人文研究見聞録:石井神社(柏崎市) [新潟県]

新潟県柏崎市西本町にある石井神社(いわいじんじゃ)です。

奈良時代以前に創建された古社であり、祭神に住吉大社から奉遷した住吉大神を祀っています。

なお、境内にある狛犬が茶色であることが なかなか珍しいです。


神社概要

由緒

創建年代は不明(705年以前)とされますが、社伝によれば 越後国の国司として中央より派遣された貴族の猪名真人大村卿(いなまのひと)が、摂津国の住吉大明神(住吉大社の祭神)を柏崎の地に奉遷したことに始まるとされており、創建当初は「住吉大明神」と称していたとされています。

なお、慶雲2年(705年)には北夷征討鎮護の祈願が行われ、翌年の慶雲3年(706年)には農作物を始め人畜にまで影響を及ぼす旱魃(かんばつ)が起こったことから雨乞いの祈願が行われて無事に雨を降らせたと伝えられているそうです。

また、宝亀9年(778年)には勅令により大祓を執行したとされ、当社特有の輪くぐりの神事は この大祓に由来する古式に則った形式であるとされています。

その後、延暦8年(789年)に激しい地震が起こって社地が陥没したため、翌年に石井の岡に遷宮したとされ、その時に地名に因んで「石井神社」と社名を改めたそうです。なお、平安期には『延喜式神名帳』に石井神社として載せられ、式内社となったとされています。

ちなみに、延暦12年(793年)には坂上田村麿(さかのうえたむらまろ)が東夷征討の折に凶賊の殲滅を祈願して、祈願文を奉納したとされ、それ以来 武将の崇敬を集めたそうです。

また、元亀年間(1570~1573年)には、上杉謙信(うえすぎけんしん)が佐渡征伐の折に当社に参拝し、奉幣および木製の獅子像を奉納したとも伝えられています。

祭神

石井神社の祭神は以下の通りです。

主祭神

・底筒男命(ソコツツノオ):イザナギが黄泉国から戻ってきた後に行った禊で生まれた
・中筒男命(ナカツツノオ):同上
・上筒男命(ウワツツノオ):同上

配祀神

息長帯姫尊(おきながたらしひめ)仲哀天皇の皇后・神功皇后のことであり、応神天皇の母に当たる

境内社

人文研究見聞録:石井神社(柏崎市) [新潟県]

石井神社の境内社は以下の通りです。

・稲荷社ほか
 → 他に2社程度見られるが、祭神は不明

境内の見どころ

社号標

人文研究見聞録:石井神社(柏崎市) [新潟県]

石井神社の社号標です。

参道の前に建っており、「延喜式内 石井神社」と刻まれています。

鳥居

人文研究見聞録:石井神社(柏崎市) [新潟県]

石井神社の鳥居です。

茶色の狛犬

人文研究見聞録:石井神社(柏崎市) [新潟県]
人文研究見聞録:石井神社(柏崎市) [新潟県]

石井神社の狛犬です。

茶色であることが珍しく、石見地方の石州瓦を彷彿とさせる素材になっています。

なお、柏崎周辺では その他の神社でも同様の狛犬が見られます。

本殿

人文研究見聞録:石井神社(柏崎市) [新潟県]

石井神社の本殿です。

獅子舞と神輿

人文研究見聞録:石井神社(柏崎市) [新潟県]

石井神社の境内社内には、獅子舞の面神輿などの祭具が収められています。

料金: 無料
住所: 新潟県柏崎市西本町2丁目3-6(マップ
営業: 終日開放
交通: 柏崎駅(徒歩14分)
matapon
著者: matapon Twitter
「日本神話」を研究しながら日本全国を旅しています。旅先で発見した文化や歴史にまつわる情報をブログ記事まとめて紹介していきたいと思っています。少しでも読者の方々の参考になれば幸いです。