人文研究見聞録:馬高縄文館(馬高遺跡) [新潟県]

新潟県長岡市にある馬高縄文館(うまたかじょうもんかん)です。

隣接する馬高遺跡で出土した火焔土器の展示を中心とする考古館であり、数多くの土器や土器片が並べられています。

館内はそれほど広くはありませんが、多くの土器・土偶が見られるため、縄文時代が好きな方にはとてもオススメです。


博物館について

概要

人文研究見聞録:馬高縄文館(馬高遺跡) [新潟県]
人文研究見聞録:馬高縄文館(馬高遺跡) [新潟県]

馬高縄文館は、馬高・三十稲場遺跡から出土した遺物を展示している考古館です。

馬高遺跡(うまたかいせき)とは、縄文館に隣接している縄文中期(約5500年前~4500年前)の遺跡であり、いわゆる縄文土器として有名な火焔土器(かえんどき)が出土した遺跡として有名です。

三十稲場遺跡(さんじゅういなばいせき)とは、馬高遺跡のやや北にある縄文後期(約4500年前~3200年前)の遺跡であり、新潟県の後期前葉を代表する三十稲場式土器(さんじゅういなばしきどき)が出土した遺跡として知られています。

常設展では、これらの遺跡から出土した遺物を「火焔土器ゾーン」「遺跡ゾーン」に分けて展示しており、土器・土偶類を中心に数々の遺物の展示が行われています。

火焔土器とは?

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火焔土器(かえんどき)とは、縄文中期(約5500年前~4500年前)を代表する縄文土器の一種であり、燃え上がる炎を象ったような形状から この名で通称されています。

最初に発見されたのは昭和11年(1936年)のことであり、発見された場所は縄文館に隣接する馬高遺跡であるとされます。そのため、馬高遺跡の一角には"伝・火焔土器 出土地点"の場所が示されています。

なお、火焔土器(火焔型土器)は、全国では東日本を中心に200以上の遺跡で出土しており、信濃川流域の新潟県、長野県北部、阿賀野川流域の福島県西部の出土数が多いとされます。また、北陸地方の富山県、東北地方の山形県南部、群馬県、栃木県からも少なからず出土することがあるそうです。

形状については、概ね深鉢形土器であり、胴部には粘土紐を貼り付けてS字状、渦巻状などの文様が施されているという特徴があります。なお、土器様式に系統的に先行する様式は不明瞭とされており、突然創造され始めたということが奇妙であるとされています。

ちなみに、昭和期の芸術家として知られる岡本太郎は、東京国立博物館で展示されていた火焔土器を見た瞬間に衝撃を受けたとされ、当時の美術誌に「縄文土器論」を発表したことから、縄文ブームが始まったと言われています。

アクセス

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馬高縄文館は、長岡駅から車で20分以上かかる場所に位置しているため、アクセスは非常に悪いと言えます。

そのため、長岡駅前からバスに乗っても片道40分程度掛かり、さらにバスの本数も少ないため、公共の交通機関を使っての来館を計画している場合は、ある程度の時間の余裕を計算に入れておいた方が無難です。

なお、当館から南に15分程度歩けば、新潟県の歴史・文化の展示が行われている新潟県立歴史博物館に行くことができます。

館内の見どころ

火焔土器

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館内には、馬高遺跡から出土した火焔型土器および王冠型土器が展示されています。

土器

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館内には、縄文土器および土器片に特化したが展示コーナーがあります。

ここでは、火焔型土器の非常に興味深い装飾を間近で見ることができます。

土偶

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館内には、縄文土器に特化したが展示コーナーがあります。

ここでは、「ミス馬高」と称される土偶をはじめとする、数々の土偶を見ることができます。

当館に展示されている土偶は、目がキツネ目でありアゴが細いという特徴があるようです。

石棒

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館内には、石棒に特化したが展示コーナーがあります。

石棒とは、縄文時代の棒状磨製石器であり、男性器をモチーフにして造られた祭具・呪具の類であるとされています。

なお、当館に展示されている石棒には、顔のような形が彫り込まれたものがあるのが珍しかったです。

その他の出土物

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館内には、土器・土偶の他にも、石器や装飾品などの展示も行われています。

馬高遺跡の見どころ

伝・火焔土器 出土地点

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馬高遺跡の伝・火焔土器 出土地点です。

昭和11年(1936年)の大晦日に、ここから火焔土器が発見されたと伝えられています。

復元住居

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馬高遺跡の復元住居です。

いくつかの竪穴式住居が建てられており、中に入ることもできます。

料金: 一般・大学生200円、高校生以下無料
住所: 新潟県長岡市関原町1丁目3060−1(マップ
営業: 9:00~17:00(月曜定休)
交通: 長岡駅(徒歩121分)、越後交通バス「関原南」下車

公式サイト: http://www.museum.city.nagaoka.niigata.jp/umataka/index.html
matapon
著者: matapon Twitter
「日本神話」を研究しながら日本全国を旅しています。旅先で発見した文化や歴史にまつわる情報をブログ記事まとめて紹介していきたいと思っています。少しでも読者の方々の参考になれば幸いです。