賀茂神社の葵祭(賀茂祭) [京都府]
2017/06/11
京都では、毎年5月に葵祭(賀茂祭)という賀茂神社の大祭が行われます。
この葵祭に参加してきたので、祭の概要と参加レポートを以下にまとめてみたいと思います。
概要
葵祭(賀茂祭)とは?
葵祭(あおいまつり)とは、毎年5月15日に行われる賀茂神社(上賀茂神社・下鴨神社)の例祭であり、現在では祇園祭・時代祭と共に京の三大祭の一つとして有名な祭りとなっています。
正式には賀茂祭(かもまつり)と言い、石清水祭・春日祭と共に三大勅祭の一つに数えられ、古くは庶民の祭りである祇園祭に対して、朝廷の行事として貴族たちが見物する貴族の祭りであったとされています。
祭儀は、宮中の儀・路頭の儀・社頭の儀の3つから成るとされており、そのうちの路頭の儀(行列)が一般観覧における見どころで、有料観覧席が設けられるほど人気があります。
また、前儀として5月3日に下鴨神社の糺の森で行われる流鏑馬神事(やぶさめしんじ)も有名なんだそうです。
ちなみに、京都北部の丹後地方にある元伊勢籠神社でも、例祭として同名の葵祭を行うことで知られており、籠神社の創祀が皇室と関わっていることなどから、賀茂神社の葵祭との関連性が指摘されています。
※有料席は全席指定でパンフレット付とされる(参考リンク)
賀茂神社について
賀茂神社(かもじんじゃ)とは、京都市内にある賀茂別雷神社(上賀茂神社)と賀茂御祖神社(下鴨神社)の総称で、両社とも古代の賀茂氏の氏神を祀る神社であり、この葵祭(賀茂祭)が行われることで有名です。
賀茂神社は、両社ともに創祀が神武天皇の御代に遡るほど古いと伝えられており、奈良時代以前から朝廷の崇敬を受け、平安遷都以後は一層篤い崇敬を受けるようになり、大同2年(807年)には最高位の正一位の神階を受け、賀茂祭は勅祭(天皇の使者が派遣される祭祀)となったとされています。
上賀茂・下鴨神社についてはこちらの記事を参照:【上賀茂神社】【下鴨神社】
葵祭のスケジュール
葵祭のスケジュールは以下の通りです。
順路と時刻
・10:30:京都御所 出発
・京都御所 → 堺町御門 → 丸太町通 → 河原町通 → 下鴨神社
・11:40:糺の森(下鴨神社境内)到着
・12:00:社頭の儀(13:30まで ※一般参列は観覧不可)
・14:20:下鴨神社 出発
・下鴨神社 → 下鴨本通 → 洛北高校前 → 北大路通 → 北大路橋 → 賀茂川堤 → 上賀茂神社
・15:40:上賀茂神社 到着
一般観覧の時刻と場所
・11:40~12:30:路頭の儀(下鴨神社)
・無料で行列を観覧する場合は、糺の森が適している
・13:30~14:00:糺の森にて、馬を駆った儀式が見られる
・15:30~16:00:路頭の儀(上賀茂神社)
・無料で行列を観覧する場合は、上賀茂神社付近のコンビニ辺りが適している
※祭当日には、神社付近で行列時刻のパンフレットを無料配布している
行列の順番・内容
葵祭の行列の順番・内容は以下の通りです。
本列
・乗尻(のりじり):行列を先導する騎馬で、左右に各3騎配置される
・検非違使志(けびいしのさかん):平安時代の警察で、行列の警備に当たる
・検非違使尉(けびいしのじょう):検非違使志の上役で、警備の最高責任者に当たる
・山城使(やましろつかい):山城国を治めていた役人と その従者で督護の任に就く
・御幣櫃(ごへいびつ):上賀茂・下鴨神社の神前に供える御幣物を納めた櫃(ひつ)
・内蔵寮史生(くらりょうのししょう):内蔵寮の役人で、御幣物を管理する
・馬寮使(めりょうつかい):走馬を司る武官
・牛車(ぎっしゃ):勅使の乗る牛に引かせた車で、藤の花などが軒に飾られている(御所車とも)
・御馬(おうま):神々に見せるために神前を走らせる馬で、2頭を馬部が引いて行く(走馬とも)
・和琴(わごん):「河霧」の銘を持つ和琴で、神前の奏楽用として舞人の前で運ばれる
