人文研究見聞録:今宮戎神社の十日戎(宝恵駕籠行列) [大阪府]

今宮戎神社の十日戎2016に参加してきたので、その様子をレポートしたいと思います。

概要

十日戎の日程


今宮戎神社の十日戎の日程は以下の通りです。

・1月9日:宵宮祭(宵えびす)
・1月10日:大祭(本えびす)
・1月11日:後宴(残り福)

※1月9日~11日の夜0:00まで、深夜も夜通しで開門される

今宮戎神社とは?


人文研究見聞録:今宮戎神社の十日戎(宝恵駕籠行列) [大阪府]

今宮戎神社(いまみやえびすじんじゃ)とは、飛鳥時代に聖徳太子が四天王寺を建立した際に同地の西方の鎮護として創建された神社であり、平安時代に四天王寺の西門に市を開いた際に戎神(えびす)を守り神としたことから、商売繁盛の神として信仰されるようになったとされています。

なお、現在では「えべっさん」と呼ばれ、商売繁盛の神社として親しまれているそうです。

詳しくはこちらの記事を参照:【今宮戎神社】

十日戎とは?


人文研究見聞録:今宮戎神社の十日戎(宝恵駕籠行列) [大阪府]

十日戎(とおかえびす)とは、毎年1月10日前後に行われる今宮戎神社の例大祭であり、その年の商売繁盛を祈願する正月の祭として有名です。

十日戎は江戸期に大阪が商業の町として繁栄を遂げた頃には既に始まっていたとされ、一説によれば大阪ミナミの芸妓衆が派手にカゴをくり出して今宮戎神社に参詣したことに始まると言われています。

また、延宝三年(1675年)の大坂案内「葦分舟」にも当社の十日戎が描かれており、そのほかにも江戸初期の俳人・小西来山の句集でや、江戸中期の大田蜀山人の紀行文にも十日戎についての記録があるそうです。

なお、現在の十日戎には3日間で約100万人を超える参拝者が集まるとされています。

宝恵駕行列とは?


人文研究見聞録:今宮戎神社の十日戎(宝恵駕籠行列) [大阪府]

宝恵駕行列(ほえかごぎょうれつ)とは、今宮戎神社の十日戎に奉納される行列であり、宝恵駕(ほえかご)と呼ばれる紅白の布で華やかに彩られた駕籠に芸者(現在では芸能人他)が乗り込み、「ほえかご、ほえかご」と声を掛けながら、神社周辺を練り歩くといったものになっています。

古くは江戸時代の元禄期に始まったとされ、現在では戎橋から今宮戎神社までを1時間程度かけて練り歩くようになっており、その詳しいスケジュールは以下のようになっています。

宝恵駕行列のスケジュール


・09:50:出発式(道頓堀川の遊歩道)
・10:00:宝恵駕行列の開始(宗右衛門町・太左衛門橋北詰)
・10:30:戎舞台(戎橋の南詰)
・10:30~:経路の巡行(戎橋筋を南下して、今宮戎神社の境内を目指す)
・13:30:終了(帰路を通って戎橋まで)

※詳しくは戎橋筋商店街のサイトを参照


縁起物

福笹


人文研究見聞録:今宮戎神社の十日戎(宝恵駕籠行列) [大阪府]

福笹(ふくささ)とは、十日戎の際に今宮戎神社で授与される笹であり、「節目正しく真っ直ぐに伸び」「弾力があって折れない」「葉が落ちず常に青々と茂る」といった特徴から、家運隆昌・商売繁盛の縁起物として知られています。

福笹の授与は無料であり、境内で受けることができます。十日戎の最中は境内に数多くの人が集まるため、授与は困難を極めますが、1月9日の朝早い時間ならば空いているそうです。

なお、福笹の飾り方は神社で授与される御札と同様とされており、"目線より高く 清潔な場所に、南向もしくは東向に祀ること"とされています。

福熊手・福箕


人文研究見聞録:今宮戎神社の十日戎(宝恵駕籠行列) [大阪府]

