西宮神社(西宮えびす神社) [兵庫県]
2016/12/12
兵庫県西宮市にある西宮神社(にしのみやじんじゃ)です。
国内に約3500社ある えびす神社の総本社であり、「西宮のえべっさん」と通称されています。
また、毎年1月10日前後に行われる十日えびすの福男選びで有名です。
神社概要
由緒
社伝によれば、当社の起源は「えびす大神の御鎮座伝説」に由来し、古くは茅渟海(ちぬのうみ)と云われた大阪湾の、神戸・和田岬の沖に出現した御神像を、西宮・鳴尾の漁師が祀ったことに始まるとされ、後に神託によって西方の西宮に遷し祀られたのがことが西宮神社の起源と伝えられているとされます。
このほかにも 創祀にまつわる伝承はいくつかあり、具体的な創祀は不明とされていますが、平安時代には廣田神社の境外摂社であったとされ、「浜の南宮」もしくは「南宮社」と呼ばれていたそうです。
また、境内末社の大国主西神社は、平安中期に成立した『延喜式神名帳』における延喜式内社「大国主西神社」に比定されていますが、西宮神社自体を本来の式内大国主西神社とする説もあるとされています。
なお、由緒書における説明は以下の通りです。
ゑびす様の総本社である西宮神社は、西宮のほぼ中央に鎮座し、平安時代末期には既に高倉天皇の御奉幣をはじめ、皇族・神祇伯の参拝が著しく、社勢極めて盛大であった。
特に中世以後、福の神と崇める信仰が盛んとなり、傀儡師の活動や謡曲や狂言を通じて愈々(いよいよ)御神徳が広まっていった。
とりわけ、徳川時代以後の商売繁盛の発展に伴い、海上守護神・商売繁盛の神として あまねく御神徳が発揚(はつよう)し、今日では全国津々浦々にわたって多くの人々の崇敬を受けている。
特に中世以後、福の神と崇める信仰が盛んとなり、傀儡師の活動や謡曲や狂言を通じて愈々(いよいよ)御神徳が広まっていった。
とりわけ、徳川時代以後の商売繁盛の発展に伴い、海上守護神・商売繁盛の神として あまねく御神徳が発揚(はつよう)し、今日では全国津々浦々にわたって多くの人々の崇敬を受けている。
創祀伝承についてはこちらの記事を参照:【西宮神社の創祀伝承】
祭神
西宮神社の祭神は以下の通りです。
第一殿(東)
・えびす大神(蛭子大神):イザナギ・イザナミの子であるヒルコとされる
→ 別名・西宮大神
→ 男神説と女神説がある
⇒ 『和漢三才図会』における創祀伝承によれば天照大神の弟とされる
⇒ 『ホツマツタヱ』における伝承によればアマテル(天照大御神)の姉でありイロト(愛妹)とされる
→ 『竹内文書』によれば、初めて商法を造った神を天豊恵比須商主尊という
第二殿(中)
・天照大神(アマテラス):三貴子の筆頭であり、太陽を神格化した神(伊勢内宮の主祭神)
・大国主大神(オオクニヌシ):国造りの神(出雲大社の主祭神)
第三殿(西)
・須佐之男大神(スサノオ):三貴子の一柱であり、出雲の祖神
・えびす大神(蛭子大神):イザナギ・イザナミの子であるヒルコとされる
→ 別名・西宮大神
→ 男神説と女神説がある
⇒ 『和漢三才図会』における創祀伝承によれば天照大神の弟とされる
⇒ 『ホツマツタヱ』における伝承によればアマテル(天照大御神)の姉でありイロト(愛妹)とされる
→ 『竹内文書』によれば、初めて商法を造った神を天豊恵比須商主尊という
第二殿(中)
・天照大神(アマテラス):三貴子の筆頭であり、太陽を神格化した神(伊勢内宮の主祭神)
・大国主大神(オオクニヌシ):国造りの神(出雲大社の主祭神)
第三殿(西)
・須佐之男大神(スサノオ):三貴子の一柱であり、出雲の祖神
境内社
西宮神社の境内社は以下の通りです。
【廣田神社 摂社】
・南宮神社:豊玉姫神・市杵島姫神・大山咋神・葉山姫神を祀る
【末社】
・火産霊神社:火皇産霊神を祀る
・百太夫神社:百太夫神を祀る
・六甲山神社:菊理姫命を祀る
・大國主西神社:大己貴命・少彦名命を祀る
・神明神社:豊受比女命を祀る
・松尾神社:大山咋命・猿田彦命・住吉大神を祀る
・市杵島神社:市杵島姫命を祀る
・宇賀魂神社:宇賀御魂命を祀る
・沖恵美酒神社:沖恵美酒神を祀る
・梅宮神社:酒解神を祀る
・庭津火神社:奥津彦神・奥津比女神を祀る
・住吉神社:住吉三神・西宮大神・速秋津姫神を祀る(境外末社)
・児社:児尊を祀る
・南宮神社:豊玉姫神・市杵島姫神・大山咋神・葉山姫神を祀る
【末社】
・火産霊神社:火皇産霊神を祀る
・百太夫神社:百太夫神を祀る
・六甲山神社:菊理姫命を祀る
・大國主西神社:大己貴命・少彦名命を祀る
・神明神社:豊受比女命を祀る
・松尾神社:大山咋命・猿田彦命・住吉大神を祀る
・市杵島神社:市杵島姫命を祀る
・宇賀魂神社:宇賀御魂命を祀る
