四天王寺 庚申堂 [大阪府]
2019/11/02
大阪市天王寺区にある四天王寺庚申堂(してんのうじこうしんどう)です。
日本最初の庚申尊出現の地といわれており、本尊に青面金剛童子を祀っています。
寺院概要
縁起
寺伝によれば、大宝元年(701年)正月七日庚申の日に豪範僧都(ごうはんそうず)という僧侶が疫病に苦しむ多くの人々を救おうと一心に天に祈ったところ、帝釈天の使いという童子が現れて庚申の法を示したとされます。
以降、60日に一度の「庚申の日(こうしんのひ、かのえさるのひ)」および その前日に当たる「宵庚申(よいこうしん)」の日に本尊に祈れば必ず一願が叶うとして尊崇されているそうです。
本尊
・青面金剛童子(しょうめんこんごうどうじ):帝釈天の使者
アクセスと参拝時間
四天王寺庚申堂はJR天王寺駅から北へ徒歩5分程度、四天王寺方向に歩いていけば途中に見えてきます。四天王寺側からならば南門から真っ直ぐ南へ300メートル程、徒歩3~4分くらいの場所にあります。
しかし、参拝時間が8:30~16:00までなので、立ち寄ったときにはもう閉まっていたり、参拝の途中で門限が来て締め出されたりする可能性が高いので「早い時間に参拝する」ということを心がけておいたほうが良いと思われます。
関連知識
庚申信仰とは?
庚申信仰(こうしんしんこう)とは、道教の「三尸説」に端を発し、奈良時代に日本に伝わった後に仏教・密教・神道・修験道および その他の民間信仰や習俗などと結びついて発展してきた複合的な信仰といわれています。
噛み砕いて言えば「人の身体の中には"三尸(さんし)"という虫がいて、60日ごとに巡ってくる庚申の日の夜に寝ている人々の体内から三尸が抜け出して天帝にその人の悪事を報告し、ここで天帝が怒れば その人を早死されてしまう」という思想に基づく信仰だとされています。
そのため、庚申の日には寝ずに朝まで起きて過ごし、三尸が体内から抜け出さないようにする「庚申待(こうしんまつ)」という習慣があったり、この時に集まって一緒に過ごす「庚申講(こうしんこう)」という団体も作られたそうです。
また、この信仰は60年に一度の庚申の年に「庚申塔(こうしんとう)」を建てるという決まりがあり、今でも全国各地で庚申塔と刻まれた石碑なんかを見かけることがあります(多くは明治時代に廃棄されてしまったそうです)。
青面金剛について
青面金剛 |
庚申信仰では青面金剛(ショウメンコンゴウ)という独特な神を本尊としており、三尸を抑える神とされています。
この青面金剛の像容については『陀羅尼集経』に記述されており、意訳すると「一身に四手あり、それぞれに三叉戟・棒・法輪・羂索を持つ。その身は青く、面は憤怒相で真っ赤な三眼を持ち、頭髪は火焔のように赤く堅にそびえている。また、足下には二体の邪鬼を踏まえ、その両脇に二童子と四薬叉(四鬼神)を伴う」とされます。
なお、青面金剛の尊像には「日月・ニ童子・ニ猿(三猿)・二鶏・四夜叉」が描かれていることが多く、猿については庚申信仰において猿が庚申の使いとされているために青面金剛像に添え描かれることが多いといわれています。
三尸について
三尸(下尸・中尸・上尸) |
三尸(さんし)とは、道教おいて人間の体内にいると考えられていた三匹の虫のことで、60日に一度の庚申の日に宿主が眠るとその身体から抜け出して天帝に罪悪を告げ、宿主の寿命を縮めると言い伝えられているものです。
三尸は「実態の無い霊魂・鬼神のたぐいのもの」といわれており、宿主が死ねば自由に動き回れるようになれるため、早く死なせたいと思っているそうです。なお、三尸には以下の三種がいるとされています。
・上尸(じょうし):人間の頭の中に居て、首から上の病気を引き起こしたり、宝貨を好ませたりする。
・中尸(ちゅうし):人間の腹の中に居て、臓器の病気を引き起こしたり、大食を好ませたりする。
・下尸(げし):人間の足の中に居て、腰から上の病気を引き起こしたり、淫欲を好ませたりする。
・中尸(ちゅうし):人間の腹の中に居て、臓器の病気を引き起こしたり、大食を好ませたりする。
・下尸(げし):人間の足の中に居て、腰から上の病気を引き起こしたり、淫欲を好ませたりする。
庚申の日について
庚申の日(こうしんのひ、かのえさるのひ)とは、日に干支を割り当てた時に「庚申((こうしん、かのえさる)」となる日のことで、干支の組み合わせにおいて庚申は57番目に当たり、60日に一度のサイクルで巡ってきます。
ちなみに庚申の日の前日を「宵庚申(よいこうしん)」と言い、庚申の日および宵庚申の日に庚申堂の本尊に祈れば必ず一願が叶うとされています。なお、庚申の日は以下のサイトで調べることができます。
2020年(令和2年)の干支カレンダー - シンプル年間カレンダー
干支カレンダーです。
庚申の縁日
四天王寺庚申堂では「庚申の日に本尊に祈れば必ず一願が叶う」といわれており、庚申の縁日として多くの参拝客で賑わいます。この日には三猿堂前に「お猿御加持所」が設置され、ここで「病に勝る」「魔も去る」という三猿堂の加持を受ければ傷んだところもたちまち治るそうです。また、この日に出店する「北向きこんにゃく」で買ったコンニャクを北を向いて食べると願いが叶うのだとか。
また、その年の初めての庚申の縁日は「初庚申」と呼ばれ、初庚申の前日(宵庚申)は「庚申大般若転読法要(厄除け開運のお経の転読)」、当日(本庚申)には「庚申柴灯第護摩供(護摩焚き)」といった盛大な法要が行なわれます。ちなみに2020年の初庚申は1月18日(土)になります。
境内の見どころ
山門
四天王寺庚申堂の山門です。
三猿堂
四天王寺庚申堂の三猿堂です。
九頭竜神社
四天王寺庚申堂の九頭竜神社です。
庚申堂
四天王寺庚申堂の庚申堂です。
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「日本神話」を研究しながら日本全国を旅しています。旅先で発見した文化や歴史にまつわる情報をブログ記事まとめて紹介していきたいと思っています。少しでも読者の方々の参考になれば幸いです。
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