人文研究見聞録:辛国社(天狗社) [奈良県]

奈良県奈良市にある辛国社(からくにしゃ)です。

東大寺境内に鎮座しており、東大寺創建に携わった朝鮮系の渡来人を神格化した韓国翁を祀っています。


由緒

由緒書によれば、創建年代は不詳なものの 鎌倉時代にまで遡ることができるとされ、古くは天狗社と呼ばれており、江戸時代の東大寺諸伽藍略録には"良弁僧正が様々な障害を加える多くの天狗を改心させて、仏法護持を誓約させ、当社を造り「大法会執行の時には、必ず此社に向かって正法護持を祈る」"と記されているとそうです。

その他の説によれば、東大寺造営に尽力した朝鮮半島からの渡来系技術者を祖神として祭祀したものとされ、祭神に東大寺創建に携わった渡来人を神格化した韓国翁(からくにのおきな)を祀っているとされます。

なお、由緒書による解説は以下の通りです。

【辛国社(からくにしゃ)】

大仏殿の東、猫段と呼ばれる石段を登った北側に南面した春日造りの小社で天狗社とも呼ばれるが、市内の阿字万字(あぜまめ)町の人々の間では辛国神社(からくにじんじゃ)として崇敬されている。

石灯籠などの刻銘から、明治36年前後から天狗社が辛国社という名称に変わったようである。

当社の創立については明らかではないが、嘉吉3年(1443年)に天狗社の名がみられるから、鎌倉時代頃まで遡るのではないかと思われる。

江戸時代の東大寺諸伽藍略録には、当寺創建の奈良時代に、良弁僧正が様々な障害を加える多くの天狗を改心させて、仏法護持を誓約させ、当社を造り「大法会執行の時には、必ず此社に向かって正法護持を祈る」と明記している。

現在も大法要執行の折には、関白前日の夕刻に「蜂起の儀」として大湯屋に集会し、当社の前で僉議文を読み上げ、集会を巡察することになっている。

中世には強訴のための八幡神輿の動座や遷宮、或いは犯人検挙などの場合は、必ず蜂起の儀が行われ、当社の占める比重も高かった。

祭神

辛国社の祭神は以下の通りです。

・韓国翁(からくにのおきな):東大寺創建に携わった渡来人達を神格化したものとされる

料金: 無料
住所: 奈良県奈良市雑司町(マップ
営業: 不明(東大寺営業中は開放)
交通: 近鉄奈良駅(徒歩21分)
matapon
著者: matapon Twitter
「日本神話」を研究しながら日本全国を旅しています。旅先で発見した文化や歴史にまつわる情報をブログ記事まとめて紹介していきたいと思っています。少しでも読者の方々の参考になれば幸いです。