佐毘賣山神社(益田市) [島根県]
2015/10/30
島根県益田市にある佐毘賣山神社(さひめやまじんじゃ)です。
神社のある乙子地区は、神代に大宜都姫命(オオゲツヒメ)の末娘である挟姫(サヒメ)が天降り、この地方から開拓を始めて東へ進んでいったという神話があり、これは『古事記』の「スサノオとオオゲツヒメ」の説話に因むものとされています。そのため、その神話を社伝として現在に伝えており、神社の前には神話に基づいた漫画も販売されています。
しかし、神社の祭神に挟姫は祀られておらず、大田市にも同名の神社がいくつかありますが、いずれも祭神は挟姫では無く、金山彦命・金山姫命を中心に祀っているという謎があります。
なお、神社までは細い山道を登っていくことになりますが、神社のある比礼振山(権現山)は山頂まで車で登ることができるため、自動車移動であれば参拝に苦労することはありません。
神社概要
神話
神社のある乙子地区は、神代に乙子挟姫(オトコサヒメ)が新羅の曽尸茂梨(ソシモリ)より五穀の種を持ち、赤雁に乗って道中の島々(高島・大島)や山(天道山)に立ち寄った後、さらに良い土地を探し求めて天降った山を挟姫山(後の比礼振山)と名付け、以後、この地方を開拓していったと伝えられています。
神話についての詳しい内容はこちらの記事を参照:【乙子挟姫伝説(スサノオとオオゲツヒメ)】
歴史
古くは比礼振山(権現山)の山頂に鎮座していたとされ、姫山神社と称して金山姫命(カナヤマヒメ)・埴山姫命(ハニヤマヒメ)・木花咲耶姫命(コノハナサクヤヒメ)の三柱の姫神を祀っていたとされますが、平安前期(893年)に岐阜県の南宮大社より金山彦命(カナヤマヒコ)を勧請して、正殿に金山彦命・金山姫命、相殿に大山祇命(オオヤマヅミ)・埴山姫命・木花咲耶姫命を祀り、五社大権現と称したとされます。
その後、室町中期の大旱魃(だいかんばつ)の折、吉野国から闇龗神(クラオカミ)・第27代安閑天皇を合祀し、雨乞いの神事が行われたとされ、これ以後は蔵王大権現・蛇王権現(ダオウゴンゲン)と称したそうです。
さらに大正から昭和期にかけて、乙子地区の他の神社を合併し、水波能賣命(ミズハノメ)・国常立尊(クニノトコタチ)・多紀理毘賣命(タギリヒメ)・挟衣毘賣命(サヨリビメ)・多紀都毘賣命(タギツヒメ)の五柱も合祀し、現在は計十二柱の神を祀る神社となったとされています。
祭神
佐毘賣山神社の祭神は以下の通りです。
主祭神
・木花咲耶姫命(コノハナサクヤヒメ):天孫・瓊々杵尊(ニニギ)の妻となり、海幸山幸らを儲けた神
・金山彦命(カナヤマヒコ):イザナミがカグツチを産む際の嘔吐物から化成した男神であり、鉱山の神として信仰される
・金山姫命(カナヤマヒメ):カナヤマヒコと対になる女神
・埴山姫命(ハニヤマヒメ):イザナミがカグツチを産む際の大便から化成した女神であり、土の神として信仰される
・大山祇命(オオヤマヅミ):イザナギ・イザナミの神産みで生まれた山の神であり、多くの神の親神として知られる
→ 益田市の民話の中では「荒くれた男達」や「巨人」として、その名が登場することが多い
配祀神
・闇龗神(クラオカミ):イザナギがカグツチを斬った際の血から化成した神であり、水や雨を司る龍神として信仰される
・安閑天皇(アンカンテンノウ):第27代天皇である(在位期間:531年2月7日~536年12月17日)
・水波能賣命(ミズハノメ):淤加美神とともに、日本の代表的な水神とされる
・国常立尊(クニノトコタチ):天地開闢の際に出現した神であり、日本の根源神として信仰される
