人文研究見聞録:多伎芸神社(多伎藝神社・雷大明神) [島根県]

島根県出雲市にある多伎芸神社(たききじんじゃ・たきげじんじゃ)です。

飛鳥末期に勧請された古社であり、祭神に多伎伎比売命・伊邪那伎命・大迦牟豆美命を祀っています。

また、当社は『出雲国風土記』の「多支枳社」に比定されており、古くから雷除けの神として信仰を集めているそうです。


神社概要

由緒

社伝によれば、往古は宮床という所にあり、慶雲2年(705年)に宮床の里人によって勧請され、後の延宝8年(1680年)に現在地に遷座して現在に至るとされています。また、当社は「雷大明神」とも称されており、古来より氏子は雷災を受けず、他村の者も当社の守札を所持すれば雷除けになると云われているそうです。

なお、当社は『出雲国風土記』にある「多支枳社」に比定される神社であり、『延喜式神名帳』にも「多伎芸神社」として名を載せているとされます。また、『出雲国風土記』にある「多支々社」に比定される「多伎支神社」は、現在は境内社として鎮座しています。

ちなみに、当社の社伝に「多伎伎姫(当社主祭神)の鎮座する所を多伎という」とあり、現在の町名である「田儀」も当社に由来すると考えられているそうです。

祭神

多伎芸神社の祭神は以下の通りです(文献によって諸説ある)。

【主祭神】

・多伎伎比売命(タキキヒメ):当社の主祭神とされる女神(『記紀』には登場しない神)
・伊邪那伎命(イザナギ):『記紀』において国産み・神産みの男神とされる
・大迦牟豆美命(オオカムヅミ):黄泉の国にてイザナギを救った桃であり、その功績から神となった
 → 神話の中で雷神らを追い払ったことから、当社では雷除けの神としての信仰があるらしい

【各文献の祭神】

・社伝:多伎枳社(伊弉那伎尊・大迦牟須美命)、多伎々社(阿陀加夜努志多伎吉比賣命)
・雲陽誌:多支々社(武雷神)
・出雲国式社考:多伎藝神社(武雷神)
・出雲神社巡拝記:多伎枳社(雷大明神)、多伎々社(津野大明神)

境内社

人文研究見聞録:多伎芸神社(多伎藝神社・雷大明神) [島根県]
多伎支神社
人文研究見聞録:多伎芸神社(多伎藝神社・雷大明神) [島根県]
金刀比羅・清武神社

多伎芸神社の境内社は以下の通りです。

・多伎支神社:多伎吉比賣命(タキキヒメ)を祀る
・金刀比羅・清武神社

境内の見どころ

鳥居

人文研究見聞録:多伎芸神社(多伎藝神社・雷大明神) [島根県]

多伎芸神社の鳥居です。

狛犬

人文研究見聞録:多伎芸神社(多伎藝神社・雷大明神) [島根県]

多伎芸神社の狛犬です。

拝殿

人文研究見聞録:多伎芸神社(多伎藝神社・雷大明神) [島根県]

多伎芸神社の拝殿です。

本殿

人文研究見聞録:多伎芸神社(多伎藝神社・雷大明神) [島根県]

多伎芸神社の本殿です。

扁額

人文研究見聞録:多伎芸神社(多伎藝神社・雷大明神) [島根県]

多伎芸神社の扁額です。

雷大明神」と書かれています。

御札・おみくじ

人文研究見聞録:多伎芸神社(多伎藝神社・雷大明神) [島根県]

多伎芸神社の御札・おみくじです。

おみくじは一回30円で引けます。

社日

人文研究見聞録:多伎芸神社(多伎藝神社・雷大明神) [島根県]

多伎芸神社にある社日碑(社日塔)です。

社日とは中国から伝わった風習で、土地・部族の守護神である社(土地の守護神・土の神)を祀る信仰とされます。

この信仰が伝わって以来、地神や田の神の信仰と習合して全国的に広まったとされ、当地方には碑や塔が多く見られます。

巳乃神の石祠

人文研究見聞録:多伎芸神社(多伎藝神社・雷大明神) [島根県]

多伎芸神社にある巳乃神の石祠です。

祭神についての詳しい情報は不明ですが、巳乃神(みのかみ)とあることから蛇神信仰でしょうか?

謎の石祠

人文研究見聞録:多伎芸神社(多伎藝神社・雷大明神) [島根県]

多伎芸神社にある謎の石祠です。

祭神についての詳しい情報は不明ですが、形状から道祖神のように思われます。

料金: 無料
住所:  島根県出雲市多伎町口田儀字宮ノ下1365(マップ
営業: 終日開放
交通: 田儀駅(徒歩51分、自動車6分)
matapon
著者: matapon Twitter
「日本神話」を研究しながら日本全国を旅しています。旅先で発見した文化や歴史にまつわる情報をブログ記事まとめて紹介していきたいと思っています。少しでも読者の方々の参考になれば幸いです。