京都御所・京都御苑 [京都府]
2015/02/24
京都府京都市上京区にある京都御所(きょうとごしょ)です。
かつての平安京の内裏であり、鎌倉末期から明治維新まで歴代の天皇が暮らしてきた皇居とされています。
なお、現在では一般にも公開され、参観申込をすれば拝観することもできます(年2回特別開放もある)。
また、周辺は京都御苑として開放されており、自然溢れる国民公園として親しまれています。
※写真の一部は、ウィキメディアコモンズよりパブリックドメインの画像を拝借しています。
京都御所の概要
概要
京都御所の歴史は、延暦13年(794年)の桓武天皇が平安京に遷都する際、都の中心となる大内裏(平安京の宮城)の中に造られた内裏(皇居)に始まり、当時の内裏は現在の御所よりも1.7kmほど西の千本通り沿いにあり、現在の御所は里内裏(火災で焼失した場合などに移るの仮皇居)の一つである土御門東洞院殿であったとされます。
平安京の内裏は、天徳4年9月23日(960年10月16日)の火災で全焼した後、幾度も火災に見舞われたため、仮皇居が必要となることが多かったそうです。そのため、天皇は専らそちらに常住するようになり、内裏の意義は低下してくると再建に年月を要するようになったとされます。
そして、鎌倉時代に焼失以降は再建されることが無くなり、元弘元年(1331年)に後醍醐天皇が京都を脱出した後、鎌倉幕府が擁立した光厳天皇(北朝の初代天皇)によって土御門東洞院殿が正式な内裏と定められ、以降、明治天皇の東京行幸に至るまでの約550年間にわたって使用され続けたとされています。
平安京について
平安京は延暦13年(794年)の桓武天皇入京以降、日本の首都と見なされていた計画都市であり、建久3年(1192年)に鎌倉幕府が成立するまでは政治の中心地であったとされています。
なお、平城京から長岡京を経て、平安京への遷都に至った理由には諸説ありますが、天武天皇系の政権を支えてきた貴族や寺院の勢力が集まる大和国から脱して、新たな天智天皇系の都を造る意図があったといわれているようです。
また、都市計画については基本的に平城京を踏襲して唐の長安城を意識して造られたとされ、土地の選定については陰陽道における四神相応に基づいているとも云われています。
ちなみに、明治2年(1869年)に政府が東京に移転した後は首都機能を失ったとされていますが、明治維新によって江戸が東京と定められた際には東西両京(両京制)とするとされたことから、これを奠都(てんと)であるとして、未だに遷都はされていないとする見方もあるようです。
平安遷都の背景
平安時代の始まりは、延暦13年(794年)の桓武天皇の平安遷都に由来するとされますが、その背景には延暦3年(784年)の桓武天皇による長岡京遷都があり、それを進言したのが天皇の側近であった藤原種継とされます。
この長岡京遷都の目的には、僧侶の政治的な発言を防ぐなどがあったとされます。しかし、延暦4年(785年)に藤原種継暗殺事件が起こり、暗殺犯とされた大伴継人らが皇太弟であった早良親王を担いだ謀反であると断定されたため、早良親王は廃太子された上に乙訓寺に幽閉されたそうです。
その際、早良親王は無実を訴えるために食事を一切取らず、淡路国に流される途中で憤死したとされます。その後、桓武天皇の近親者の相次いで病死し、日照りによる飢饉や疫病、大雨による大洪水が起こったそうです。
そして、これを陰陽師に占わせると早良親王の怨霊に因るものと出たため、桓武天皇は怨霊を恐れるようになり、和気清麻呂の建議もあって長岡京遷都より わずか10年後に平安京に遷都することになったとされます。
平安京と四神相応
平安京は、陰陽道における四神相応(しじんそうおう)に基づいた土地に造営されたとも云われています。
四神相応とは、大地の四方の守護する青龍(せいりゅう)・白虎(びゃっこ)・朱雀(すざく)・玄武(げんぶ)の四神が棲む土地を東西南北に配した地勢や地相のことを言い、四神の棲む土地には以下の様な特徴があるとされます。
・東・青龍:流水(豊かな川の流れがある)
・西・白虎:大道(大きな道があり、交通の便がよい)
・南・朱雀:湖沼(広大な平野や海があり、視界が開けている)
・北・玄武:丘陵(山や丘陵がある)
・西・白虎:大道(大きな道があり、交通の便がよい)
・南・朱雀:湖沼(広大な平野や海があり、視界が開けている)
・北・玄武:丘陵(山や丘陵がある)
なお、大内裏(平安京の宮城)は陰陽道に長けていたとされる秦河勝の邸宅跡であり、そもそも東に鴨川(青龍)、西に山陽道・山陰道(白虎)、南に巨椋池(朱雀)、北に船岡山・鞍馬山(玄武)を配した四神相応に恵まれた土地であったため、当地に平安京の大内裏が造営されたとも云われています。
ちなみに秦河勝とは飛鳥時代の人物であり、聖徳太子の側近として活躍したとされ、太秦の広隆寺を創建したことでも知られています。また、聖徳太子が創建した四天王寺の造営にも関わっていたとされ、一説によれば、四天王寺も四神相応に基づく土地に建てられていると云われています(ただし、青龍を緑(青山など)とする中国古来の四神相応)。
秦河勝はこちらの記事を参照:【秦河勝とは?】
参観について
京都御所の参観には、予約不要の春秋の特別公開と、事前の予約が必要な一般公開があります。