・舞人(まいびど):歌舞の堪能者である武官が、この日の舞人を勤める
・陪従(べいじゅう):上賀茂・下鴨神社の社頭で歌を唄い、楽器を演奏する武官
・内蔵使(くらづかい):内蔵寮の次官である文武兼官で、勅使が奏上する御祭文を奉持する
・勅使(ちょくし):天皇の使いで、行列中の最高位者(近衛使とも)
・牽馬(ひきうま):勅使の替馬
・風流傘(ふりゅうがさ):大笠の上に季節の花を飾り付けたもの
斎王代列
・命婦(みょうぶ):小桂(こうちき)を着用する高級女官
・女嬬(にょじゅ):食事を司る女官
・斎王代(さいおうだい):賀茂神社に御杖代として仕える女性で、葵祭の主役(京都在住の未婚女性から選出)
・駒女(むなのりおんな):斎王付きの清浄な巫女
・蔵人所陪従(くろうどどころべいじゅう):雅楽を演奏する文官
・牛車(ぎっしゃ):斎王の牛車で、本列の牛車と装飾が異なる(女房車とも)
関連知識
葵祭の歴史
葵祭の起源は、「第29代欽明天皇の御代(539~571年)、国内は激しい風雨に見舞われて五穀が実らなかったので、欽明天皇28年(567年)に当時 賀茂大神の崇敬者であった卜部伊吉若日子に占わせたところ、賀茂の神々の祟りと出たため、若日子を勅使として、4月の吉日に祭礼を行い、馬には鈴をかけ、人は猪頭(ししがしら)をかぶって駆競(かけくらべ)をしたところ、風雨はおさまり、五穀は豊かに実って国民も安泰になった」という故事に基づくとされます。
その後、平安時代の弘仁10年(819年)には、朝廷の律令制度として、最も重要な恒例祭祀(中紀)に準じて行うという国家的行事になり、平安中期の貴族の間では単に「祭り」と言えば葵祭のことを指すほど有名で、『源氏物語』の中でも描かれているそうです。
しかし、応仁の乱(1467~1477年)の後は約200年の間 中断され、江戸時代の元禄7年(1694年)になってから再開されるようになったとされます。なお、江戸時代に再開された後は、祭当日の内裏宸殿の御簾・牛車(御所車)・勅使・供奉者の衣冠・牛馬の全てが「葵の葉」で飾られるようになり、この時より賀茂祭が「葵祭」と呼ばれるようになったとされています(使用される葵は「フタバアオイ」で、毎年 賀茂神社から御所に納められているとされる)。
近代以降は、明治4年(1871年)~明治16年(1883年)、昭和18年(1943年)~昭和27年(1952年)まで、祭の中断や行列の中止があったとされますが、以後は ほぼ毎年行われています。
斎王について
斎王(さいおう)とは、伊勢神宮・賀茂神社に奉仕するために皇室から選ばれた未婚の皇族女子(内親王・女王)で、賀茂神社の場合は斎院(さいいん)と呼ばれたとされます(伊勢神宮の場合は斎宮という)。
斎院の起源は、平安初期に平城上皇が弟の嵯峨天皇と対立して都を平安京から平城京に戻そうとした際、嵯峨天皇は王城鎮守の神とされた賀茂大神に対して「我が方に利あらば、皇女を"阿礼少女(あれおとめ、賀茂神社の神迎えの儀式に奉仕する女性の意)"として捧げる」と誓い、弘仁元年(810年)の薬子の変で嵯峨天皇側が勝利した後に娘の有智子内親王を斎王としたことに始まると言われています。
その後、斎院は制度化されて平安時代には代々斎院が選出されてきたとされますが、平安末期になると源平の争乱でしばしば途絶するようになり、鎌倉初期に第35代斎院となった礼子内親王が退下した後が、承久の乱の混乱と皇室の資金不足によって斎院制度は廃絶し、現代に至るまで復活することはなかったとされています。
斎王代について
斎王代(さいおうだい)とは、昭和31年(1956年)に斎王(斎宮)にちなんで創設された葵祭の役割であり、京都ゆかりの一般女性から選ばれて、斎王代になると唐衣裳装束(からぎぬもしょうぞく)を着用し、白塗りの化粧とお歯黒も付けるとされます。
