講堂・五重塔(最上階回廊)
・絵堂:聖徳太子の一生を絵にした絵伝が見られる施設で、僧侶による解説あり(記念品授与の場合あり)
・守屋祠:聖霊院の庭園に位置する祠(物部守屋大連、弓削小連、中臣勝海連を祀る)
聖霊会とは?
聖霊会(しょうりょうえ)とは、俗に「おしょうらい」と呼ばれる聖徳太子命日(旧暦2月22日)の大法要であり、四天王寺の最も重要な行事の一つとされます。
四天王寺では毎年4月22日に催され、六時堂前にある石舞台では「聖霊会舞楽大法要」として舞楽が披露されます。なお、この舞楽は平安時代以来の格式を誇り、その伝統を伝える「聖霊会の舞楽」として国の重要無形民俗文化財に指定されています。
当日のスケジュール
四天王寺の聖霊会のスケジュールは以下の通りです。
・絵堂・中心伽藍・守屋祠 開放:8:30~16:30
・骨董市:8:30~16:00(境内)
・聖霊会舞楽大法要:12:30~18:00頃(六時堂前石舞台)
・骨董市:8:30~16:00(境内)
・聖霊会舞楽大法要:12:30~18:00頃(六時堂前石舞台)
聖霊会の舞楽のプログラム
聖霊会の舞楽のプログラムは以下の通りです。
・道行(みちゆき):衆僧、楽人、長者等が左方と右方に分かれて石舞台に向う
・舞台前庭儀(ぶたいぜんていぎ):左右二列の諸役が六時堂前の定位置に並び、両舎利を迎える
・両舎利入道(りょうしゃりにゅうどう):一舎利、二舎利の両師が石舞台を渡って六時堂に入道する
・惣礼伽陀(そうらいかだ):法会の開始を告げる聖徳太子を讃える声明を行う
・衆僧入道(しゅうそうにゅうどう):僧が入道する
・諸役別座(しょやくべつざ):諸役が配置に付く
・楽舎揚幕(がくしゃあげまく):左右楽舎の幕を揚げ、演奏を始める
・集会乱声(しゅえらんじょう):左右楽舎の乱声
・振矛(えんぶ)三節:最初に舞われる儀式的な舞曲であり、舞台を清める宗教的な意味を持つ
→ 参考動画:【振矛(Youtube)】
・舞楽 蘇利古(そりこ):「聖徳太子の目覚めの舞」とされ、四天王寺では必ず5人で舞われる(一般的には4人舞)
→ 朝鮮半島伝来の舞で、百済から帰化した須々許理(ススコリ)が伝えたという
→ 参考動画:【蘇利古(Youtube)】
・楽 河水楽(かすいらく):楽曲演奏(左方楽舎)
・御上帳(みじょうちょう):聖徳太子像の帳が掲げられる
・御手水(みちょうず):御手水(朝の洗顔の作法)が行われる
・楽 廻盃楽(かいばいらく):楽曲演奏
・両舎利登高座(りょうしゃりとうこうざ):一舎利は西から、二舎利は東から高座に登る
・諷誦文(ふじゅもん):一舎利が太子講嘆の旨を唱え、法華経四巻を読み上げる
・願文(がんもん):二舎利が同じく太子講嘆の旨を述べ、法華経四巻を読み上げる
・舞楽 甘州(かんしゅう):曲名は古代中国の地名に由来すると云われ、演奏すると毒虫が害を与えなかったとされる
・行事鐘:伝供開始の合図の鐘が鳴らされる
・楽 十天楽(じってんらく):楽曲演奏(左右楽舎)
・伝供(でんぐ):楽を奏し、菩薩・八部衆・迦陵頻・胡蝶などの諸役によって供物を伝送し、長者が祝詞を唱える
→ 山海の産物や、伏兎(ふと)・曲(まがり)という古代の菓子が供えられる
・行事鐘:伝供終了の合図の鐘が鳴らされる
・菩薩(ぼさつ):インドから伝わった舞曲と考えられており、往古より舞われていたが現在は失伝している
・獅子(しし):伎楽であり、最も古い獅子舞の原型とされる
・舞楽 迦陵頻(かりょうびん):奈良時代に仏哲によって伝えられた林邑八楽の一つ
・舞楽 胡蝶(こちょう):古代に大陸から伝来した舞で、平安期に日本の音楽舞踊として咀嚼されて作曲もされた
→ 参考動画:【胡蝶(Youtube)】
・行事鐘:合図の鐘が鳴らされる
・楽 承和楽:楽を奏し、三綱は堂を降りてから舞台を渡って礼盤に至る
・祭文(さいもん):三綱は太子に法会の目的を奏上する
・行事鐘:合図の鐘が鳴らされる
・楽 賀王恩(かおうおん):楽を奏し、まずは唄師は堂を降りてから舞台を渡って礼盤に至り、次に衆僧は舞台に昇る
・唄匿(ばいのく):唄師は礼盤にて始段唄(声明)を唱える(四箇法要という最高格式の法要の一)
