人文研究見聞録:久保神社 [大阪府]

大阪市天王寺区にある久保神社(くぼじんじゃ)です。

聖徳太子によって建てられた四天王寺の鎮守社である四天王寺七宮の一社に数えられています。


神社概要

由緒

由緒書によれば、聖徳太子が四天王寺を建立する際に四天王寺を守護する四天王寺七宮(四天王寺の鎮守とされる7つの神社)の一社として創建されたことに始まり、以後 天照皇大神(アマテラス)を祀る旧久保村の産土神(土地の守護神)となったとされています。

ちなみに、数年前までの祭神は天照大御神(アマテラス)、熊野大神(くまのおおかみ)、稲荷大神(いなりおおかみ)となっていましたが、現在では天照皇大神(アマテラス)・速素盞男尊(スサノオ)・伊邪那岐尊(イザナギ)・伊邪那美尊(イザナミ)・宇賀御霊神(ウカノミタマ)となっています。

これについては、熊野大神は熊野三山の神であるスサノオ・イザナギ・イザナミと同義であり、稲荷大神はウカノミタマと同神とされていることから、祭神が特別に変わったわけではないようです。

なお、由緒書には以下のように記されています。

御由緒

当社は天照皇大神を祀る旧久保村の産土神なり。

その昔、四天王寺建立の際に その守護鎮守の神として創建され、四天王寺七宮の一つとして、また境内には願望成就宮として聖徳太子の深く信仰あらせ給い、御願の成就を遂げ給うにより願成就宮と称され、今に庶民の信仰絶えず、霊験あらたかなりと言われる。

また、当社は浪速神楽の家元である。

明治5年、村社に列し同40年10月14日東成郡字西、熊野大神を合祀し、同43年11月17日に神饌幣帛料供進社に指定される。境内は897坪にして本殿・幣殿・神庫・社務所等を存していたが、昭和20年3月13日戦災のため焼失した。

現存の社殿は昭和27年に再建したものである。

祭神

久保神社の祭神は以下の通りです。

・天照皇大神(あまてらすすめらおおかみ):日本の最高神であり、日の神とされる(伊勢内宮と同じ表記)
・速素盞男尊(はやすさのおのみこと):三貴子の一柱であり、出雲の祖神
・伊邪那岐尊(いざなぎのみこと):国産み、神産みの男神
・伊邪那美尊(いざなみのみこと):国産み、神産みの女神
・宇賀御霊神(うかのみたまのかみ):稲荷神

境内社

正一位 白玉稲荷大明神

人文研究見聞録:久保神社 [大阪府]

久保神社の境内社・白玉稲荷大明神(しらたまいなりだいみょうじん)です。

また、白玉稲荷大明神の案内板には、五穀豊穣から商売繁盛・家内安全に至るまで幅広い御神徳があると記されています。

方除神社

人文研究見聞録:久保神社 [大阪府]

久保神社の境内社・方除神社(ほうよけじんじゃ)です。

悪い方位を祓う方災除の神を祀っており、そのほか新築や引越など様々な方位を司るということで信仰されているようです。

方位を司る神は、主に陰陽道の神です。そのため、詳しい祭神は不明ですが、おそらく陰陽道に関わる神であると考えられます。

白龍神社

人文研究見聞録:久保神社 [大阪府]

久保神社の境内社・白龍神社(はくりゅうじんじゃ)です。

女人の守護神として崇められ、子宝にも恵まれ商売繁盛など心願成就の霊験あらたかなことで知られています。

大岩・小岩大明神

人文研究見聞録:久保神社 [大阪府]

久保神社の境内社・大岩・小岩大明神(おおいわ・こいわだいみょうじん)です。

最も古い自然信仰の姿を今に残し、岩そのものを御神体とした頭脳の神様を祈願している御神座とされており、頭に持病のある方や入試を控えた学生諸君などに幅広く信仰されていると説明されています。

このような巨石を御神体として祀る形式は磐座信仰(いわくらしんこう)と呼ばれ、古神道(神社が建てられる前の古い神道)における祭祀形式であり、日本古来の自然崇拝の形として知られています。

磐座信仰、古神道についてはこちらを参照:【磐座信仰とは?】【古神道とは?】

願成就宮

人文研究見聞録:久保神社 [大阪府]

久保神社の境内社・願成就宮(がんじょうじゅぐう)です。

聖徳太子により深く信仰され、多くの願いを成就させたことによって「願成就宮」と呼ばれるようになったとされています。

そのため、今なお庶民の信仰が絶えず、霊験あらたかな社であると伝えられているそうです。

境内の見どころ

鳥居

人文研究見聞録:久保神社 [大阪府]

久保神社の鳥居です。

注連石

人文研究見聞録:久保神社 [大阪府]

久保神社の注連石(しめいし)です。

拝殿

人文研究見聞録:久保神社 [大阪府]

久保神社の拝殿です。

伊勢神宮遥拝所

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遥拝所
人文研究見聞録:久保神社 [大阪府]
磐座とオブジェ

久保神社の伊勢神宮遥拝所(いせじんぐうようはいじょ)です。

伊勢神宮遥拝所とは、この地から伊勢神宮を拝むために設けられた場所を指します。

なお、この鳥居の奥に磐座が祀られ、その上にリング状のオブジェが設置されています。

また、周辺にはいくつかの石碑も安置されています。

料金: 無料
住所: 大阪府大阪市天王寺区勝山2丁目5-14(マップ
営業: 終日開放
交通: 四天王寺前夕陽ヶ丘駅(徒歩14分)、天王寺駅(徒歩15分)、四天王寺(徒歩6分)
matapon
著者: matapon Twitter
「日本神話」を研究しながら日本全国を旅しています。旅先で発見した文化や歴史にまつわる情報をブログ記事まとめて紹介していきたいと思っています。少しでも読者の方々の参考になれば幸いです。