鞍馬寺 [京都府]
2019/12/01
京都市左京区鞍馬本町にある鞍馬寺(くらまでら)です。
奈良時代に創建された古刹であり、源義経が幼少期を過ごした場所として知られています。
また、本尊の尊天は650万年前に金星から降り立ったなど、数々のいわれのある神秘的な寺となっています。
寺院概要
縁起
パンフレットによれば、宝亀元年(770年)に鑑真和上の高弟・鑑禎上人(思託律師)が毘沙門天を祀ったことに始まり、その後 延暦15年(796年)に藤原伊勢人が堂塔伽藍を整えて千手観世音を祀ったことで鞍馬寺が生まれたとされます。
草創縁起については寺に伝わる『鞍馬蓋寺縁起』に詳しく書かれており、鑑禎は宝亀元年正月4日寅の夜に霊夢にて「山城国の北方に霊山がある」と告げられ、それに従って登山していると山の上方で宝の鞍を乗せた白馬を見かけ、その白馬に導かれてたどり着いたのが鞍馬山でした。鑑禎が鞍馬山に入ると鬼女に襲われて殺されそうになりますが、あわやというところで枯木が倒れて鬼女を潰したので命が助かり、翌朝にそこに毘沙門天の像があったので これを祀るための寺を建立したと伝えられています。
また、『今昔物語集』『扶桑略記』などには藤原伊勢人に関する伝承が書かれており、延暦15年(796年)に造東寺長官になった伊勢人が自らの信仰する観音を祀るための寺を建てたいと考えていたところ、ある夜に見た霊夢の託宣によって鞍馬山に導かれ、この地に毘沙門天像が祀られているのを発見し、再び見た霊夢にて観音と毘沙門天が同一であることを告げられたので、これに深く感銘を受けて同地に伽藍を整備し、毘沙門天を奉安し、千手観音を造像して祀ったことが鞍馬寺の起源になったとされています。
なお、鞍馬寺は長らく天台宗に属していましたが、昭和期の住職・信楽香雲は昭和22年(1947年)に古神道・密教・浄土教・修験道など多様な信仰の流れを統一した鞍馬弘教を開宗し、昭和24年(1949年)に天台宗から独立しました。以後、鞍馬寺は鞍馬弘教の総本山となっています。
本尊
・尊天(そんてん):この世の存在のすべてを生み出す宇宙生命・宇宙エネルギーとされる
→ 毘沙門天王・千手観世音菩薩・護法魔王尊の三位一体を指す(詳細は後述)
→ 毘沙門天王・千手観世音菩薩・護法魔王尊の三位一体を指す(詳細は後述)
関連知識
尊天とは?
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鞍馬寺の本尊である尊天とは、この世のすべてを生み出している宇宙生命・ 宇宙エネルギーのことであり、その形は一定ではなく、森羅万象 、日月星辰、あらゆる神仏の姿となって現れるとされます。このエネルギーを毘沙門天王・千手観世音菩薩・護法魔王尊の三位一体として尊天と呼び、それぞれの働きは以下のように表されています。
・千手観世音菩薩(せんじゅかんぜおんぼさつ)-月の精霊-愛(慈愛)の象徴
・毘沙門天王(びしゃもんてんのう)-太陽の精霊-光(光明)の象徴
・護法魔王尊(ごほうまおうそん)-大地の精霊-力(活力)の象徴
・毘沙門天王(びしゃもんてんのう)-太陽の精霊-光(光明)の象徴
・護法魔王尊(ごほうまおうそん)-大地の精霊-力(活力)の象徴
五月満月祭(ウエサク祭)
鞍馬寺では毎年5月の満月の夜に五月満月祭(ウエサク祭)が行われます。この祭は「5月の満月の夜、全てのもの の目覚めのために天界から強いエネルギーが降り注ぐ」として、鞍馬山にて満月に清水を捧げ、灯を供えるといった「五月満月の秘儀」であり、かつては密かに行われる儀式でしたが、昭和22年(1947年)に一般公開されるようになり、今では多くの人々が集まる人気の祭りとなっています。
日付はその年によって異なりますが、時間は19:00~23:00となっており、誰でも参加することができるそうです。スピリチュアル的には「ウエサク祭の夜は鞍馬山とシャンバラが繋がる」など、なかなか興味深い祭りといわれているので、興味のある方は行ってみると面白い発見があるかもしれませんね。
