冠島・沓島遥拝所 [京都府]
2015/09/19
京都府宮津市の傘松公園にある冠島・沓島遥拝所(かんむりじま・くつじまようはいじょ)です。
若狭湾に浮かぶ 神の島、冠島(かんむりじま)、沓島(くつじま)に参拝するための遥拝所となっています。
由緒書によれば、冠島と沓島は元伊勢・籠神社の海の奥宮であり、籠神社の祭神・彦火明命(ホアカリ)と市杵嶋姫命(イチキシマヒメ)が天降って夫婦となった神聖な島として、古代から特別視されてきたそうです。
ホアカリは豊受大神を祀って丹後丹波から開拓を始め、イチキシマヒメは航海安全を祈って両神ともに国の発展に貢献したとされ、その両神の御神徳は、縁結び・夫婦円満・家内安全・事業繁栄・技術学問向上・航海安全・貿易交渉・財運などと幅広く、今でも参拝者が絶えないとされています。
なお、室町時代に描かれた雪舟の「天橋立図」には、本来ならば構図に入らない両島が絵の右下に描き込まれており、これは雪舟が冠島・沓島が特別な島であることを知っていたからだと考えられているようです。
雪舟の天橋立図 |
冠島とは?
冠島(かんむりじま)とは、若狭湾内に浮かぶ無人島であり、大島、雄島、常世島、竜宮島とも呼ばれています。
現在は、オオミズナギドリの繁殖地として島全体が国の天然記念物に指定されているため、立入禁止とされています。
なお、毎年「雄島まいり」と称する地元住民による お参りが行われているそうです。
また、元伊勢・籠神社によれば、ホアカリが天降った島として「海の奥宮」とされています。
沓島とは?
沓島(くつじま)とは、若狭湾内に浮かぶ無人島であり、雌島、小島、鬼門島とも呼ばれています。
現在は、冠島とともに京都府指定冠島沓島鳥獣保護区に指定されているため、立入禁止とされています。
なお、教派神道系の教団・大本の伝説にまつわる島でもあるとされ、幾つかの伝説が残されているそうです。
また、元伊勢・籠神社によれば、イチキシマヒメが天降った島として「海の奥宮」とされています。
彦火明命(ホアカリ)・市杵嶋姫命(イチキシマヒメ)について
上記は元伊勢・籠神社の絵馬ですが、この絵馬に描かれる通り 籠神社では二神が夫婦神であると伝えられています。
しかし、この伝承は『記紀』などの史書には見られず、なかなか貴重な情報です。
ちなみに彦火明命(ホアカリ)は、『日本書紀』によればオシホミミとトヨアキツシヒメの子であり、天孫・ニニギの兄に当たる神として記され、『旧事紀』においては天照国照彦天火明櫛玉饒速日尊という名でニギハヤヒと同神とされています。
これは、籠神社でも『旧事紀』と同様の説をとっており、籠神社の社家・海部氏の祖神として国宝『海部氏系図』にも記されているそうです。なお、ホアカリの子孫は尾張氏・津守氏、海部氏とされ、ニギハヤヒの子孫が穂積氏、物部氏とされていることから、海部氏系図によれば、これらの氏族は同族であると言い換えることもできます。
また、市杵嶋姫命(イチキシマヒメ)は、『記紀』によればスサノオがアマテラスと誓約をした際にスサノオの剣から生まれた宗像三女神の一柱とされ、その筆頭として厳島神社、宗像大社の祭神として祀られています。そのほか、七福神の一柱である弁財天と同一視されており、寺院の境内の池の付近に建つ、弁天堂などでも よく祀られています。
しかし、冒頭で示した通り『記紀』にはイチキシマヒメが結婚したという記述が全く登場しません。なお、『記紀』で取り扱われるイチキシマヒメの説話は、誓約による誕生、応神朝での祭祀、履中朝の祟り と、かなり少ないです。そのワリには全国各地で数多く祀られているので、以前から不思議に思っていましたが、籠神社の伝承通りならば概ね合点が行きます。
つまり、イチキシマヒメはホアカリ(ニギハヤヒ)の后として、丹後丹波の国造りに貢献していたのでしょう。よって、ニニギやイワレビコ(神武天皇)による国譲り以前には神格が高い神様だったとされていたのです。それは、神社の祭神率の高さが証明していますね。
饒速日についてはこちらの記事を参照:【饒速日(ニギハヤヒ)とは?】
料金: 基本無料(リフト、ケーブルカー有料)
住所: 京都府宮津市大垣
営業: 8:00~17:00(夏期18:00、冬季16:30)
交通: 天橋立駅(徒歩66分)
公式サイト: http://www.amano-hashidate.com/030kasamatu.html
住所: 京都府宮津市大垣
営業: 8:00~17:00(夏期18:00、冬季16:30)
交通: 天橋立駅(徒歩66分)
公式サイト: http://www.amano-hashidate.com/030kasamatu.html
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「日本神話」を研究しながら日本全国を旅しています。旅先で発見した文化や歴史にまつわる情報をブログ記事まとめて紹介していきたいと思っています。少しでも読者の方々の参考になれば幸いです。
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