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2015年12月6日日曜日

信太森葛葉稲荷神社(葛葉稲荷) [大阪府]

人文研究見聞録:信太森葛葉稲荷神社(葛葉稲荷) [大阪府]

大阪府和泉市葛の葉町にある信太森葛葉稲荷神社(しのだのもりくずのはいなりじんじゃ)です。

通称「信太森神社(しのだのもりじんじゃ)」「葛葉稲荷(くずのはいなり)」などと呼ばれています。

境内の大楠を祀る神社であり、ここには安倍晴明の伝説上の母「葛の葉狐(白狐)」が棲んでいたとされています。

そのため、晴明ゆかりの神社として有名であり、文学・歌舞伎の「葛の葉物語」の舞台にもなっています。

また、豊穣、商売、学業、良縁、安産、子宝、夜泣、安全など様々な御利益があり、数多くの末社も祀られています。


神社概要

由緒

人文研究見聞録:信太森葛葉稲荷神社(葛葉稲荷) [大阪府]

奈良時代の和銅元年(708年)、元明天皇がこの森に鎮座する楠大明神(楠の神木の化身である白龍とも)を奉り、祭事を行ったことに始まるとされます。それ以来、この森は「信太森(しのだもり)」と称され、楠(神木)を御神体として神社としたそうです。

また、信太森には安倍晴明の伝説上の母である葛の葉狐(白狐)が棲んでいたとされ、安倍晴明の父母に関わる「保名物語」という伝説も由緒に含まれるとされています。なお、葛葉稲荷では通常神使とされる白狐(葛の葉)を祭神の一柱として祀っています。

ちなみに、江戸時代発刊の『和泉名所図会』には「社伝、旧記なく、只老楠(千枝楠)のみありて」とあることから、江戸時代には神社としての体裁は整ってなく、稲荷神や白狐などを祀る祠があったにすぎないとも云われています(社格を受けたのは明治以降とされ、現在のように立派になったのは比較的最近とも)。

なお、由緒書には以下のように記載されています。

葛葉稲荷由緒

和銅元年旧二月初午の日、元明天皇は此の森に御鎮座まします大神を奉りて祭事を為し給うて以来、世人は此の森を信太森と称して稲荷大神第一の御命婦白狐の棲と言い伝へり。

晴明伝には稲荷大明神御命婦神 若宮葛葉姫大神を奉るとある。保名物語には葛葉姫子別れの古記段も此の神社と言い伝へる。白狐口に筆をくわえて書き残したのが世に有名な下の一首である。

「恋しくは 尋ね来て見よ 泉なる 信太の森の うらみ葛の葉」

祭神

葛葉稲荷の祭神は以下の通りです。

主祭神

・保食神(ウケモチ):食糧を司る神だが、葛葉稲荷では「信太森葛葉稲荷大明神」として祀っている
・宇迦御魂神(ウカノミタマ):伏見稲荷を代表する稲荷神(『秀真伝』によれば、保食神が初代稲荷神とされる)
・大己貴命(オオナムチ):大国主の別名
・大宮姫命(オオミヤノメ):稲荷大神三座の一座(『古語拾遺』によれば、太玉命の御子神とされる)
・素盞男命(スサノオ):三貴子の一柱、出雲国の祖神
・猿田彦命(サルタヒコ):導きの神(伊勢の国津神)
・若宮葛ノ葉姫大神(わかみやくずのはひめおおかみ):信太森に棲んでいた白狐であり、晴明の母とされる

なお、由緒書では信太森葛葉稲荷大明神(保食神)について以下のように説明されています。

信太森葛葉稲荷大明神(保食神)の由縁

信太森葛葉稲荷大明神と申し奉るは保食神之なり(『日本書紀』神代の巻)。

掛巻も畏き保食神は天照大神の御神勅を賜り、種穀養蚕また天津日嗣を始め奉り、天下万人に衣食住の道を教え、蒼生の末の片葉に至るまで上を養い世を賑わしめ給う大神なり。

天下万民 誰か一日として此の大神の御徳を仰がざらん。

保名物語(葛葉伝説)

