人文研究見聞録:十二所神社・お菊神社 [兵庫県]

兵庫県姫路市にある十二所神社(じゅうにしょじんじゃ)です。

神がヨモギによって疫病から里人を救ったという伝承に基づく神社で、祭神に少彦名大神を祀っています。

また、境内には播州皿屋敷のお菊物語にまつわるお菊神社があります。


神社概要

由緒


兵庫県神社庁HPによれば、十二所神社の由緒は下記の伝説に基づいているそうです。

昔(928年とも)、この付近に疫病が流行って里人が大変苦しんでいたところ、一夜のうちに12本のヨモギが生えてきた。これに里人たちが不思議がっていると、少彦名大神が現れて「このヨモギを煎じて飲めば、病はたちどころに治るだろう」という神託を与えた。

里人たちは神の教え通りにすると、疫病はたちまちに癒えた。そこで里人たちは少彦名大神の神恩に感謝し、少彦名大神を祭神として神社を創建した。里人は「12本のヨモギ」によって治ったことから社名を「十二所神社」とし、神紋を「ヨモギの葉」とした。以後、十二所神社は病気平癒・健康増進・家内安全の神として広く崇拝されるようになった。

祭神


十二所神社の祭神は以下の通りです。

・少彦名大神(スクナヒコナ):オオナムチと共に国造りを成した神とされる

境内社

お菊神社


人文研究見聞録:十二所神社・お菊神社 [兵庫県]

十二所神社の境内社・お菊神社です。

播州皿屋敷の主人公である お菊が十二所神社に参詣していたという伝承から祀られたとされています。

なお、当社の由緒・祭神などは以下の通りです。

【由緒】※境内の案内板を参考にしたもの

播州皿屋敷「お菊物語」の菊女(お菊)は、二代目姫路城主・小寺則職(こでらのりもと)に奥女中として仕えており、若くして病で床に伏せていた則職のため、十二所神社に参籠して則職の病気平癒を願った。すると、お菊の心願は成就して則職の病は全快した。

そのとき、家老の青山鉄山が家来の町ノ坪弾四郎らと共に主家の乗っ取りを企てており、則職を謀殺するため"増位山にて花見を催し、そのときに則職に鳩毒を盛った酒をすすめて殺し、後に主家を乗っ取る"という計画を立てた。この計画を知った お菊は忠臣の衣笠靱負介らに伝えると忠臣らは花見の席に切り込んで則職を救出し、家島に隠れて再起を計ることにした。

主家を乗っ取った鉄山は、小寺家の家宝「赤絵の皿」十枚に珍味を盛って祝杯を上げた。このときに皿の管理を命じられた お菊は弾四郎に妾になるように迫られたが、これを断ったために弾四郎に皿を一枚隠されてしまった。皿をなくした お菊は罰として皿改めの場に引き出され、日夜はげしい折檻を受けた後に古井戸に吊されて無惨な最期を遂げた。

しかし、お菊の霊は主君である則職を家島より導き、青山鉄山および町ノ坪弾四郎ら悪の一味を滅亡させて本懐を遂げた。その後、則職は お菊の忠節を讃えて十二所神社の境内に祠を建立し、その霊を祀ってねんごろに慰めたという。

【祭神】

・菊姫命(三菊大明神):播州皿屋敷のお菊のこと

【備考】

・祭神は「水と皿」に縁があり、御婦人・水商売・陶器の守護神として信仰されている
・願意・願望叶えのために皿を奉納する風習がある
・薬草とされた菊を祀った神社にお菊伝説が重ねられて「お菊神社」となったという説がある

境内の見どころ

鳥居


人文研究見聞録:十二所神社・お菊神社 [兵庫県]

十二所神社の鳥居です。

拝殿


人文研究見聞録:十二所神社・お菊神社 [兵庫県]

十二所神社の拝殿です。

料金: 無料
住所: 兵庫県姫路市忍町120(マップ
営業: 不明
交通: 姫路駅(徒歩7分)

公式サイト: http://www.hyogo-jinjacho.com/data/6316010.html
matapon
著者: matapon Twitter
「日本神話」を研究しながら日本全国を旅しています。旅先で発見した文化や歴史にまつわる情報をブログ記事まとめて紹介していきたいと思っています。少しでも読者の方々の参考になれば幸いです。