人文研究見聞録:射楯兵主神社(播磨国総社) [兵庫県]

兵庫県姫路市にある射楯兵主神社(いたてひょうずじんじゃ)です。

『播磨国風土記』に登場するほど古い歴史を持つ神社で、祭神に射楯大神・兵主大神を祀っています。

また、60年に1度行われる一ツ山大祭、20年に1度行われる三ツ山大祭でも有名なんだそうです。


神社概要

由緒


公式サイトによれば、当社は射楯大神兵主大神を祀る神社であり、射楯大神大和時代より飾磨郡因達里(現・姫路市新在家本町)に鎮座しており、兵主大神欽明天皇25年(564年)6月11日に影向(神仏が現れること)があったため飾磨郡伊和里水尾山に祀ったと伝えられているそうです(『播磨国風土記』に「因達と称ふは 息長帯比売命 韓国を平けむと欲して 渡りましし時 御船前に御しし伊太代の神、此処に在す。故 神のみ名に因りて 里の名と為す」と記される)。

その後、平安時代の寛平3年(891年)に二神を合祀して「射楯兵主神社」と称し、養和元年(1181年)に播磨国内の大小明神174座の神々を合祀して「播磨国総社」と称すようになると播磨国総鎮守として広く知られるようになったとされます。なお、鎌倉時代に府中惣社・国衙惣社・総社伊和大明神・軍八頭正一総社伊和大明神と称されるようになったため、射楯兵主神社という社名は明治維新まで表に出なくなったそうです。

その後、天正3年(1581年)に羽柴秀吉による姫路城築城のために現在地に遷されることになり、移転後には太鼓橋(鳥居先橋)・総社総神殿・玉垣・舞殿・大鳥居などの数々の宝物の寄進があったとされますが、昭和期の戦災によってほとんど焼失してしまったそうです。そして、戦後まもなく復興作業が行われて再興し、現在に至るとされています。

祭神


射楯兵主神社の祭神は以下の通りです。

・射楯大神(いたてのおおかみ):五十猛命のこととされる
 → 五十猛命(イタケル):スサノオの御子神であり、全国に樹木を種を撒いて廻った木の神とされる
・兵主大神(ひょうずのおおかみ):大己貴命のこととされる
 → 大己貴命(オオナムチ):オオクニヌシの名で知られる出雲大社の主祭神
 → 兵主大神は伊和大神であるともいわれる
  ⇒ 伊和大神は飾磨郡伊和里(姫路市街地周辺)を拠点としていた伊和族の神とされる
  ⇒ 出雲系である伊和大神は大己貴神と同一視されることから、兵主神が大己貴命となった説がある

境内社

摂社


射楯兵主神社の摂社は以下の通りです。

・恵美酒社・住吉社:蛭児神、住吉三神、息長帯姫命を祀る
・琴平社:大物主神を祀る
・姫道天神社:菅原道真公を祀る
・長壁神社:姫路刑部神、富姫神を祀る
・祖霊社:児嶋範長朝臣、維新之志士12柱、日清・日露戦争の戦死者121柱を祀る
・案内社八幡宮:猿田彦神、誉田別神を祀る

末社


射楯兵主神社の末社は以下の通りです。

・西播総神殿:播磨国内鎮座の大小明神174座を祀る
・十二社合殿
 → 一ノ宮:兵主神荒魂を祀る
 → 二ノ宮:射楯神荒魂を祀る
 → 日岡社:天之伊佐々比古命を祀る
 → 角社:級長津彦命、級長津姫命を祀る
 → 手置帆負社:手置帆負神を祀る
 → 彦狭知社:彦狭知神を祀る
 → 秋葉社:迦具槌神を祀る
 → 羽黒社:倉稲魂神を祀る
 → 道祖社:岐神を祀る
 → 鞍屋社:保食神を祀る
 → 柿本社:柿本人麻呂朝臣を祀る
 → 東照宮:徳川家康公を祀る
・神明社:伊勢両宮を祀る
・鹿島社:健御雷之神を祀る
・稲荷社:倉稲魂神を祀る
・粟島社:少彦名神を祀る
・戸隠社:手力雄神を祀る
・厳島社:市杵島姫命を祀る

境内の見どころ

総社御門


人文研究見聞録:射楯兵主神社(播磨国総社) [兵庫県]

射楯兵主神社の総社御門です。

狛みみづく


人文研究見聞録:射楯兵主神社(播磨国総社) [兵庫県]

射楯兵主神社の狛みみづくです。

みみづくは当社の神使であり、知性の象徴で吉兆を授けるとされています。

鳥居


人文研究見聞録:射楯兵主神社(播磨国総社) [兵庫県]

射楯兵主神社の鳥居です。

神門


人文研究見聞録:射楯兵主神社(播磨国総社) [兵庫県]

射楯兵主神社の神門です。

拝殿


人文研究見聞録:射楯兵主神社(播磨国総社) [兵庫県]

射楯兵主神社の拝殿です。

神馬像


人文研究見聞録:射楯兵主神社(播磨国総社) [兵庫県]

射楯兵主神社の神馬像です。

撫でみみづく


人文研究見聞録:射楯兵主神社(播磨国総社) [兵庫県]

射楯兵主神社の撫でみみづくです。

撫でると祭神の神徳を授かるとされています。

鬼石


人文研究見聞録:射楯兵主神社(播磨国総社) [兵庫県]

射楯兵主神社の鬼石です。

この石は源頼光が大江山の鬼を討ち取った後、その首を当社境内に埋めて標石としたものだそうです。

現在では厄落しに使われており、自らの厄を移した御厄除串というものが投げ入れられています。

料金: 無料
住所: 兵庫県姫路市総社本町190(マップ
営業: 公式サイト参照
交通: 姫路駅(徒歩15分)

公式サイト: http://sohsha.jp/
matapon
著者: matapon Twitter
「日本神話」を研究しながら日本全国を旅しています。旅先で発見した文化や歴史にまつわる情報をブログ記事まとめて紹介していきたいと思っています。少しでも読者の方々の参考になれば幸いです。