・沖恵美酒神社:沖恵美酒神を祀る
・梅宮神社:酒解神を祀る
・庭津火神社:奥津彦神・奥津比女神を祀る
・住吉神社:住吉三神・西宮大神・速秋津姫神を祀る(境外末社)
・児社:児尊を祀る
詳しくはこちらの記事を参照:【西宮神社の境内社】
関連知識
十日えびす
十日えびすとは、西宮神社にて毎年1月10日前後(9日~11日)の3日間で行われ祭であり、開門神事福男選び、招福大まぐろ奉納、有馬温泉献湯式などの行事が行われます。
開門神事・福男選び
開門神事・福男選びとは、1月10日に開催される その年の「福男」を選ぶ神事であり、朝6時の表大門(赤門)の開門と同時に本殿を目指して走り出し、3着までの人間が「福男」となるとされています(本殿前で待ち構えている神主に抱きつくことが条件とされる)。なお、「福男」と言えど女性も参加可能なんだそうです。
また、この神事は江戸時代から自然発生的に起こっていたとされ、古来より西宮神社周辺では「忌篭り」と呼ばれる「1月9日の夜に"えべっさん"が市中を廻られるため、家からの外出を禁ずる」という風習があったことから、1月10日の朝6時まで神社に入れなかったため「忌篭りが解かれた後に氏子たちが一斉に家から神社まで駆け抜けた」とされており、これが福男選びのルーツなったとも言われています。
なお、現在では福男の副賞として以下のものが与えられるとされています。
・一番福:えびす様の御木像(大)、えべっさんの酒菰樽(72l)、えべっさんの米1俵(60kg)、特製法被
・二番福:えびす様の御木像(小)、えべっさんの米1俵(60kg)、特製法被
・三番福:えびす様の御金像、八喜鯛(焼き鯛)、特製法被
開門神事・福男選びとは、1月10日に開催される その年の「福男」を選ぶ神事であり、朝6時の表大門(赤門)の開門と同時に本殿を目指して走り出し、3着までの人間が「福男」となるとされています(本殿前で待ち構えている神主に抱きつくことが条件とされる)。なお、「福男」と言えど女性も参加可能なんだそうです。
また、この神事は江戸時代から自然発生的に起こっていたとされ、古来より西宮神社周辺では「忌篭り」と呼ばれる「1月9日の夜に"えべっさん"が市中を廻られるため、家からの外出を禁ずる」という風習があったことから、1月10日の朝6時まで神社に入れなかったため「忌篭りが解かれた後に氏子たちが一斉に家から神社まで駆け抜けた」とされており、これが福男選びのルーツなったとも言われています。
なお、現在では福男の副賞として以下のものが与えられるとされています。
・一番福:えびす様の御木像(大)、えべっさんの酒菰樽(72l)、えべっさんの米1俵(60kg)、特製法被
・二番福:えびす様の御木像(小)、えべっさんの米1俵(60kg)、特製法被
・三番福:えびす様の御金像、八喜鯛(焼き鯛)、特製法被
招福大まぐろ奉納
招福大まぐろ奉納とは、毎年1月8日に神戸市東部卸売市場が大漁を願って大マグロを奉納することを指し、十日えびすの期間中は「招福マグロ」として拝殿に飾られるそうです。
この際、多くの参拝者が凍ったマグロの頭や背中などに硬貨を貼り付け「うまく張り付けばお金が身に付く」という商売繁盛や金運などの願掛けが行われます。
招福大まぐろ奉納とは、毎年1月8日に神戸市東部卸売市場が大漁を願って大マグロを奉納することを指し、十日えびすの期間中は「招福マグロ」として拝殿に飾られるそうです。
この際、多くの参拝者が凍ったマグロの頭や背中などに硬貨を貼り付け「うまく張り付けばお金が身に付く」という商売繁盛や金運などの願掛けが行われます。
有馬温泉献湯式
有馬温泉献湯式とは、毎年1月9日に有馬温泉が行う献湯式であり、商売繁盛を願って金泉を樽で西宮神社に運び、その温泉と湯文字を奉納する行事であるとされます。
この献湯式では湯女に扮した芸妓が湯もみ太鼓のお囃子にあわせて湯もみを行い、その温泉と湯文字を神前に奉納するとされ、この金泉に1円玉を浮かべて拝むと福を招くとされているそうです。
有馬温泉献湯式とは、毎年1月9日に有馬温泉が行う献湯式であり、商売繁盛を願って金泉を樽で西宮神社に運び、その温泉と湯文字を奉納する行事であるとされます。
この献湯式では湯女に扮した芸妓が湯もみ太鼓のお囃子にあわせて湯もみを行い、その温泉と湯文字を神前に奉納するとされ、この金泉に1円玉を浮かべて拝むと福を招くとされているそうです。
西宮の起源
「西宮」という名称は平安末期(1128年)の"西宮歌合"が行われたという記録があることから、平安期には既に存在した事が分かっており、その起源について以下のような説あるとされています。