一般公開には標準コース(約60分)と短縮コース(約35分)があり、郵送・窓口・インターネット(宮内庁のサイト)から事前に参観申込をする必要があります。なお、一般公開は月~金曜日(祝日などを除く)までで、3月・4月・5月・10月・11月は土曜日も参観申し込みが可能であるとされています。
また、特別公開は年2回とされ、毎年 春(4月上旬)と秋(10月末)頃に行われるようです。なお、特別公開の時には一般公開では入れない紫宸殿の前庭にまで入ることができます。
・宮内庁ホームページ:http://www.kunaicho.go.jp/event/kyotogosho/kyotogosho.html
京都御所の概要
概要
京都御苑は京都市の中心部に位置する広大な国民公園であり、京都御所の周囲の地区を指します。
入場は自由であり、園内には御所のほか、公家の邸宅や神社などの建造物や遺構が保存されています。
また、広大な敷地には多くの動植物が生息しており、それらを見て楽しむこともできます。
園内の神社
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京都御苑には以下の神社が鎮座しています。
なお、上記の神社には、宗像三女神(特にイチキシマヒメ)を祭神としているという共通点が見られます。
京都御所・京都御苑の見どころ
清涼殿
京都御所の清涼殿(せいりょうでん)です。
平安中期より天皇の御殿とされ、日常の政務のほか、四方拝・叙位・除目などの行事も行われた場所とされています。
また、讒言によって大宰府に流された菅原道真公の死後、落雷が直撃したという「清涼殿落雷事件」でも知られています。
なお、現在の清涼殿は江戸時代に再建されたものとなっています。
諸門
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京都御所には、建礼門・朔平門・建春門・宜秋門・清所門・皇后門という計6か所の門があります。
なお、御所の正門は建礼門とされています。
猿ヶ辻
京都御所の東北の外壁には、猿ヶ辻(さるがつじ)と呼ばれる角(かど)の無い部分があります。
これは東北(丑寅)が陰陽道における鬼門に当たるためとされており、鬼門除けのために角が凹ませてあるとされています。また、鬼門除けのために裏鬼門に当たる西南(未申)の猿を祀って邪気を祓うとされることから、軒下には猿の彫刻が祀られています(これが「猿ヶ辻」という名称の由来という説もある)。
なお、日本における「鬼門」の思想は中国のものとは異なり、陰陽道の中で出来上がったとされることから、日本独自の思想であるとされています。また、鬼門が「艮(うしとら)の方角」とされることから、日本における鬼の姿が「角(丑)」と「虎の腰巻(寅)」で表わされるようになったとも云われています。
しかし、日本の鬼門思想における具体的な由来は不明とされています。個人的には畿内から見た東北には「蝦夷」がおり、西南には「熊襲」がいたことから、ヤマト王権と敵対してきた部族を忌む意味合いが込められていると考えています(ヤマトタケルは西征と東征を行って両部族を平定したとされる)。
ちなみに、八幡市にある石清水八幡宮にも同様の鬼門封じが見られます。
蛤御門
京都御苑の外郭九門の一つである「蛤御門(はまぐりごもん)」です。
この門は滅多に開くことのない開かずの扉とされていましたが、江戸時代に起こった天明の大火で御所が炎上した際、初めて開門されたことから、このことが「火にあぶられて開いたハマグリ」に喩えられて「蛤御門」と呼ばれるようになったそうです。
出水の小川
京都御苑にある出水の小川(でみずのおがわ)です。
元は女院の御所で、後に嘉陽宮家の庭園となった場所にあり、かつては曲水の宴を催されていたと考えられているようです。
御所の細道
京都御苑には砂利が敷き詰められているため、自転車では走り辛くなっています。
しかし、砂地に自転車の走行跡が出来て走りやすくなっている部分が見られ、俗に「御所の細道」と呼ばれているそうです。
料金: 無料
住所: 京都市上京区京都御苑3(事務所)
営業: 終日開放、無休
交通: 地下鉄烏丸線丸太町駅(徒歩1分)、京阪神宮丸太町駅(徒歩10分)
京都御所 公式サイト: http://sankan.kunaicho.go.jp/guide/kyoto.html
京都御苑 公式サイト: http://www.env.go.jp/garden/kyotogyoen/
住所: 京都市上京区京都御苑3(事務所)
営業: 終日開放、無休
交通: 地下鉄烏丸線丸太町駅(徒歩1分)、京阪神宮丸太町駅(徒歩10分)
京都御所 公式サイト: http://sankan.kunaicho.go.jp/guide/kyoto.html
京都御苑 公式サイト: http://www.env.go.jp/garden/kyotogyoen/
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「日本神話」を研究しながら日本全国を旅しています。旅先で発見した文化や歴史にまつわる情報をブログ記事まとめて紹介していきたいと思っています。少しでも読者の方々の参考になれば幸いです。
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