人文研究見聞録:石清水八幡宮 [京都府]

京都府八幡市にある石清水八幡宮(いわしみずはちまんぐう)です。

国内の代表的な八幡宮であり、宇佐神宮・筥崎宮(または鶴岡八幡宮)と共に日本三大八幡宮の一社に数えられています。

なお、明治には「男山八幡宮」と称しており、その頃の勧請の八幡宮では由緒に この社号を使っている場合があります。


神社概要

由緒

由緒書によれば、平安前期の貞観元年(859年)、南都大安寺の高僧・行教(ぎょうきょう)が豊前国(現・大分県)の宇佐八幡宮に一夏 籠って熱祷を捧げていたところ、その最終日に当たる7月15日に八幡大神より「吾(われ)、都近き男山の峯に移座して国家を鎮護せん」との神託が下ったことから、その翌月に石清水男山の峰に八幡三所大神の神霊を祀ったことに始まるとされます。

その後、清和天皇の勅命により、木工権允橘良基(もくのごんのじょうたちばなのよしもと)に男山の山上に六宇宝殿(八幡造の社殿)が建立され、貞観2年(860年)に正式に鎮座したとされています。

なお、鎮座地である男山は、古来より京都・大坂・奈良を結ぶ水陸交通・政治・経済・軍事上の要衝であり、当社は京都の裏鬼門(南西)に位置することから、京都の鬼門(東北)に位置する比叡山の延暦寺と共に重要視されたそうです。

また、当社は伊勢神宮と共に二所宗廟(皇室の祖先を祀る廟所)の一社であり、歴代の行幸は70回以上、上皇の御幸は180回以上に及ぶほど皇室から篤い崇敬を受けていたとされ、摂関家や武家をはじめとする諸家からの崇敬も篤かったとされています。

祭神

石清水八幡宮の祭神は以下の通りです。

東御前

神功皇后(じんぐうこうごう)第14代仲哀天皇の皇后であり、天皇の死後は摂政として政務を執ったとされる
 → 第15代応神天皇の母であり、息長帯比売命(おきながたらしひめ)ともいう

中御前

・応神天皇(おうじんてんのう):第15代天皇であり、八幡大神として信仰されている
 → 誉田別尊(ほむだわけ)ともいう

西御前

・比咩大神(ひめおおかみ):宗像三女神(タギリヒメ・イチキシマヒメ・タギツヒメ)のこととされる
 → 玉依姫命(神武天皇の母)もしくは仲姫命(応神天皇の皇后)という説もある

蒙古襲来と石清水八幡宮

人文研究見聞録:石清水八幡宮 [京都府]

弘安4年(1281年)に起こった弘安の役(元寇における二度目の侵攻)の際、石清水八幡宮にて僧・叡尊(えいそん)に尊勝陀羅尼を読誦させて敵国降伏を祈願したところ、暴風雨が元軍を襲って退却を余儀なくさせたとされています。

また、鎌倉時代に成立した八幡神の霊験・神徳を説いた寺社縁起『八幡愚童訓(はちまんぐどうくん)』によれば、八幡神の化身と思われる白装束の30人が現れて、元軍を撃退したとされています。

その詳しい内容は以下の通りです。

蒙古襲来と白装束の30人

元軍に追い詰められた日本軍が逃げ去った夕暮れ時、八幡神の化身と思われる白装束30人ほどが出火した筥崎宮より飛び出して、矢先を揃えて元軍に矢を射掛けた。

恐れ慄いた元軍は松原の陣を放棄し、海に逃げ出したところ、海から不可思議な火が燃え巡り、その中から八幡神を顕現したと思われる兵船2艘が突如現れて元軍に襲い掛かり、元軍を皆討ち取った。

また、たまたま沖に逃れた軍船は大風に吹きつけられて敗走した。

摂末社

摂社

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若宮社
人文研究見聞録:石清水八幡宮 [京都府]
若宮殿社
人文研究見聞録:石清水八幡宮 [京都府]
水若宮社(右)
人文研究見聞録:石清水八幡宮 [京都府]
住吉社(左)
人文研究見聞録:石清水八幡宮 [京都府]
高良神社

