揖夜神社 [島根県]
2017/09/28
島根県松江市にある揖夜神社(いやじんじゃ)です。
『記紀』や『出雲国風土記』に記される古社であり、主祭神に伊弉冉命・大巳貴命・少彦名命・事代主命を祀っています。
また、日本神話の黄泉比良坂にまつわる神社でもあり、六社参りで知られる意宇六社の一社にも数えられています。
神社概要
由緒
由緒書等によれば、当社の創建年代は不詳なものの、『古事記』には「伊賊夜坂(当地にある黄泉比良坂に続く坂)」についての記述があり、『日本書紀』の斉明天皇条には「言屋社(いふやのやしろ)」、出雲国風土記には「伊布夜社(いふやのやしろ)」、延喜式神名帳にも「揖夜神社」として名を載せる古社であるとされます。
ちなみに、『日本書紀』には「斉明天皇5年(659年)、この年 出雲国造に命じて神宮を修造させた。狐が於友郡(意宇郡)の役丁(労役)の執れる葛の末を噛み断って去った。また狗(いぬ)が死人の腕を言屋社(揖夜神社)に置いた。これは天子が崩御する兆しである」と記されています。
なお、平安時代には朝廷の崇敬が篤く、貞観13年(871年)には「正五位下」の御神階が授けられた記録があり、戦国期以降は武将の崇敬も篤く、大内氏・尼子氏・毛利氏・堀尾氏・京極氏・松平氏のそれぞれが寄進や社殿の修繕を行ったそうです。
また、当社は出雲国造との関係が深い「意宇六社」の一つであり、御遷宮には今でも出雲国造の御奉仕があるとされます。社名については、南北朝時代には「揖屋大社」、戦国時代には「揖屋大明神」と称していたとされ、明治に入ってから「揖夜神社」と改称したとされています。
なお、由緒書による説明は以下の通りです。
【特別神社 揖夜神社】
御鎮座についての詳細は不明ですが、古事記神代巻には「伊賊夜坂(いふやさか)」についての記述があり、日本書紀斉明天皇5年の条に「言屋社」、出雲国風土記に「伊布夜社」、延喜式神名帳に「揖夜神社」の記述があり、平安朝以前から広く知られていた古社であります。
古より朝廷の崇敬が篤く、「三代実録」には清和天皇の貞観13年に「正五位下」の御神階が授けられた記録があります。武将の崇敬も篤く、大内氏、尼子氏、毛利氏、堀尾氏、京極氏、松平氏がそれぞれ寄進や社殿の修繕を行っています。
また、社殿の営繕は松江藩作業方で行われ、御遷宮には藩主の代参がありました。当社は出雲国造との関係が深い「意宇六社」であり、御遷宮には今でも出雲国造の御奉仕があります。
御鎮座についての詳細は不明ですが、古事記神代巻には「伊賊夜坂(いふやさか)」についての記述があり、日本書紀斉明天皇5年の条に「言屋社」、出雲国風土記に「伊布夜社」、延喜式神名帳に「揖夜神社」の記述があり、平安朝以前から広く知られていた古社であります。
古より朝廷の崇敬が篤く、「三代実録」には清和天皇の貞観13年に「正五位下」の御神階が授けられた記録があります。武将の崇敬も篤く、大内氏、尼子氏、毛利氏、堀尾氏、京極氏、松平氏がそれぞれ寄進や社殿の修繕を行っています。
また、社殿の営繕は松江藩作業方で行われ、御遷宮には藩主の代参がありました。当社は出雲国造との関係が深い「意宇六社」であり、御遷宮には今でも出雲国造の御奉仕があります。
【揖夜神社 案内板】
奈良時代に中央政権が編纂した『日本書紀』の斉明天皇5年(659年)に、「この年、出雲の国造に命せて、厳神(いつくしのかみ)の宮を修めしむ。狐、於友郡(意宇郡)の役丁(効用の労役に使われた成年男子)の所執れる葛の末を噛ひ断り、而して去ぬ。また狗(犬)、死人の手腎(腕)を言屋社に噛ひ置けり。言屋(いふや)、此を伊浮揶(いふや)といふ。天子の崩りまさむ兆(きざし)なり。」と記されています。
この報を受けた天皇は恐れ畏み、出雲大神の神慮を慰めなければならぬと、神殿の建造を急がせたと伝わっています。古くから、揖夜神社が黄泉の国に縁の深い社として、中央でも重視されていたことが窺えます。
奈良時代に中央政権が編纂した『日本書紀』の斉明天皇5年(659年)に、「この年、出雲の国造に命せて、厳神(いつくしのかみ)の宮を修めしむ。狐、於友郡(意宇郡)の役丁(効用の労役に使われた成年男子)の所執れる葛の末を噛ひ断り、而して去ぬ。また狗(犬)、死人の手腎(腕)を言屋社に噛ひ置けり。言屋(いふや)、此を伊浮揶(いふや)といふ。天子の崩りまさむ兆(きざし)なり。」と記されています。
この報を受けた天皇は恐れ畏み、出雲大神の神慮を慰めなければならぬと、神殿の建造を急がせたと伝わっています。古くから、揖夜神社が黄泉の国に縁の深い社として、中央でも重視されていたことが窺えます。
祭神
揖夜神社の祭神は以下の通りです。
【主祭神】
・伊弉冉命(イザナミ):『記紀』において国産み・神産みの女神とされる
→ 当地に関係が深い神話である「イザナギの黄泉国訪問」においては、黄泉津大神・道敷大神という別名もある
⇒ 黄泉津大神(よもつおおかみ):黄泉国の主祭神を意味する
⇒ 道敷大神(ちしきのおおかみ):(イザナギに)追いついた神を意味する
→ 当社の元宮の祭神であった際、特に女性の諸病にはご利益があったと伝えられている
・大巳貴命(オオナムチ):オオクニヌシの名で知られる出雲大社の主祭神
