人文研究見聞録:法吉神社 [島根県]

島根県松江市にある法吉神社(ほっきじんじゃ)です。

『出雲国風土記』に登場する古社であり、主祭神に宇武加比比売命を祀っています。


神社概要

由緒


当社は『出雲国風土記』の「島根郡条」に"法吉社"として記載されている古社であり、『延喜式』にある式内社"出雲國嶋根郡 法吉神社"に比定されている神社となっています。

主祭神のウムカヒメは、オオクニヌシが兄のヤソガミに火傷を負わされてしまった際に、カミムスビの命令でキサガイヒメと共に降臨してオオクニヌシを治療したとされ、後に当地に法吉鳥(ウグイスのこと)となって鎮座したと云われており、これによって当地が「鶯谷」または「法吉」と称されるようになったそうです。

なお、当社の創立は白鳳年間(650年頃)と言われ、永禄年間(1558~1570年)に現在地に社殿を造営し、明治5年(1872年)に郷社に列せられ、昭和56年(1981年)に島根県特別神社の指定を受けたとされます。

また、配祀神2柱が合祀された由緒は不明なものの、天平神護元年(765年)に勧請されたと伝えられており、合殿となった坡神社(つつみじんじゃ)は元は北方の比津町の池に鎮座していた祠であるとされています。

祭神


法吉神社の祭神は以下の通りです。

【主祭神】

・宇武加比比売命(ウムカヒメ):ハマグリを神格化した神で『古事記』ではオオナムチを治療したとされる

【配祀神】

・天児屋根命(アメノコヤネ):「天岩戸神話」において祝詞を上げ、フトダマと共に鏡を差し出した神
・天太玉命(アメノフトダマ):『日本神話』に登場する神で、岩戸隠れの際太占(フトマニ)を行った(忌部氏の祖神)

【合殿】

・思兼命(オモイカネ):「日本神話」に登場する神で、知恵を司るとされる

境内社


人文研究見聞録:法吉神社 [島根県]
人文研究見聞録:法吉神社 [島根県]

法吉神社の境内社は以下の通りです。

・鹿島明神:武雷命を祀る
・稲荷神社:倉稲魂命を祀る

境内の見どころ

鳥居


人文研究見聞録:法吉神社 [島根県]

法吉神社の鳥居です。

石段


人文研究見聞録:法吉神社 [島根県]

法吉神社の石段です。

社日


人文研究見聞録:法吉神社 [島根県]

法吉神社にある社日碑(社日塔)です。

社日とは中国から伝わった風習で、土地・部族の守護神である社(土地の守護神・土の神)を祀る信仰とされます。

この信仰が伝わって以来、地神や田の神の信仰と習合して全国的に広まったとされ、当地方には碑や塔が多く見られます。

拝殿


人文研究見聞録:法吉神社 [島根県]

法吉神社の拝殿です。

本殿


人文研究見聞録:法吉神社 [島根県]

法吉神社の本殿です。

料金: 無料
住所: 島根県松江市法吉町582(マップ
営業: 終日開放
交通: 松江しんじ湖温泉バス「春日西」下車(徒歩2分)
matapon
著者: matapon Twitter
「日本神話」を研究しながら日本全国を旅しています。旅先で発見した文化や歴史にまつわる情報をブログ記事まとめて紹介していきたいと思っています。少しでも読者の方々の参考になれば幸いです。