人文研究見聞録:氷室神社(奈良氷室神社) [奈良県]

奈良県奈良市にある氷室神社(ひむろじんじゃ)です。

奈良時代に平城京および氷室(氷の貯蔵庫)の守り神として祀られたことに始まる古社であるとされています。

そのため、現在でも献氷祭蓄熱祭という祭りが行われ、蓄熱の関係各社の崇敬を集めているそうです。


神社概要

由緒

由緒書・公式サイトによれば、和銅3年(710年)3月22日、元明天皇の勅命によって平城新都の左京、春日の御蓋の御料山(春日山)に祀られたとこに始まり、平城京東山の守護神、また春日野に作られた氷池や氷室の守り神となったとされます。

また、wikipediaによれば 和銅3年(710年)に勅命によって三笠山麓の吉城川の上流月日磐(下津岩根宮)に氷神を奉祀し、厳寒期に凍った氷池から氷と取り出して氷室に蓄え、翌年に平城京に献上させるという制度が始められ、この制度は平安遷都まで続けられたそうです(参考資料は『氷室神社縁起』絵巻、『続日本紀』、『元要記』などとされる)。

その後、平安期の貞観2年(860年)に現在地に遷座され、興福寺の鎮守、南都の地主神、南都楽所の氏神として崇敬を受けたとされています。

なお、案内板による解説は以下の通りです。

【氷室神社 由緒(案内板)】

氷室神社は奈良市春日野に鎮座する。

和銅3年(710年)の平城京遷都に伴い、平城京東山の守護神として、また春日野に作られた氷池(製氷用の池)や氷室(氷の貯蔵庫)の守り神として祀られたのが始まり。

奈良時代には氷室社をはじめ、氷池や氷室は今の春日大社境内地にあって、厳寒期に氷池で凍らせた氷を氷室に蓄え、春分の日に氷室開きが行われ、9月まで平城京に氷を献上していたという。

平安遷都後の貞観2年(860年)に現在地に遷座され、興福寺の鎮守、南都の地主神、南都楽所の氏神としても崇敬された。

祭神は、氷室と貯氷の方法を伝承していた闘鶏稲置大山主命(つげのいなぎおおやまぬしのみこと)と、その氷室を発見して奏上された額田王仲彦命(ぬかたおおなかつひこのみこと)と、絹氷の典例を開かれた仁徳天皇の三神が祀られている。

毎年5月に献氷祭や蓄熱祭が行われる。ヒートポンプや蓄熱技術の守護神としても信仰され、「氷の一日(こおりのついたち)」と言われる6月1日に近い5月の最終金曜日に行われる蓄熱祭には、電力・機械・ゼネコンや研究機関など、約100社、300名以上が参列する。

祭神

氷室神社の祭神は以下の通りです。

・闘鶏稲置大山主命(ツゲノイナギオオヤマヌシ):氷室と貯氷の方法を伝承していた人物とされる
・額田大仲彦命(ヌカタオオナカツヒコ):氷室を発見した人物とされる
・大鷦鷯命(仁徳天皇):第16代天皇で、絹氷の典例を開いたとされる

境内社

人文研究見聞録:氷室神社(奈良氷室神社) [奈良県]

氷室神社の境内社は以下の通りです。

・住吉神社(祓戸):住吉三神・祓戸四神を祀る
・舞光社:狛光高公(南都雅楽の楽祖)を祀る
・招魂社:祖霊・西南戦争での英霊を祀る

境内の見どころ

鳥居

人文研究見聞録:氷室神社(奈良氷室神社) [奈良県]

氷室神社の鳥居です。

四脚門(神門)

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氷室神社の四脚門です。

鷹乃井

人文研究見聞録:氷室神社(奈良氷室神社) [奈良県]

氷室神社の鷹乃井です。

手水舎の隣にある井戸ですが、詳細は不明です。

拝殿・舞殿

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氷室神社の拝殿・舞殿です。

神事の際には、ここで舞楽が行われます。

本殿

人文研究見聞録:氷室神社(奈良氷室神社) [奈良県]

氷室神社の本殿です。

料金: 無料
住所: 奈良県奈良市春日野町1−4(マップ
営業: 6:00~18:00(春夏)、16:30~17:30(秋冬)
交通: 近鉄奈良駅(徒歩14分)

公式サイト: http://www.himurojinja.jp/
matapon
著者: matapon Twitter
「日本神話」を研究しながら日本全国を旅しています。旅先で発見した文化や歴史にまつわる情報をブログ記事まとめて紹介していきたいと思っています。少しでも読者の方々の参考になれば幸いです。