人文研究見聞録:御霊神社(福知山市) [京都府]

京都府福知山市にある御霊神社(ごりょうじんじゃ)です。

本能寺の変で信長を倒した明智光秀を、冤罪で亡くなった「御霊」として祀る神社とされています。

なお、明智光秀は当地で善政を敷いたことから、当地では偉人として崇敬を集めているそうです。


神社概要

由緒

由緒書によれば、当初は福知山城下の大榎の下に創建された五穀豊穣、商売繁盛を司る保食神(ウケモチ)を祀る神社であり、宝永元年(1704年)、藩主・朽木稙昌の代に明智光秀(あけちみつひで)の霊を合祀して「御霊神社」と称したとされます(社名は光秀の合祀に由来するとされる)。

そして、翌年の宝永2年(1705年)には御霊会(御霊の鎮魂儀礼)が行われ、大正7年(1918年)に当地に遷座して現在に至るとされています。なお、現在は毎年10月の例大祭に併せて「丹波光秀ききょうまつり」が開催され、福知山市の代表的な秋祭りとして親しまれているそうです。

また、光秀は丹波国を平定した後、由良川に堤防を構築したり、城下町を建築する際に地子(地税)を免除するなど、様々な善政を施したため、郷民の多くの支持を得ていたとされます。

そのため、「御霊神社」は「冤罪で非業の死を遂げた者を祀る神社」とされますが、当社も光秀を冤罪で亡くなった者と捉え、その御霊を慰めるために「御霊神社」となったとされています。

祭神

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明智光秀

御霊神社の祭神は以下の通りです。

主祭神

・宇賀御霊大神(ウカノミタマ):当社では保食神(ウケモチ)を指すとされる(五穀豊穣の神、稲荷神)

配神

・日向光秀公(明智光秀命):戦国武将として知られる明智光秀(あけちみつひで)のこと
 → 「本能寺の変」で主君・織田信長を倒したことから逆臣として知られるが、当社では「御霊」として祀られる
  ⇒ 本能寺の変の後に山崎の合戦で秀吉に敗北するが、後に天海となって家康の参謀となったという伝説もある

境内社

人文研究見聞録:御霊神社(福知山市) [京都府]

御霊神社の境内社は以下の通りです。

・事代主神社(恵比須神社):事代主大神(コトシロヌシ)を祀る
・秋葉神社:秋葉権現(火伏せの神)を祀っていると思われる(明和年間に勧請)
・天満神社:菅原道真公を祀っていると思われる(天保年間作霊像)
・福島稲荷神社:稲荷神を祀っていると思われる
・養蚕神社:蚕の社の神を祀っていると思われる(大正4年に太秦の蚕の社より勧請)
・叶神社:不詳
・堤防神社:由良川の治水を祈願する神社(昭和59年に建立)

叶石

人文研究見聞録:御霊神社(福知山市) [京都府]

御霊神社の叶石(かなえいし)です。

この奇岩は俗称「子持ち石」と呼ばれる礫岩であり、神縁によって奉納された霊石と云われています。

この岩を御神体として、思兼神(オモイカネ)、手力男命(タヂカラオ)の二神を悲願成就神として祀っているそうです。

そのため、悲願成就の「叶石」と称えられ、受験合格・縁談・災難厄除などに霊験あらたかであるとされています。

祭神

・思兼神(オモイカネ):日本神話に登場する「知恵を司る神」とされる(作戦を立てる際に重用される神)
・手力男命(タヂカラオ):日本神話に登場する「力の強い神」とされる(天岩戸から天照大神を引っ張り出した)

境内の見どころ

鳥居

人文研究見聞録:御霊神社(福知山市) [京都府]

御霊神社の鳥居です(境内の二の鳥居)。

拝殿

人文研究見聞録:御霊神社(福知山市) [京都府]

御霊神社の拝殿です。

御神体として光秀直筆の古文書『和久左衛門太夫長利追及下知状』が納められているそうです。

そのほかにも当社には光秀直筆の古文書が2点(計3点)あり、福知山市の文化財に指定されています。

本殿

人文研究見聞録:御霊神社(福知山市) [京都府]

御霊神社の本殿です。

料金: 無料
住所: 京都府福知山市中ノ238(マップ
営業: 終日開放
交通: 福知山駅(徒歩8分)

公式サイト: http://www.kyoto-jinjacho.or.jp/shrine/19/057/
matapon
著者: matapon Twitter
「日本神話」を研究しながら日本全国を旅しています。旅先で発見した文化や歴史にまつわる情報をブログ記事まとめて紹介していきたいと思っています。少しでも読者の方々の参考になれば幸いです。