人文研究見聞録:白雲神社(京都御苑) [京都府]

京都府京都市上京区の京都御苑内にある白雲神社(しらくもじんじゃ)です。

鎌倉時代に西園寺公経によって造営された妙音堂に始まる神社であり、西園寺家の楽神として崇められたそうです。

また、当地には立命館大学の元になった私塾「立命館」が開設されたことでも知られています。


由緒

由緒書によれば、鎌倉中期の元仁元年(1224年)、太政大臣・西園寺公経(さいおんじきんつね)が北山殿(現在の金閣寺の地)の造営に当たった際、第一に建立した妙音堂に由来するとされます。

なお、祭神の市杵島姫命(イチキシマヒメ)は妙音弁財天(みょうおんべんざいてん)と称えられて、琵琶を家職とする西園寺家の楽神(音楽の神)として崇められたそうです。

その後、西園寺家の盛衰に伴う変遷を経て、近古には赤八幡京極寺に鎮座し、江戸時代の明和6年(1769年)に前内大臣・西園寺公晃(さいおんじきんあき)と前右大臣・西園寺賞季(さいおんじよしすえ)が勅許を賜って、西園寺家の邸内に妙音堂を再興したとされます。

また、天保11年(1840年)、安政4年(1857年)の社殿修築に際し、禁中(皇居)の各御所より寄付を賜り、禁裏(皇居)の御祈祷所に定められたそうです。

そして、明治の神仏分離令によって神仏混淆の作法を神式に改め、社号を「白雲神社」と改称して現在に至るとされています。

祭神

人文研究見聞録:白雲神社(京都御苑) [京都府]

白雲神社の祭神は以下の通りです。

・妙音弁財天(みょうおんべんざいてん):イチキシマヒメを弁財天と習合した神(当社では西園寺家の楽神とされる)
 → 市杵島姫命(イチキシマヒメ):宗像三女神の一柱であり、厳島社で祀られることが多い

西園寺家について

人文研究見聞録:白雲神社(京都御苑) [京都府]
西園寺公経

西園寺家(さいおんじけ)藤原北家閑院の一流であり、清華家(大臣・大将を兼ねて太政大臣になることのできる7家を指す)の家格を有する公家で、家業は四箇の大事(節会・官奏・叙位・除目)・有職故実・雅楽(琵琶)とされています。

なお、始祖は藤原公実の四男・藤原通季(ふじわらのみちすえ)とされますが、その曾孫に当たり、当社を創建した西園寺公経(さいおんじきんつね)によって西園寺家が創始されたため、公経が実質的な祖とされています。

鳥居

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白雲神社の鳥居です。

社殿

人文研究見聞録:白雲神社(京都御苑) [京都府]

白雲神社の社殿です。

磐座

人文研究見聞録:白雲神社(京都御苑) [京都府]

白雲神社の社殿の裏には磐座(巨石)が祀られています。

榊と神饌が供えられていますが、御神体なのでしょうか?

料金: 無料
住所: 京都府京都市上京区京都御苑(京都御苑内)
営業: 6:00~18:30(冬期は17:30)
交通: 丸太町駅(徒歩10分)、神宮丸太町駅(徒歩15分)、京都市営バス(烏丸丸太町)
matapon
著者: matapon Twitter
「日本神話」を研究しながら日本全国を旅しています。旅先で発見した文化や歴史にまつわる情報をブログ記事まとめて紹介していきたいと思っています。少しでも読者の方々の参考になれば幸いです。