・多紀理毘賣命(タギリヒメ):宗像三女神の一柱(田心姫神とも)
・挟衣毘賣命(サヨリビメ):宗像三女神の一柱(市杵島姫神とも)
・多紀都毘賣命(タギツヒメ):宗像三女神の一柱(湍津姫神とも)
・木花咲耶姫命(コノハナサクヤヒメ):天孫・瓊々杵尊(ニニギ)の妻となり、海幸山幸らを儲けた神
・金山彦命(カナヤマヒコ):イザナミがカグツチを産む際の嘔吐物から化成した男神であり、鉱山の神として信仰される
・金山姫命(カナヤマヒメ):カナヤマヒコと対になる女神
・埴山姫命(ハニヤマヒメ):イザナミがカグツチを産む際の大便から化成した女神であり、土の神として信仰される
・大山祇命(オオヤマヅミ):イザナギ・イザナミの神産みで生まれた山の神であり、多くの神の親神として知られる
→ 益田市の民話の中では「荒くれた男達」や「巨人」として、その名が登場することが多い
配祀神
・闇龗神(クラオカミ):イザナギがカグツチを斬った際の血から化成した神であり、水や雨を司る龍神として信仰される
・安閑天皇(アンカンテンノウ):第27代天皇である(在位期間:531年2月7日~536年12月17日)
・水波能賣命(ミズハノメ):淤加美神とともに、日本の代表的な水神とされる
・国常立尊(クニノトコタチ):天地開闢の際に出現した神であり、日本の根源神として信仰される
・多紀理毘賣命(タギリヒメ):宗像三女神の一柱(田心姫神とも)
・挟衣毘賣命(サヨリビメ):宗像三女神の一柱(市杵島姫神とも)
・多紀都毘賣命(タギツヒメ):宗像三女神の一柱(湍津姫神とも)
境内の見どころ
拝殿
佐毘賣山神社の拝殿です。
社殿には、石見地方特有の赤褐色の石州瓦が使用されています。
なお、社殿の軒下には神社資料が置かれ、神話のマンガ冊子が販売されています。
本殿
佐毘賣山神社の本殿です。
厳島社
佐毘賣山神社の境内社・厳島神社です。
祭神に市杵嶋姫命(イチキシマヒメ)と倉稲魂命(ウカノミタマ)を祀っています。
神楽殿
佐毘賣山神社の神楽殿です。
祭礼の日に奉納行事が行われる場所だと思われます。
権現霊水
佐毘賣山神社の手水舎です。
この水は権現霊水(ごんげんれいすい)と呼ばれ、天然のミネラル分を豊富に含む霊験あらたかな水とされています。
正史「挟姫伝説」(マンガ冊子)
佐毘賣山神社で販売されている正史「挟姫伝説」です。
比礼振山に伝わる神話をマンガで分かりやすく解説しています(価格は600円です)。
旧神社跡
比礼振山(権現山)の山頂には、佐毘賣山神社の旧神社跡があります。
山頂までは車で登ることが可能です(勾配のキツい坂を登る必要がある)。
こちらの記事も参照:【比礼振山(権現山)】
料金: 無料
住所: 島根県益田市乙子町51番地(マップ)
営業: 終日開放
交通: 益田駅(徒歩88分)、自動車推奨
公式サイト: http://www.sahimeyama-jinja.jp/index.html
住所: 島根県益田市乙子町51番地(マップ)
営業: 終日開放
交通: 益田駅(徒歩88分)、自動車推奨
公式サイト: http://www.sahimeyama-jinja.jp/index.html
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「日本神話」を研究しながら日本全国を旅しています。旅先で発見した文化や歴史にまつわる情報をブログ記事まとめて紹介していきたいと思っています。少しでも読者の方々の参考になれば幸いです。
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