奇祭・かなまら祭2015 [神奈川県]
2015/04/08
金山神社の奇祭・かなまら祭2015に参加してきたので、その様子をレポートしたいと思います。
金山神社とは?
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金山神社とは、神奈川県川崎市の若宮八幡宮の境内社であり、鉱山・鍛冶・性の神とされる金山比古神(かなやまひこのかみ)と金山比売神(かなやまひめのかみ)を祀る神社です。
鉱山・鍛冶の象徴とされる「金属」と性の象徴である「男茎」を結び付けた金属製の男茎である「かなまら様」を御神体として祀っており、通称「かなまら様」とも呼ばれています。
性神・性器崇拝についてはこちらの記事を参照:【生殖器崇拝とは?】
商売繁盛・子孫繁栄・夫婦和合・性病快癒・安産・下半身の傷病治癒などに御利益があるとされており、現在では不妊治療に携わる医療関係者、エイズ除け・性病快癒を祈願する性風俗関連産業関係者などの参拝が多いそうです。
詳しくはこちらの記事を参照 :【若宮八幡宮(川崎市)】、【金山神社(かなまら様)】
かなまら祭とは?
かなまら祭とは、毎年4月の第1日曜日に金山神社で開催される奇祭のことであり、江戸時代に川崎宿の飯盛女(めしもりおんな)らが性病除けや商売繁盛の願掛けを行った「地べた祭」に端を発する祭りであるとされています。
明治以降寂れてしまっていたところ、昭和52年に結成された金山神社の信者組織「かなまら講」によって、地域振興も兼ねて盛大に行われるようになったとされており、江戸時代当時の「地べた祭」の再現をはじめ、男根神輿や仮装行列、大根削りなどのオリジナルアイデアを取り入れつつ、祭りの規模は年々拡大傾向にあるといわれています。
そして現在では、商売繁盛・子孫繁栄(子授け)・安産・縁結び・夫婦和合・下半身の病除けなどに御利益のある祭りとされており、海外では「歌麿フェスティバル」と呼ばれ、親しまれているようです。
また、祭りの催しの一環として、神社境内には男女の性器を模った飾り飴(授かり飴)を販売する屋台が出店しており、長蛇の列を作るほどの大人気商品となっています(2015年は祭りの途中で売り切れていました)。
そのほか、「かなまらビール」や「まらキャンドル」など、「かなまら様」に肖った多様なグッズや飲食物を販売する屋台も出店されており、その辺も祭りの特徴と言えるでしょう。
かなまら祭の主なタイムスケジュールは以下の様になっています。
かなまら祭の主なタイムスケジュール
- 10:00~10:15 御火取祭
- 10:15~10:45 例祭
- 10:45~11:00 神輿御霊入れ式
- 11:00~11:30 大根削り
- 12:00~13:30 面掛行列
- 12:10~16:30 奉納演芸(フラダンス、かなまら音頭など)
かなまら祭の見どころ(参加レポート)
今回は少々で遅れて、11:30ごろからの参加となりました。雨天だったので開催の有無が心配でしたが、金山神社のTwitterには、"雨天決行、神輿行列は予定の時間に危険と判断された場合のみ中止"とあり、心配の霧は晴れました。
金山神社のツイート |
こういう場合は、Twitterをチェックすると良いかもしれませんね!
11:30ごろ、最寄り駅である川崎大師駅に到着した際には既に多数の人だかりが出来ています。
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11:40ごろ、神社到着。今回は小雨の降る悪天候の中の開催でありながら、神社境内には入れないほどの人だかりとなっています。
神社に参拝しようと思っても凄まじい人だかりのため、なかなかスムーズにはいきません。参拝は後回しにした方が賢明の様です。
なお、金山神社境内には様々な屋台が出店されており、その中でも男女の性器を模った飾り飴(授かり飴)の屋台には、延々と続く長蛇の列が出来ていました(撮影が困難なほどでしたので写真はありません)。
また、境内にはその飾り飴を嘗める国内外の老若男女が見られます(男茎形の飾り飴をシェアする光景は異様ですね…ハイ)。
そのほかにも様々な屋台が出ているものの、その軒数は田縣神社の豊年祭に比べると意外と少なく感じました(雨天だったからでしょうか?)