・楽 天人楽:舞台では衆僧が花弁を散らし、諸仏を供養する散華(声明)を唱え、舞台を行道する間に天人楽が奏される
・散華(ざんげ):四箇法要の一
・行事鐘:合図の鐘が鳴らされる
・舞楽 地久(ちきゅう):高麗双調曲で圓地楽(えんじらく)とも称され、面をつけた四人の舞人によって舞われる
・楽 延喜楽:楽を奏し、衆僧が道内から再び舞台に登って梵音(声明)、錫杖(声明)を唱える
・梵音(ぼんのん):四箇法要の一
・錫杖(しゃくじょう):四箇法要の一
・楽 長慶子(ちょうげいし):両舎利降高座の楽を奏す
・両舎利降高座(りょうしゃこうこうざ):両舎利は高座を降り、堂内の本座に着く
・舞楽 太平楽(たいへいらく):古代中国の武将の舞で、鎧や兜を身に着けた舞人によって舞われる
・入調(にゅうじょう):以降の舞楽は法会ではなく、観賞用の舞楽であるということを指す
・舞楽 還城楽(げんじょうらく):奈良時代に仏哲によって伝えられた林邑八楽の一つ
→ 参考動画:【還城楽(Youtube)】
・還御(かんぎょ):法会の終了
・舞台前庭儀(ぶたいぜんていぎ):左右二列の諸役が六時堂前の定位置に並び、両舎利を迎える
・両舎利入道(りょうしゃりにゅうどう):一舎利、二舎利の両師が石舞台を渡って六時堂に入道する
・惣礼伽陀(そうらいかだ):法会の開始を告げる聖徳太子を讃える声明を行う
・衆僧入道(しゅうそうにゅうどう):僧が入道する
・諸役別座(しょやくべつざ):諸役が配置に付く
・楽舎揚幕(がくしゃあげまく):左右楽舎の幕を揚げ、演奏を始める
・集会乱声(しゅえらんじょう):左右楽舎の乱声
・振矛(えんぶ)三節:最初に舞われる儀式的な舞曲であり、舞台を清める宗教的な意味を持つ
→ 参考動画:【振矛(Youtube)】
・舞楽 蘇利古(そりこ):「聖徳太子の目覚めの舞」とされ、四天王寺では必ず5人で舞われる(一般的には4人舞)
→ 朝鮮半島伝来の舞で、百済から帰化した須々許理(ススコリ)が伝えたという
→ 参考動画:【蘇利古(Youtube)】
・楽 河水楽(かすいらく):楽曲演奏(左方楽舎)
・御上帳(みじょうちょう):聖徳太子像の帳が掲げられる
・御手水(みちょうず):御手水(朝の洗顔の作法)が行われる
・楽 廻盃楽(かいばいらく):楽曲演奏
・両舎利登高座(りょうしゃりとうこうざ):一舎利は西から、二舎利は東から高座に登る
・諷誦文(ふじゅもん):一舎利が太子講嘆の旨を唱え、法華経四巻を読み上げる
・願文(がんもん):二舎利が同じく太子講嘆の旨を述べ、法華経四巻を読み上げる
・舞楽 甘州(かんしゅう):曲名は古代中国の地名に由来すると云われ、演奏すると毒虫が害を与えなかったとされる
・行事鐘:伝供開始の合図の鐘が鳴らされる
・楽 十天楽(じってんらく):楽曲演奏(左右楽舎)
・伝供(でんぐ):楽を奏し、菩薩・八部衆・迦陵頻・胡蝶などの諸役によって供物を伝送し、長者が祝詞を唱える
→ 山海の産物や、伏兎(ふと)・曲(まがり)という古代の菓子が供えられる
・行事鐘:伝供終了の合図の鐘が鳴らされる
・菩薩(ぼさつ):インドから伝わった舞曲と考えられており、往古より舞われていたが現在は失伝している
・獅子(しし):伎楽であり、最も古い獅子舞の原型とされる
・舞楽 迦陵頻(かりょうびん):奈良時代に仏哲によって伝えられた林邑八楽の一つ
・舞楽 胡蝶(こちょう):古代に大陸から伝来した舞で、平安期に日本の音楽舞踊として咀嚼されて作曲もされた
→ 参考動画:【胡蝶(Youtube)】
・行事鐘:合図の鐘が鳴らされる
・楽 承和楽:楽を奏し、三綱は堂を降りてから舞台を渡って礼盤に至る
・祭文(さいもん):三綱は太子に法会の目的を奏上する
・行事鐘:合図の鐘が鳴らされる
・楽 賀王恩(かおうおん):楽を奏し、まずは唄師は堂を降りてから舞台を渡って礼盤に至り、次に衆僧は舞台に昇る
・唄匿(ばいのく):唄師は礼盤にて始段唄(声明)を唱える(四箇法要という最高格式の法要の一)
・楽 天人楽:舞台では衆僧が花弁を散らし、諸仏を供養する散華(声明)を唱え、舞台を行道する間に天人楽が奏される