また、斎王代の選出に一般公募やオーディションなどは無く、数千万円と言われる費用を負担できることが条件となっているため、京都ゆかりの寺社・文化人・実業家などの令嬢が推薦等で選ばれているそうです。
ホツマツタヱ・ミカサフミの記述
賀茂祭は、古くは"陰暦4月中の酉の日"に行われ、"葵祭"と呼ばれるようになったのは、祭に参加する斎院・勅使および御簾・牛車などが"葵の蔓(あおいのかずら)"で飾られるようになったことに由来するとされています。
神代文字のヲシテで記された『ホツマツタヱ』の26文には「日本神話」における「海幸山幸」の一節が含まれており、「ヒコホホデミ(彦火火出見尊)がトヨタマヒメ(豊玉姫)の出産を覗いて仲違いした件」において、『ホツマツタヱ』では「ヒコホホデミの父であるニニギ(瓊々杵尊)が"葵(あおい)と桂(かつら)の葉"を以ってトヨタマヒメを説得する」といった内容になっています(『ホツマツタヱ』ではニニギが賀茂大神に当てられる)。
また、同じく神代文字のヲシテで記された『ミカサフミ』の7文には、年間行事を説明する件において"4月にはアオイカツラノメヲマツリを行う"と記されています。
全文読まないと理解できないような複雑で難解な内容なので、一口には説明できませんが、この『ホツマツタヱ』と『ミカサフミ』によれば"賀茂神社(上賀茂・下鴨神社)は皇祖神であるニニギに関わる神社であり、賀茂祭(葵祭)も神話に登場する故事にまつわる祭礼である"といったことが記されているので、なかなか興味深い内容になっています。
参考資料:アオイカツラノメヲマツリ(ほつまつたゑ翻訳ガイド)、ホツマツタヱ26文、ミカサフミ7文
参加レポート
当日の周辺の様子
葵祭当日、行列のルート上は多くの見物客で溢れかえります(電車も混む)。
そのため、参加する場合は前もって どの辺りで観るかを決めておいた方が無難です。
なお、当日は周辺で行列順路の書かれたパンフレットが無料配布されています(観覧に適した場所も記載)。
参考リンク:葵祭 行列コースと時間
下鴨神社で観る行列
下鴨神社で行列を観る場合は、糺の森が適しています。
行列ルートの両側に観覧場所が定められているので、早めに入って場所を確保しておくのが無難です。
見物客が非常に多いため、場所によっては撮影は困難になりますが、遅れて入っても比較的観覧しやすいと思われます。
なお、当日は神社内で社頭の儀が行われるため、神社参拝は不可能です。
上賀茂神社で観る行列
上賀茂神社で行列を観る場合は、付近のコンビニおよび神社境内が適しています。
下鴨神社から行列が出発する際に、ルートを先回りして場所を確保しておくのが無難です。
上賀茂神社の境内は非常に見物客が多く、上手く場所を取らないと行列を観ることすら困難になります。
なお、当日は行列終了まで神社参拝は不可能で、行列終了後は駐車場に牛車などが展示されます。
葵祭の感想
葵祭は、"平安貴族の祭"といった感覚が味わえる風情豊かな祭りと言えると思います。
普段から和装の多い京都ですが、これだけの狩衣姿の人々が練り歩く行列は なかなか観られないのではないでしょうか?
また、葵祭の行列に参加している人の頭には葵の枝葉(フタバアオイ)が挿してあります。
葵祭という呼称は、江戸時代に行列が葵の葉で飾られたことに由来するとされるので、この点にも注目ですね。
なお、行列の様子や各役職の説明を以下のビデオにまとめたので、ぜひご覧ください。
注意点
葵祭参加時に気付いた注意点を以下にまとめておきます(あくまで個人の感想です)。
・周辺にトイレが少ない
・周辺に飲食店が非常に少ない(よって混む)
・神社参拝は基本的に不可(儀式の前後は可能)
・公共の交通手段が少ない(よって混む)
・周辺に飲食店が非常に少ない(よって混む)
・神社参拝は基本的に不可(儀式の前後は可能)
・公共の交通手段が少ない(よって混む)
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