まらキャンドル |
12:00になると、この祭り最大の見せ場とされる神輿行列の「鳥居くぐり」が行われます。
主催者サイドの実況がなかなか面白く、笑いの湧き出る中でお神輿がスタートしました。
かなまら祭のお神輿は、「かなまら舟神輿」・「エリザベス神輿」・「かなまら大神輿」の3種類があり、この順番で順路を巡回するようです。
なお、それぞれの神輿の特徴は以下のようになっています。
かなまら祭のお神輿一覧
こちらの動画で巡回風景を紹介しています。ぜひご覧ください。
エリザベス神輿
巨大なピンク色の男茎乗せられており、「かなまら!でっかいまら!かなまら!でっかいまら!…」という独特の掛け声とともに巡行する。
この神輿は浅草橋の女装クラブ「エリザベス会館」から寄贈されたものであり、その女装者が担い手の中心となっている(一般参加不可)。
巨大なピンク色の男茎乗せられており、「かなまら!でっかいまら!かなまら!でっかいまら!…」という独特の掛け声とともに巡行する。
この神輿は浅草橋の女装クラブ「エリザベス会館」から寄贈されたものであり、その女装者が担い手の中心となっている(一般参加不可)。
こちらの動画で巡回風景を紹介しています。ぜひご覧ください。
なお、神輿行列には しばらくギャラリーがまとわりつくため、なかなか良いポジションが取れませんが、神社周辺に貼ってあるチラシにはちゃんと順路が記載されているので、それを参考に先回りすると良いポジションから行列を拝めます。
かなまら祭のチラシ |
また、行列は主に「金棒 ⇒ 若宮祭祀舞 ⇒ 道中奉行 ⇒ 川崎古式消防記念会 ⇒ 大麻 ⇒ 塩撒き ⇒ 猿田彦(天狗) ⇒ 神官 ⇒ 御神酒(振る舞い酒) ⇒ 総代 ⇒ 来賓 ⇒ 参加者 ⇒ かなまら講 ⇒ かなまら舟神輿 ⇒ エリザベス神輿 ⇒ かなまら大神輿」という順で通過するようです。
順を追ってレポートしたいと思います。
まずは仮装した子供たちが先頭に立ちます。次に桃太郎が描かれた旗が通過します。
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その後、神幸祭でお馴染みの導きの神「猿田彦(天狗)」が通過します(なかなかクールなお面のデザインですね)。
猿田彦(天狗) |
その後、神主が続きます(大麻というものでしょうか?)。賽銭をするとお祓いをしてもらえます。
賽銭をするとお祓いしてもらえる |
その後、「ひょっとこ」や「おかめ」などをはじめとする、仮装した行列が続きます。
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その後、「かなまら舟神輿」・「エリザベス神輿」・「かなまら大神輿」と神輿が続きます。
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なお、この様子はこちらの動画でも紹介しています。ぜひご覧ください。
12:45ごろ、境内に戻ると「大根削り」が行われていました。
「大根削り」とは、大根を削って男茎形に仕上げるという野菜細工の一種であり、かなまら祭の見どころの一つとされています。
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これらの大根は、祭りの終盤にオークション形式で売りさばかれます(販売風景もなかなか見どころですよ)。
そのほか、この時点では「かなまら音頭」や「フラダンス」といった催しも行われていました。
13:30ごろ、神輿行列が境内に到着します。出発と同様に大いに盛り上がるポイントであり、この祭りの最大の見せ場ともなっています。
お神輿の境内到着 |
なお、この様子はこちらの動画でも紹介しています。ぜひご覧ください。
行列を終えると、それぞれのお神輿は境内に展示されます。
その後、祭りは音楽バンドによる演奏などの奉納演芸に移り、16:45ごろまで行われます。
奉納演芸(バンド演奏) |
お神輿が終わると見物客は徐々に掃けて行くので、神社への参拝がスムーズになります。
この間に、神社の境内を散策してみました。若宮八幡宮を中心とする境内の一角に、今回の祭りの主役となる金山神社(かなまら様)が鎮座しています。
金山神社(かなまら様) |
この神社には前述の通り、金物と性を結び付けた神様が祀られているため、周囲には多様な金属製の男茎が奉納されています。
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また、金山神社は「かなまら祭」の時に限り社殿が開放され、内部の炉に火が入れられて祈祷が行われるそうです。そのため、祭りの終盤まで見物客が絶えません。
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木製の御神体も、おそらくこの時だけお披露目されるものと思われます。
そのほか、金山神社の前にある絵馬殿には、男女の性器を模った様々な画図やオブジェが奉納されていました。
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この点も金山神社の見どころと言えるでしょうね。
なお、行列以降は奉納演芸がメインになりますので、純粋に祭りを楽しむ形になります。
ですので、この辺でかなまら祭のレポートは終了させていただきます。ご閲読ありがとうございました。
ちなみに、大人気の「授かり飴」は付近にある川崎大師の仲見世でも販売されており、そこで購入することも可能です。価格は大きいもので700円、小さいもので500円程度だったと思います(参考までに)。
雑記
金山神社の縁起については、境内に由緒書なども無かったため詳しくは分かりません。
ただ、江戸時代から飯盛女らの性病除けになっていたとされることから、古来より性の守護神として尊崇されてきたということは言えると思いますね。そして、その流れを汲んで現在の「かなまら祭」として今なお存続しているとされています。
しかし、祭りに参加してみて感じたのは、神事というよりもエンターテイメントとなってしまっているということですね。
なんというか、参加客が色んな意味でなめてるんですよ…。
祭りと言えば無礼講ですので、百歩譲って露出度の高い仮装で歩きまわるのは良しとしても、神域とされる社殿の中に土足で踏み行ったり、御神体を実際に嘗めたり齧ったりするのは許しても良いものなのでしょうか?
性にまつわるものを嘲笑的に見るのは昔からあることですが、無知な参加客による無礼な行為によって、神事自体が汚されて行くのは問題視すべきだと思いますね。
料金: 無料
住所: 神奈川県川崎市川崎区大師駅前2ー13ー16
交通: 川崎大師駅(徒歩2分)
住所: 神奈川県川崎市川崎区大師駅前2ー13ー16
交通: 川崎大師駅(徒歩2分)
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「日本神話」を研究しながら日本全国を旅しています。旅先で発見した文化や歴史にまつわる情報をブログ記事まとめて紹介していきたいと思っています。少しでも読者の方々の参考になれば幸いです。
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