人文研究見聞録:出町妙音堂(妙音弁財天) [京都府]

京都市上京区にある出町妙音堂(でまちみょうおんどう)です。

鴨川のほとりに位置し、本尊に七福神の一柱・弁財天(べんざいてん)を祀る神仏習合の寺院であり、正式には「青龍妙音弁財天」、通称「妙音弁財天(みょうおんべんざいてん)」と呼ばれています。


寺院概要

縁起

寺伝によれば、鎌倉後期(1306年)に西園寺安寧子(広儀門院)が第93代後伏見天皇に嫁ぐ際に念持仏として持参した「青龍妙音弁財天画像」を本尊としており、南北朝時代に北朝3代までの天皇に崇敬され、伏見離宮内に祀られてきたとされています。

江戸期に入ると、伏見宮貞建親王(ふしみのみや さだたけしんのう)によって、伏見邸が出町北鴨口(河原町今出川下ル)に移転になり、明治2年(1869)に政府が京都から東京に移された後には、妙音堂は一時的に東京に遷座されたそうです。

そして、明治34年(1901)にかつての信徒により現在地に遷され、妙音天(弁財天)を祀ったとされています。

なお、本尊の「青龍妙音弁財天画像」は、一説によると空海によって筆入れされたと云われているようです。

本尊

人文研究見聞録:出町妙音堂(妙音弁財天) [京都府]
青龍妙音弁財天

・弁財天(べんざいてん):仏教の守護神である天部の一
 → 当寺では青龍妙音弁財天(せいりゅうみょうおんべんざいてん)という
 → ヒンドゥー教の女神であるサラスヴァティーが、仏教に取り込まれたもの
 → 日本では七福神の一として信仰される
 → 本地垂迹説にて宗像三女神の一である市杵嶋姫命(イチキシマヒメ)と習合する
  ⇒ 一部では瀬織津姫(セオリツヒメ)と習合する

※詳しくは下記を参照

弁財天と龍蛇神

人文研究見聞録:出町妙音堂(妙音弁財天) [京都府]
青龍妙音弁財天画像
人文研究見聞録:出町妙音堂(妙音弁財天) [京都府]
蛇の瓦
人文研究見聞録:出町妙音堂(妙音弁財天) [京都府]
蛇の瓦

妙音弁財天は本尊に「青龍妙音弁財天画像」を祀っており、本堂には「蛇の瓦」や「蛇の画」などが奉納されています。

また、鎮座地も「青龍町」であることから、「」や「」という属性を含んでいると考えられ、「弁財天」と「龍蛇神」との関連性を示す要素が多数存在しています。

そもそも、弁財天と言えば七福神の一柱の女神として知られていますが、実は多種多様な神々が習合して成り立っており、その性格は複雑で、かつ、数多くの別名を持っています。

それについては、一旦箇条書きにしてまとめておきたいと思います。

【弁財天と習合する神々】

・ヒンドゥー教の女神・サラスヴァティー:河の女神であり、水神・農業神として信仰される
・インド神話の女神・ヴァーチェ:言語が女神として賛えられたものとされる
・神道の女神・市杵嶋姫命(イチキシマヒメ):宗像三女神の筆頭であり、水の女神として信仰される
・神道の女神・瀬織津姫(セオリツヒメ):祓戸四神の一柱であり、祓神や水神として信仰される
・日本固有の蛇神・宇賀神(うがしん):中世以降に信仰された蛇神であり、人頭蛇身の姿で表される
・弁財天白龍王大権現(べんざいてんはくりゅうおうだいごんげん):竹原弁財天に祀られる白蛇と習合したもの

【弁財天の別名】

・弁天(べんてん)
・弁才天(べんざいてん)
・弁財天(べんざいてん)
・妙音天(みょうおんてん)
・美音天(びおんてん)
・宇賀弁才天(うがべんざいてん)
・八大龍王弁財天(はちだいりゅうおうべんざいてん)
・弁財天白龍王大権現(べんざいてんはくりゅうおうだいごんげん)

上記のことから、「弁財天」は水神・音楽神・福徳神・学芸神・戦勝神・蛇神・龍神など多くの性格を持つ神であり、「龍蛇神」との関連性も深い神であることが分かります。

そのため、妙音弁財天には「」や「」にまつわる品々が奉納されているものと考えられます。

境内の見どころ

豊川稲荷大明神

人文研究見聞録:出町妙音堂(妙音弁財天) [京都府]

出町妙音堂の境内に祀られる豊川稲荷大明神(とよかわいなりだいみょうじん)です。

豊川稲荷では宇迦之御魂神(ウカノミタマ)ではなく、荼枳尼天(ダキニテン)が稲荷神として祀られています。

しかし、社殿はどうみても稲荷神社のそれに見えるのですが、両神に同一性はあるのでしょうか?

また、豊川稲荷が妙音弁財天に勧請された経緯については不明です。

豊川稲荷の荼枳尼天は空海が自ら勧請したとされていますが、妙音弁財天の本尊も空海にまつわるとされます。

そのため、空海 繋がりで、何らかの関連性があるものと考えられます。

社務所

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出町妙音堂の社務所です。

お御籤や御朱印、そのほか祈願受付を行っています。

六角堂

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出町妙音堂の六角堂です。

本堂の裏手にあり、扉には菊家紋章が刻印されています。

料金: 無料
住所: 京都府京都市 上京区青龍町266-3(マップ
営業: 終日開放
交通: 出町柳駅(徒歩4分)
matapon
著者: matapon Twitter
「日本神話」を研究しながら日本全国を旅しています。旅先で発見した文化や歴史にまつわる情報をブログ記事まとめて紹介していきたいと思っています。少しでも読者の方々の参考になれば幸いです。