人文研究見聞録:麻羅観音 [山口県]

山口県長門市俵山にある麻羅観音(まらかんのん)です。

大内義隆の未子・歓寿丸の菩提を弔うために建てられた観音堂で、俵山温泉街からほど近い山中にあります。

御堂の周辺に多数の男根像が奉納されていることで知られており、子孫繁栄や精力増強などに御利益があるとされています。

そのため、今でも多くの参拝客が訪れており、現地には願いを書いて陶器製の男根像を奉納するという習わしもあるようです。


概要

麻羅観音とは?


人文研究見聞録:麻羅観音 [山口県]

麻羅観音は、大寧寺の変で殺害された大内義隆の未子・歓寿丸の菩提を弔うために建てられた観音堂で、時代を経ていくうちに子宝祈願や健康増強の御利益があるといわれるようになったため、多くの参拝者で賑わうようになったそうです。

麻羅観音という名前の由来については不明ですが、麻羅は男根の俗称なので、恐らく「女装して山中に潜んでいた歓寿丸が捕らえられて殺された際に、男児である証拠として男根を切り取られた」という逸話に因んでいるものと思われます。

麻羅観音には、子孫繁栄・精力増強・良縁・恋愛成就・夫婦円満などの御利益があるとされています。そのためか現在の御堂周辺には多数の巨大な男根像が奉納されており、この頭部分を撫でながら祈願すると御利益が増すといわれているようです。

また、堂内や側の倉庫には願い事の書かれた陶器製の男根像が多数奉納されています。これは参拝者が観音様に祈願するために奉納するもので、温泉街の土産屋などで購入できます。

また、毎年5月には麻羅観音祭(麻羅観音供養祭)が行われ、バザーやもちまきなども開催されるそうです。

由来


人文研究見聞録:麻羅観音 [山口県]

案内碑によれば、天文20年(1551年)に中国地方の太守であった大内義隆が家臣である陶晴賢の謀反によって攻められるという政変(大寧寺の変)が起こり、義隆は湯本温泉の大寧寺で自害し、嫡男の義尊も惨殺されてしまったとされます。

この政変の際、義隆の未子である歓寿丸は女装して俵山の山中に匿われていましたが、翌年の春に捕らえられて殺されてしまったそうです。この際に男児である証拠として男根を切られて持ち去られてしまったとされます。

その後、このような惨劇を憐れんだ里人が社を建てて歓寿丸の霊を慰めたとされています。今は麻羅観音として子宝や健康増強の祈願に来る人々が多いそうですが、なぜこうなったのかについては書かれていませんでした。

御利益


人文研究見聞録:麻羅観音 [山口県]

麻羅観音には以下のような御利益があるといわれています。

・子孫繁栄
・精力増強
・良縁成就
・恋愛成就
・夫婦円満
・夜尿症平癒(おねしょ)
・性病平癒

アクセス


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俵山温泉の北側の山中にあり、御堂の前には駐車場がありますが温泉街から歩いていくこともできます(看板も出ている)。また、駅からバスやタクシーも出ているようです。

・俵山温泉街から徒歩15分程度
・JR長門湯本駅から俵山温泉行きのバスで「俵山病院前」下車(約20分)、さらに徒歩15分
・JR長門湯本駅からタクシーで約20分
・美祢ICから車で約60分(無料駐車場15台)

周辺の見どころ

看板


人文研究見聞録:麻羅観音 [山口県]

麻羅観音の看板です。

観音堂周辺


人文研究見聞録:麻羅観音 [山口県]

観音堂周辺の様子です。

周りには地蔵の他に大小多数の男根像が奉納されています。

観音堂


人文研究見聞録:麻羅観音 [山口県]

麻羅観音の観音堂です。

観音堂(堂内)


人文研究見聞録:麻羅観音 [山口県]

観音堂の内部です。

中央には石祠に納められた男根像があり、傍らに黒い男根像と観音像が安置されています。

正面左手には陶器製の男根像が並べられており、右手には亀や男女の性器を模した木像が置かれています。

堂内の陶器製男根像


人文研究見聞録:麻羅観音 [山口県]

堂内の陶器製男根像です。

参拝者ノートも置かれていました。

倉庫


人文研究見聞録:麻羅観音 [山口県]

観音堂の外の倉庫には、願い事の書かれた陶器製男根像が収納されています。

あまりに多すぎて、入りきってない様子です。

男根像いろいろ


人文研究見聞録:麻羅観音 [山口県]
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観音堂周辺の男根像です。

御堂の前の大きな男根像は、頭部分を撫でながら祈願すると願いが叶うといわれています。

料金: 無料
住所: 山口県長門市俵山(マップ
営業: 終日開放
交通: 長門湯本駅(バス20分+徒歩15分)
matapon
著者: matapon Twitter
「日本神話」を研究しながら日本全国を旅しています。旅先で発見した文化や歴史にまつわる情報をブログ記事まとめて紹介していきたいと思っています。少しでも読者の方々の参考になれば幸いです。