1.えびす神を最初に祀ったと伝わる鳴尾や古代の先進地域である津門から見て「西の方の宮」という説
2.京都の西方にあった廣田神社を含む神社群を「西宮」と称しており、戎信仰の隆盛により戎社を「西宮」と限定して呼ぶに至ったという説
3.「西宮」とは延喜式内社の大国主西神社の事を指すとの説
2.京都の西方にあった廣田神社を含む神社群を「西宮」と称しており、戎信仰の隆盛により戎社を「西宮」と限定して呼ぶに至ったという説
3.「西宮」とは延喜式内社の大国主西神社の事を指すとの説
このほか、『ホツマツタヱ』には「船に乗せられて流されたヒルコ(蛭子・稚日女尊)は、カナサキ(住吉尊)に拾われてニシトノで育てられた」とあり、拾ったことから「ヒロタの宮」、西宮はこの別名であるという説もあります。
参考サイト:ニシノミヤ・ニシトノ(ホツマツタヱ解読ガイド)
人形操り
西宮には古くから傀儡師(くぐつ)と呼ばれる人形操りの一団が住んでいたとされ、当社では以下のように説明しています。
西宮には古くから傀儡師(くぐつ)と呼ばれる人形操りの一団が住んでいました。傀儡師は えびす神社の雑用を奉仕しながら、一方で人形操りを演じていたのです。西宮の傀儡師は えびす様をかたどった人形を主体に、諸国を巡り、人々を楽しませると同時に講釈をし、御札を配り、えびす様の信仰を広めていました。この一団が住んでいたところを産所(さんじょ)と呼び、ここが現在の西宮市産所町となっています。
室町時代になると、宮中に参入するまでになり、人気も高まってきました。その後、浄瑠璃と一体化して人形浄瑠璃となり、やがて文楽に発展していったことは よく知られる通りです。その過程で淡路をはじめ、全国に人形操りが広がり、それが現在に残っています。
傀儡師の守り神が百太夫です。百太夫の弟子たちが百太夫を祀ったものが百太夫社であるとされています。
室町時代になると、宮中に参入するまでになり、人気も高まってきました。その後、浄瑠璃と一体化して人形浄瑠璃となり、やがて文楽に発展していったことは よく知られる通りです。その過程で淡路をはじめ、全国に人形操りが広がり、それが現在に残っています。
傀儡師の守り神が百太夫です。百太夫の弟子たちが百太夫を祀ったものが百太夫社であるとされています。
境内の見どころ
表大門(赤門)
西宮神社の表大門です。
慶長9年(安土桃山時代)に再建されたものであり、国の重要文化財に指定されています。
また、十日えびすの開門神事・福男選びにおけるスタート地点になっています。
南門
西宮神社の南門です。
大練塀
西宮神社の大練塀(おおねりべい)です。
室町初期に再建されたものであり、日本最古の築地塀として日本三練塀の一つに数えられています。
また、国の重要文化財にも指定されています。
注連柱
西宮神社の注連柱です。
境内鳥居
西宮神社の境内鳥居です。
拝殿
西宮神社の拝殿です。
銅鐘
西宮神社の銅鐘です。
神馬
西宮神社の神馬です。
「十日えびすの前夜にえびす様が乗馬して市中を巡回する」という伝承に基づくものとされています。
神池
西宮神社の神池です。
伊勢神宮遥拝所
西宮神社の伊勢神宮遥拝所です。
ここから伊勢神宮を遥拝することができます。
嘉永橋
西宮神社の嘉永橋(かえいばし)です。
嘉永元年(1848年)に架けられた境内に残る最も古い桁橋で、登録有形文化財に指定されています。
端寶橋
西宮神社の端寶橋(ずいほうばし)です。
明治40年に奉納されたものであり、登録有形文化財に指定されています。
必勝絵馬
西宮神社の必勝絵馬です。
勝負の神とされる あらえびす神社(沖恵美酒神社)に奉納するための絵馬であり、軍配の形をしています。
料金: 無料
住所: 兵庫県西宮市社家町1-17(マップ)
営業: 5:00~19:00(10月~3月 5:00~18:00)
交通: 西宮駅(徒歩5分)
公式サイト: http://nishinomiya-ebisu.com/index.html
住所: 兵庫県西宮市社家町1-17(マップ)
営業: 5:00~19:00(10月~3月 5:00~18:00)
交通: 西宮駅(徒歩5分)
公式サイト: http://nishinomiya-ebisu.com/index.html
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「日本神話」を研究しながら日本全国を旅しています。旅先で発見した文化や歴史にまつわる情報をブログ記事まとめて紹介していきたいと思っています。少しでも読者の方々の参考になれば幸いです。
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