人文研究見聞録:亀石 [奈良県]

奈良県の明日香村にある亀石(かめいし)です。

飛鳥地方に点在する謎の石造物の一つであり、可愛らしい姿から明日香村の観光シンボルとなっています。


亀石について

人文研究見聞録:亀石 [奈良県]

亀石(かめいし)とは、明日香村にある巨大な亀形の石造物のことを指します。

建造時期については不明とされ、『日本書紀』などの歴史書にも建造の記録は見られないとされます。故にいつ、どのような目的で造られたものなのかは謎とされており、これについていくつかの説が唱えられています。

なお、案内板によれば以下のように説明されています。

亀石

亀石と呼ばれる石像物は、いつ何の目的で作られたのか明らかではないが、川原寺の四至(いわゆる四方の境界)を示す標石ではないかという説がある。

亀石のスペック

人文研究見聞録:亀石 [奈良県]
正面
人文研究見聞録:亀石 [奈良県]
側面
人文研究見聞録:亀石 [奈良県]
背面
人文研究見聞録:亀石 [奈良県]
下部

亀石の素材・サイズ・特徴については以下の通りです。

【サイズスペック】

・長さ: 3.6m
・横幅: 2.1m
・高さ: 1.8m
・重さ: 10t
・材質: 花崗岩

【特徴】

・巨石を彫って亀形に成形していると思われる
・亀の顔に当たる部分は逆三角形形に成形され、目の部分がキレイに彫りこまれている
・目が飛び出ていることから、カメと言うよりもカエルであるという意見がある
・現在の置き方は石全体が上下逆であるという説がある
・成形途中で破棄されたという説がある
・表面に文字が彫られたという情報がある(見た目で確認はできない)
・下部に石矢の跡が見られる

亀石の伝説

人文研究見聞録:亀石 [奈良県]

亀石には以下のような伝説が伝えられています。

案内板による亀石の伝説

昔、大和が湖であった頃、湖の対岸の当麻(たいま)と、ここ川原の間にケンカが起こった。長いケンカの末、湖の水は当麻に取られてしまい、湖に住んでいた沢山の亀は死んでしまった。

この何年か後に亀を哀れに思った村人達は、亀の形を石に刻んで供養したという。今、亀は南西を向いているが、これが西を向いて当麻を睨みつけた時、大和盆地は泥沼になるといわれている。

ウィキペディアによる亀石の伝説

言い伝えによれば、奈良盆地一帯が湖であった頃、対岸の当麻(たいま)のヘビと川原のナマズの争いの結果、当麻に水を吸い取られてしまったため、川原辺りは干上がってしまって湖の亀はみんな死んでしまった。そこで、亀を哀れに思った村人たちは「亀石」を造って亀の供養をしたという。

なお、亀石は以前は北を向き、次に東を向いたと言う。そして、今は南西を向いているが"これが西に向いて当麻の方を睨みつけたとき、奈良盆地は一円泥の海と化す"と伝えられている。(wikipedia「亀石」参照)

亀石の諸説

人文研究見聞録:亀石 [奈良県]

亀石の建造について、以下のようなが唱えられています。

・川原寺の所領の四隅を示す石標(一般的な説)
・仏教渡来以前の土俗信仰を現わすもの
・猿石を含めた古墳に関連する遺物(門脇禎二の説)
・斉明天皇の時代にグリフィン像を造ろうとしたが加工途中で放棄されたもの(松本清張の説)

料金: 無料
住所: 奈良県高市郡明日香村川原108(マップ
営業: 終日開放
交通: 飛鳥駅、岡寺駅(徒歩22分)

公式サイト: http://www.asukamura.jp/kids/midokoro_sekizobutsu.html
matapon
著者: matapon Twitter
「日本神話」を研究しながら日本全国を旅しています。旅先で発見した文化や歴史にまつわる情報をブログ記事まとめて紹介していきたいと思っています。少しでも読者の方々の参考になれば幸いです。