・散華(ざんげ):四箇法要の一
・行事鐘:合図の鐘が鳴らされる
・舞楽 地久(ちきゅう):高麗双調曲で圓地楽(えんじらく)とも称され、面をつけた四人の舞人によって舞われる
・楽 延喜楽:楽を奏し、衆僧が道内から再び舞台に登って梵音(声明)、錫杖(声明)を唱える
・梵音(ぼんのん):四箇法要の一
・錫杖(しゃくじょう):四箇法要の一
・楽 長慶子(ちょうげいし):両舎利降高座の楽を奏す
・両舎利降高座(りょうしゃこうこうざ):両舎利は高座を降り、堂内の本座に着く
・舞楽 太平楽(たいへいらく):古代中国の武将の舞で、鎧や兜を身に着けた舞人によって舞われる
・入調(にゅうじょう):以降の舞楽は法会ではなく、観賞用の舞楽であるということを指す
・舞楽 還城楽(げんじょうらく):奈良時代に仏哲によって伝えられた林邑八楽の一つ
→ 参考動画:【還城楽(Youtube)】
・還御(かんぎょ):法会の終了
当日の見どころ
絵堂
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四天王寺の絵堂です。
聖霊院の一角に位置する建物で、聖徳太子の一生を絵にした絵伝を納めています。
また、絵堂には聖徳太子の生涯が描かれた壁画があり、毎月22日に限り一般公開されています。
なお、公開期間中の9:00~13:00、15:00には僧侶による絵解き(解説)が行われています。
ここでは、絵伝の一覧できるパンフレットと記念品のポストカードが授与されます。
中心伽藍
毎月22日の太子会では、中心伽藍である金堂・講堂・五重塔(最上階回廊)が無料開放されます。
通常では入場料が必要になるので、是非この機会に訪れることをオススメします。
守屋祠
四天王寺にある守屋祠(もりやのやしろ)です。
聖霊院の一角に位置する祠であり、蘇我氏の政敵であった物部守屋大連・弓削小連・中臣勝海連を祀っています。
通常では進入禁止ですが、太子会では開放されるので、興味のある方は この機会に訪れることをオススメします。
骨董市
太子会の当日には、境内の多くの場所で骨董市が開かれています(16:00まで)。
一説に掘り出し物が安価で販売されていることがあるとも言われているので、興味のある方にはオススメです。
屋台
太子会の当日には、境内に縁日の屋台が開かれています(16:00まで、飲食物は材料切れ次第終了)。
たこ焼・焼きそば・お好み焼きなどは、一般の お祭屋台よりも安価で食べられるのでオススメです(200円程度)。
聖霊会舞楽
聖霊会当日には、やはり「聖霊会の舞楽」の見学がオススメです。
日本三舞台の一つとされる石舞台に荘厳な装飾がなされ、そこで華麗な舞が舞われます。
舞人の格好も奇妙で珍しいものが多く、なかなか見ごたえがあります。
ちなみに、当日は有料席も設けられており、その周辺では舞楽のパンフレットも配布されています。
なお、舞楽の様子を以下のビデオにまとめたので、ぜひご覧ください。
その他の動画:【振矛】 【胡蝶】 【還城楽】
料金: 無料
住所: 大阪府大阪市天王寺区四天王寺1-11-18(マップ)
営業: 8:30~18:00
交通: 天王寺駅(徒歩10分)、四天王寺夕陽丘駅(徒歩14分)
公式サイト: http://www.shitennoji.or.jp/event/4/
住所: 大阪府大阪市天王寺区四天王寺1-11-18(マップ)
営業: 8:30~18:00
交通: 天王寺駅(徒歩10分)、四天王寺夕陽丘駅(徒歩14分)
公式サイト: http://www.shitennoji.or.jp/event/4/
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「日本神話」を研究しながら日本全国を旅しています。旅先で発見した文化や歴史にまつわる情報をブログ記事まとめて紹介していきたいと思っています。少しでも読者の方々の参考になれば幸いです。
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