福熊手(ふくくまで)・福箕(ふくみ)とは、十日戎の際に販売される縁起の良い装飾で飾られた熊手と箕であり、「福熊手で福をかき寄せ、福箕で福をすくい上げる」といった意味合いから、家運隆昌・商売繁盛の縁起物として知られています。なお、福箕は"福ざる"とも呼ばれているようです。

これらは主に神社周辺に出店される屋台で販売されており、その大きさや装飾によって様々な値段が付けられています(1万円以上のものもある)。ちなみに最終日の1月11日の夜は、残り福ということで これらの縁起物を値切ることができるそうです。

なお、福熊手・福箕の飾り方は、主に"玄関先の高い場所に入口に向けて飾ること"とされており、室内に飾る場合は"北以外の方角の高い場所に飾ること"とされています。

体験レポート

今宮戎神社の十日戎2016の体験レポートをまとめました。

境内の様子


人文研究見聞録:今宮戎神社の十日戎(宝恵駕籠行列) [大阪府]
人文研究見聞録:今宮戎神社の十日戎(宝恵駕籠行列) [大阪府]

今回は2016年の1月9日に参加したのですが、昼ごろには既に境内は人混みで埋め尽くされていました。

この日には出入口が一方通行になっており、境内を自由に行き来することはできません。また、人混みの多さから拝殿まで辿り着くのに非常に時間がかかるため、参拝の順番待ちの途中で賽銭を放り投げて祈願している人も多数いました(毎年恒例らしい)。

境内では福笹の授与も行われていますが、こちらも非常に混んでいます。

周辺の様子


人文研究見聞録:今宮戎神社の十日戎(宝恵駕籠行列) [大阪府]
人文研究見聞録:今宮戎神社の十日戎(宝恵駕籠行列) [大阪府]

十日戎の際には、今宮戎神社の周辺には多くの屋台が出店して大変賑わっています。

神社の入口付近には"福熊手""福箕"をはじめとする縁起物を販売する屋台が多く、神社から離れるにつれて飲食物を扱う屋台が犇めき合って立ち並んでいます。

その規模たるや凄まじいもので、"たこ焼き・いか焼き・やきそば・お好み焼き"などポピュラーなものから、各地方の名物を扱った屋台までバリエーションも様々です(見ているだけでも楽しい)。

なお、昼食時にはタイムサービスと称して、安売り大盛りなどのサービスを行っている屋台も多数見られます。

付近の神社について


人文研究見聞録:今宮戎神社の十日戎(宝恵駕籠行列) [大阪府]
廣田神社
人文研究見聞録:今宮戎神社の十日戎(宝恵駕籠行列) [大阪府]
敷津松之宮

今宮戎神社の周辺には、"廣田神社""敷津松之宮"があります。

廣田神社は参拝客が少なめで入りやすいですが、敷津松之宮は福笹の授与を行っているためか混んでいるようです。

宝恵駕行列の様子


人文研究見聞録:今宮戎神社の十日戎(宝恵駕籠行列) [大阪府]
人文研究見聞録:今宮戎神社の十日戎(宝恵駕籠行列) [大阪府]

十日戎の宝恵駕行列は、初日の1月9日に行われることが多いようです。

行列は定められた経路に従って、戎橋から今宮戎神社まで練り歩いて来ます。

今回は神社周辺で待ち構えていましたが、神社付近では駕籠から降りてしまうようです。

そのため、良い画を撮りたい場合は戎橋筋商店街で待っていた方が良いと思われます。

なお、宝恵駕行列の様子を動画に撮りましたので、よろしければご覧ください。

matapon
著者: matapon Twitter
「日本神話」を研究しながら日本全国を旅しています。旅先で発見した文化や歴史にまつわる情報をブログ記事まとめて紹介していきたいと思っています。少しでも読者の方々の参考になれば幸いです。