人文研究見聞録:櫲樟尾神社(四郷神社) [三重県]

三重県伊勢市にある櫲樟尾神社(くすおじんじゃ)です。

当地の産土神とされる神社であり、祭神に櫲樟尾乃大神・田上乃大神など7柱の神を祀っています。


神社概要

由緒

由緒書によれば、当社は八王子社(上田神社?)に祀られた氏神の櫲樟尾神と『日本書紀』にも現れる田上社(田上神)との合祀によって成立したとされます。

なお、田上神は4世紀頃に倭姫命が天照大神を五十鈴川の上流(伊勢神宮 内宮)に定めるまでの仮宮となった「家田田上宮(矢田宮、西の森ともいう)」の守護神であり、楠部の産土神として尾崎(神社旧跡)に祀られ信仰されてきたそうです。

社名については「櫲(よ)」も「樟(しょう)」とも楠木と同じ意味を持つ古語で、二語重ねて「櫲樟(くす)」と発音することから、明治3年(1870年)に「櫲樟尾神社」と改称したとされます。

そして、明治40年(1907年)に町内の樛木神社・上山神社・下山神社・月峯神社などの4社を合祀し、さらに明治41年(1908年)には四郷地区の各神社が統合されて「村社 四郷神社」となって現在地に祀られ、昭和26年(1951年)に分祀とされたものの、再び楠部のみの氏神として奉祀され、現在に至っているとされています。

なお、当社の御神遷(社殿の建替)は20年に1度行われる式年制であり、江戸時代前半の延宝6年(1678年)からの記録があり、今に至るまで続けられているそうです。

祭神

櫲樟尾神社の祭神は以下の通りです。

【由緒書による祭神】

・櫲樟尾乃大神(クスオノオオカミ):八王子社に祀られていた神で、当地 楠部の産土神とされる
・樛木乃大神(サガリキノオオカミ)
・田上乃大神:伊勢創建までの天照大神の仮宮であった家田田上宮の守護神とされる
・大山祗大神(オオヤマヅミ):「日本神話」に登場する神で、山を司る神とされる
・上山大神
・下山大神
・月峯乃大神

【HPで紹介される祭神】

・素盞嗚命(スサノオ):三貴子の一柱で出雲の祖神(天照大神の弟神に当たる)
・大山祇命(オオヤマヅミ):「日本神話」に登場する神で、山を司る神とされる
・天見通命(アメノミトオシ):アメノコヤネの後裔で、荒木田氏(内宮禰宜)の祖とされる
・応神天皇(おうじんてんのう):第15代天皇であり、八幡神として全国の八幡宮などで祀られる
・市杵島姫命(イチキシマヒメ):「日本神話」の誓約で生まれた宗像三女神の一柱で、弁財天と習合している
・田心姫命(タゴリヒメ):「日本神話」の誓約で生まれた宗像三女神の一柱(多紀理姫命とも)
・湍津姫命(タギツヒメ):「日本神話」の誓約で生まれた宗像三女神の一柱
・倉稲魂命(ウカノミタマ):稲荷神であり、スサノオの御子神とされる
・稲依比女命(イナヨリヒメ):大歳神の娘で、内宮末社の加努弥神社の祭神でもある
菅原道真(すがわらのみちざね)平安中期の政治家(死後、天満天神として信仰される)

境内の見どころ

鳥居

人文研究見聞録:櫲樟尾神社(四郷神社) [三重県]

櫲樟尾神社の鳥居です。

社殿

人文研究見聞録:櫲樟尾神社(四郷神社) [三重県]

櫲樟尾神社の社殿です。

社殿の注連縄

人文研究見聞録:櫲樟尾神社(四郷神社) [三重県]

櫲樟尾神社の社殿の注連縄です。

なかなか見ることのない、変わった形をしています。

料金: 無料
住所: 三重県伊勢市楠部町1005-3(マップ
営業: 終日開放
交通: 五十鈴川駅(徒歩15分)

公式サイト:http://www.jinja-net.jp/jinjacho-mie/jsearch3mie.php?jinjya=2968
matapon
著者: matapon Twitter
「日本神話」を研究しながら日本全国を旅しています。旅先で発見した文化や歴史にまつわる情報をブログ記事まとめて紹介していきたいと思っています。少しでも読者の方々の参考になれば幸いです。