・少彦名命(スクナヒコナ):オオナムチと共に国造りを成した神とされる
・事代主命(コトシロヌシ):大己貴命(大国主、大物主)の子であり、恵比須神として信仰される
【配祀神】
・武御名方命(タケミナカタ):諏訪大神、諏訪大明神とも呼ばれ、諏訪大社の主祭神として有名
・経津主命(フツヌシ):「国譲り神話」においてタケミカヅチと共に国譲り交渉した神(香取神宮の主祭神)
→ 藤原氏の守護神とされ、斎主神(いわいぬしのかみ)、伊波比主神(いわいぬしのかみ)とも呼ばれている
・伊弉冉命(イザナミ):『記紀』において国産み・神産みの女神とされる
→ 当地に関係が深い神話である「イザナギの黄泉国訪問」においては、黄泉津大神・道敷大神という別名もある
⇒ 黄泉津大神(よもつおおかみ):黄泉国の主祭神を意味する
⇒ 道敷大神(ちしきのおおかみ):(イザナギに)追いついた神を意味する
→ 当社の元宮の祭神であった際、特に女性の諸病にはご利益があったと伝えられている
・大巳貴命(オオナムチ):オオクニヌシの名で知られる出雲大社の主祭神
・少彦名命(スクナヒコナ):オオナムチと共に国造りを成した神とされる
・事代主命(コトシロヌシ):大己貴命(大国主、大物主)の子であり、恵比須神として信仰される
【配祀神】
・武御名方命(タケミナカタ):諏訪大神、諏訪大明神とも呼ばれ、諏訪大社の主祭神として有名
・経津主命(フツヌシ):「国譲り神話」においてタケミカヅチと共に国譲り交渉した神(香取神宮の主祭神)
→ 藤原氏の守護神とされ、斎主神(いわいぬしのかみ)、伊波比主神(いわいぬしのかみ)とも呼ばれている
境内社
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揖夜神社の境内社は以下の通りです。
・韓国伊太氐神社:素盞嗚命・五十猛命を祀る
・三穂津姫神社:三穂津姫命を祀る
・恵比須神社
・荒神社(あらじんじゃ)
・天満宮
・稲荷社
・不詳社(2社)
・三穂津姫神社:三穂津姫命を祀る
・恵比須神社
・荒神社(あらじんじゃ)
・天満宮
・稲荷社
・不詳社(2社)
関連知識
黄泉比良坂
揖夜神社の当方の東出雲町揖屋平賀には、黄泉比良坂(よもつひらさか)の比定地があります。
黄泉比良坂とは日本神話に登場する場所であり、神話では「イザナギが 亡くなった妻のイザナミに逢おうと黄泉国に向かったとき、死者となって変わり果てたイザナミの姿を見たイザナギは恐怖から逃げ帰った。これに怒ったイザナミは追手と共に追いかけたが、イザナギは黄泉比良坂に巨大な石を置いてを黄泉国への道を塞いだ」と伝えられています。
このことから、黄泉比良坂は あの世 と この世 を結ぶ場所だと言われています。
なお、この神話に登場するイザナミは揖夜神社の主祭神であり、当社の本宮は現社地の南方の五反田(出雲町)にあったとされ、当時は特に女性の諸病にはご利益があったと伝えられているそうです。
また、揖屋の周辺には、イザナミが黄泉国に隠れた後をつけて通った谷として付谷(つけだに)、山坂道を追っかけ上がった坂として追谷坂(大谷坂)という地名があり、その峠には塞の神(道祖神)が祀ってあるなど、神話に基づいた地名や場所があり、黄泉比良坂の比定地付近にある古道は夜見路越(よみじごえ)、その付近の谷は夜見路谷(よみじがたに)と呼ばれていたとされ、この夜見路(よみじ)は 死の国への道を意味する黄泉路(よみじ)から来ていると言われています。
なお、東出雲町揖屋平賀の黄泉比良坂には、注連柱や賽銭箱が配置された神社のようになっており、周辺には神話を彷彿とさせる巨石や桃などが見られます。
詳しくはこちらの記事を参照:【黄泉比良坂】
境内の見どころ
鳥居
揖夜神社の鳥居です。
灯籠
揖夜神社の灯籠です。
亀が灯籠を背負っている形になっています。
注連石
揖夜神社の注連石です。
神門(随神門)
揖夜神社の神門です。
当社の随神は、向かい合わせに祀られています。
随神
揖夜神社の随神です。
由緒碑
揖夜神社の由緒碑です。
拝殿
揖夜神社の拝殿です。
本殿
揖夜神社の本殿です。
神木
揖夜神社の神木です。
謎の穴
揖夜神社の付近には謎の穴があります。
料金: 無料
住所: 島根県松江市東出雲町揖屋2229(マップ)
営業: 不明
交通: 揖屋駅(徒歩10分)
公式サイト: https://www.kankou-matsue.jp/kankou/jiin-jinja/
住所: 島根県松江市東出雲町揖屋2229(マップ)
営業: 不明
交通: 揖屋駅(徒歩10分)
公式サイト: https://www.kankou-matsue.jp/kankou/jiin-jinja/
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「日本神話」を研究しながら日本全国を旅しています。旅先で発見した文化や歴史にまつわる情報をブログ記事まとめて紹介していきたいと思っています。少しでも読者の方々の参考になれば幸いです。
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