人文研究見聞録:信太森葛葉稲荷神社(葛葉稲荷) [大阪府]

昔、大阪の阿倍野の里に「安倍保名」という若者がおり、家の再興を願って信太森の稲荷へ日参していました。

ある日、参拝を終えて帰ろうとすると、狩人に追われた一匹の白狐が走り寄って来ました。保名はその白狐を哀れんで草むらに匿うと、追ってきた狩人達と争いになり、そこで傷を負って意識を失ってしまいました。

保名が目を覚ますと、一人の美しい女性に介抱されていました。女性の名は「葛の葉」と言いました。以来、葛の葉は保名の家に訪ねて来るようになり、やがて二人は心を通わせて結婚し、間に一人の男児を儲けました。

二人はしばらく幸せに暮らしましたが、男児が五つになった秋のこと、添い寝していた葛の葉は眠っているうちに神通力を失って正体(白狐の姿)を現してしまいました。子に正体を見られてしまった葛の葉は、もはやこれまでと口にくわえた筆で歌を書き残して去りました。

恋しくは 尋ね来て見よ 泉なる 信太の森の うらみ葛の葉

その歌を見つけた保名は、母を慕って泣く子を背にして妻の名を呼びながら信太の森に探しに来ました。すると、以前は見えなかった葛の葉っぱが辺り一面に生い茂っていました。そして、その葛の葉っぱが夫と我が子の声に応えるように、葉の裏を見せてざわめきました。

その後、男児は成長して「陰陽師・安倍晴明」となりました。

※この伝説には複数のバリエーションがあり、上記は公式サイトを参考にしたものとなっています。

安倍晴明・葛葉伝説についてはこちらの記事を参照:【安倍晴明とは?】【安倍晴明の伝説】

社紋(裏見の葛の葉)

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葛葉稲荷の社紋は「裏見の葛の葉」という独特なものになっています。

これは当時、三出葉のうち、表が一枚、裏返しが二枚の異形の葛が生えていたことに由来し、「葛葉伝説」にある「信太の森のうらみ葛の葉」の「うらみ」とは「裏見」の意味であり、境内に生えている葛の葉を表しているとされています。

千枝の大楠(神木)

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葛葉稲荷の御神木である千枝の大楠(ちえのおおくす)です。

樹齢2000年と云われる楠の大木であり、根本から二つに分かれていることから「夫婦楠」とも呼ばれ、夫婦円満・良縁成就などのご利益があるとされています。また、枝ぶりが四方に繁茂しているため、「千枝(智恵)の楠」とも言い伝えられているそうです。

平安時代には花山天皇が熊野行幸の際に「信太森千枝の樟」の称を授与したとも云われ、さらに清少納言の草紙に「森は信太森」と記して以来、和歌の題となっている有名な楠でもあるとされています。

また、晴明の母とされる葛の葉(白狐)は、この神木から現れたと伝えられているそうです。

なお、昭和末期には楠の大枝が落下し、その修復の際に枝から白蛇の亡骸が2体発見されたため、社殿を建てて境内に「楠木龍王二柱大神」として祀ったとされています。その由緒は以下の通りです。

楠木龍王二柱大神の由来

昭和53年6月5日夕方、大音響が境内に響き渡った。千枝の大楠の大枝が折れて落下し、その直下の石燈籠までが砕けていたのである。境内に駆け付けた人々はこの惨状を見て呆然としたが、事態を収拾して一夜が過ぎ、翌朝に成田氏が大枝の切断始めると大枝の下に2体の白蛇が打ちひしがれ、既に昇天されていた。

その夜、成田氏が床に付こうとすると不思議なことに龍神の姿が浮かび上がり眠れなかったため、翌朝 境内地に神殿を建立し、楠木龍王二柱大神として祀ったという。

境内の見どころ

鳥居群

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葛葉稲荷の境外・境内には大小無数の鳥居が建てられています。