石清水八幡宮の摂社は以下の通りです。

・武内社:武内宿禰命を祀る
・若宮社:仁徳天皇(第16代天皇)を祀る
・若宮殿社:応神天皇の皇女を祀る
・水若宮社:宇治稚部子命を祀る
・住吉社:住吉三神(表筒男命・中筒男命・底筒男命)を祀る
・高良神社:高良玉垂命を祀る
・石清水社:天之御中主神を祀る
・狩尾社:天照大神・大己貴命・天児屋命を祀る

末社

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氣比社(左)
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貴船社・龍田社
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一童社(右)
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廣田社・生田社・長田社
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三女神社
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大扉稲荷社
石清水八幡宮の末社は以下の通りです。

・氣比社:気比大神を祀る
・廣田社:天照大御神を祀る
・生田社:稚日女命を祀る
・長田社:事代主命を祀る
・一童社:磯良命を祀る
・貴船社:高龗神を祀る
・龍田社:級津彦命・級津媛命を祀る
・水分社:国之水分神を祀る
・三女神社:宗像三女神を祀る
・大扉稲荷社:御食津神を祀る

境内の見どころ

一ノ鳥居

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石清水八幡宮の一ノ鳥居です。

神門

人文研究見聞録:石清水八幡宮 [京都府]

石清水八幡宮の神門です。

頓宮

人文研究見聞録:石清水八幡宮 [京都府]

石清水八幡宮の頓宮(とんぐう)です。

年に一度、勅祭である石清水祭にて本殿から御神霊が遷される重要な社殿とされています。

タブの木

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石清水八幡宮のタブの木です。

摂社・高良神社の神木であり、古来より厄除の木として信仰されているそうです。

二ノ鳥居

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石清水八幡宮の二ノ鳥居です。

三ノ鳥居

人文研究見聞録:石清水八幡宮 [京都府]

石清水八幡宮の三ノ鳥居です。

一ッ石

人文研究見聞録:石清水八幡宮 [京都府]

石清水八幡宮の一ッ石です。

お百度石の起源となったと云われており、江戸時代には この石の前で再び本殿に拝礼する習わしがあったそうです。

エジソン記念碑

人文研究見聞録:石清水八幡宮 [京都府]

石清水八幡宮のエジソン記念碑です。

エジソンが八幡の竹を使って白熱電球の長時間点灯、実用化に成功したことから建てられた記念碑とされています。

南総門

人文研究見聞録:石清水八幡宮 [京都府]

石清水八幡宮の南総門です。

この門から本殿を望むと少し西を向いていますが、これは八幡大神に対して背を向けないようにする措置とされています。

築地塀

人文研究見聞録:石清水八幡宮 [京都府]

石清水八幡宮の築地塀(ついじべい)です。

織田信長が好んだ様式で通称「信長塀」とも呼ばれており、熱田神宮にも同様のものがあります。

鬼門封じ

人文研究見聞録:石清水八幡宮 [京都府]

石清水八幡宮の鬼門封じです。

鬼門とされる丑寅の方角(東北)を封じるために角が削られており、京都御所にも同様のものがあります。

本殿

人文研究見聞録:石清水八幡宮 [京都府]

石清水八幡宮の本殿です。

八幡造と呼ばれる独特の構造であり、楼門・舞殿・幣殿・本殿はいずれも国宝に指定されています。

なお、当社の参拝方法は"一礼・二拝・二拍手・一拝・一礼"となっています。

料金: 無料
住所: 京都府八幡市八幡高坊30(マップ
営業: 夏季5:30~18:30、冬季6:30~18:00
交通: 八幡市駅(徒歩17分)

公式サイト: http://www.iwashimizu.or.jp/top.php
matapon
著者: matapon Twitter
「日本神話」を研究しながら日本全国を旅しています。旅先で発見した文化や歴史にまつわる情報をブログ記事まとめて紹介していきたいと思っています。少しでも読者の方々の参考になれば幸いです。