鞍馬天狗について
鞍馬山には大天狗が住んでいるといわれており、その名も鞍馬天狗(クラマテング)または鞍馬山僧正坊(クラマヤマソウジョウボウ)と言います。この鞍馬天狗は牛若丸(源義経)に剣術や兵法を授けたことで知られており、天狗の中でも強い力を持つ日本八天狗の一尊にも数えられています。
鞍馬寺の宗派である鞍馬弘教では、鞍馬天狗は尊天の一である護法魔王尊の使者であるとしています。というより、鞍馬寺では護法魔王尊の姿を尊像として見ることができますが、これこそ正しく天狗といった姿になっており、鞍馬寺の資料でも「護法魔王尊こそ天狗さんの総師である」と説明されています。ですので、俗に言う鞍馬天狗とは護法魔王尊のことを指すのかもしれません。
なお、護法魔王尊は尊天の中でもとりわけ詳しく語られており、650万年前に金星から今の魔王殿(鞍馬寺の奥の院)が建っている地に降り立ったとされています。また、姿かたちは人間と同じですが、身体を構成する元素が異なっているために年をとらず、食事も必要とせず、永遠に16歳の若さを保っていられるとか、自由に時空を越えたり、姿を変えることができると言われ、ヒンドゥー教の神話などに登場するサナト・クマーラと同一の存在であるとも言われています。非常に興味深いですね。
境内の見どころ
仁王門(山門)
鞍馬寺の仁王門です。
左右に仁王像が立っており、浄域への結界の役割があると言われています。
鞍馬駅から鞍馬山に上る際の登山口になっており、ここで愛山費を払って入山する形になっています。
転法輪堂
鞍馬寺の転法輪堂です。
金堂の下に位置しており、堂宇の一部が洗心亭という休憩所となっています。
本殿金堂
鞍馬寺の本殿金堂です。
鞍馬寺の中心道場で、本尊である千手観音菩薩・毘沙門天王・護法魔王尊が安置されています。
なお、本尊は秘仏であり、60年に一度、丙寅の年に開扉されるそうです(次回は2046年)。
金剛床
鞍馬寺の金剛床です。
金堂の前にあり、宇宙エネルギーである尊天の波動が果てしなく広がる様子が曼荼羅として描かれています。
この中心の三角形には尊天の力が降りてくるとされており、上に立つといつもと違う感覚を味わうことができます。
阿吽の虎
鞍馬寺の阿吽の虎です。
金堂の前に立っている虎で、毘沙門天王の使いの神獣とされています。
なお、虎が毘沙門天の使いとされる理由は、毘沙門天の出現が寅の月、寅の日、寅の刻とされることにあるそうです。
翔雲臺
鞍馬寺にある翔雲臺(翔雲台)です。
毘沙門天王が降臨した場所だといわれ、中央の板石は如法写経会の経巻を埋納した経塚の蓋石とされています。
閼伽井護法善神社
鞍馬寺の境内にある閼伽井護法善神社です。
水の神を祀っているとされており、天井には龍の彫刻が刻まれています。
本坊(金剛寿命院)
鞍馬寺の本坊です。
前庭(瑞風庭)は、奥の院・魔王殿に護法魔王尊が降臨する様子を表現しているそうです。
光明心殿
鞍馬寺の境内にある光明心殿です。
ここには護法魔王尊の尊像が奉安されています。
料金: 無料(愛山費300円)
住所: 京都府京都市左京区鞍馬本町1074番地(マップ)
営業: 9:00~17:00
交通: 鞍馬駅(徒歩約50分)
公式サイト: http://www.kuramadera.or.jp/
住所: 京都府京都市左京区鞍馬本町1074番地(マップ)
営業: 9:00~17:00
交通: 鞍馬駅(徒歩約50分)
公式サイト: http://www.kuramadera.or.jp/
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「日本神話」を研究しながら日本全国を旅しています。旅先で発見した文化や歴史にまつわる情報をブログ記事まとめて紹介していきたいと思っています。少しでも読者の方々の参考になれば幸いです。
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