狛狐

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葛葉稲荷の狛狐です。

境内に狛犬は無かったと思います。

本殿

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葛葉稲荷の本殿です。

本殿内には、葛の葉狐が姿を変えたとされる御霊石(みたまいし)白狐石が祀られているそうです。

歌碑

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芭蕉の歌碑
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和泉式部の歌碑

葛葉稲荷の本殿付近には、松尾芭蕉と和泉式部の歌碑があります。

白狐化身の木

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葛葉稲荷の境内裏手にある白狐化身の木です。

しかし、案内板が無いため、詳しい由来については不明です。

姿見の井戸

人文研究見聞録:信太森葛葉稲荷神社(葛葉稲荷) [大阪府]

葛葉稲荷の姿見の井戸です。

晴明の父・保名に助けられた白狐が「葛の葉」に化成した時に、鏡に代えて姿を写して確認した井戸とされています。

なお、葛の葉が無事にこの森に帰りついたことから、旅立つ前に井戸に姿を写せば無事に帰れる云われています。

子安石

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葛葉稲荷の子安石(こやすいし)です。

子宝・安産を願う石とされ、一説には「安倍晴明遥拝の石」とも呼ばれているそうです。

狐の碑

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葛葉稲荷の狐の碑です。

「恋しくば尋ね来て見よ 和泉なる信太の森のうらみ葛の葉 」の一文が刻まれています。

公園

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葛葉稲荷の境内の一部は公園になっています。

狸群像

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葛葉稲荷の境内には、狸像が祀られている一角があります。

末社群

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葛葉稲荷の境内には多数の社殿や石碑が祀られており、約68社の境内末社があるとされています(末尾に記載)。

料金: 無料
住所: 大阪府和泉市葛の葉町1丁目11-47
営業: 終日開放
交通: 信太駅(徒歩5分)

公式サイト: http://www.kuzunohainari.com/

葛葉稲荷の末社一覧

01.春吉大神:目の神
02.春永大神:目の神
03.春高大神:目の神
04.白姫大神・末光大神・不動長大神・吉光大神
05.教信徒守護神諸霊
06.竹内大明神
07.白明大明神
08.豊葦大神
09.白永大神:婦人病の神
10.梅鶴大神・福玉大神:胃の神
11.荒熊大神・白長大神:龍神の神
12.弘法大師
13.不動明王
14.黒竜権現・白姫竜神
15.松平大神・千代一大神
16.神明不明
17.白光大神・八大龍王・葛葉大明神
18.小玉大神:子供の神
19.阿部大神・楠宮大神:知恵の神
20.千代丸大神・葛姫大神
21.石切剣箭大神:でんぼの神(石切神社の神)
22.森吉大神
23.慈母観音
24.義隆大明神・静山大明神
25.重高大神・岩永大神
26.楠本大明神:白狐の神
27.楠大明神:白竜の神
28.葛姫大神
29.楠玉大神
30.玉姫大神・猿佐光大神・宗高大神
31.楠木龍王二柱大神:千枝の大楠に棲んでいた2体の白蛇
32.春戸大明神
33.水波女神
34.厳島大神:足の神
35.高春大神
36.春高大明神
37.豊丸大明神
38.葛葉姫大神
39.白瀧大明神:扁桃腺の神
40.白長大明神
41.末広大神
42.不動明王
43.京春大明神・瀧壷大明神:首から上の神
44.御初大明神
45.白菊大神
46.末永大明神
47.神名不明
48.吉廣大神:水商売の神
49.神名不明
50.神名不明
51.神名不明
52.格賀明神:道案内の神
53.千代一大神:出世の神
54.千代丸大神:出世の神
55.葛葉大神・青木大神・猿彦大神:肩こりの神
56.葛姫大明神
57.豊中大神
58.貝徳大明神
59.吉松大神
60.菊松大神
61.玉一大明神
62.日吉大明神
63.国高大明神
64.光吉大明神
65.梅雨鶴大神・福玉大神
66.樋口大神:集金の神
67.国高大神・末光大神:目の神
68.馮之木大明神

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