人文研究見聞録:四国八十八ヶ所17番札所 瑠璃山井戸寺 [徳島県]

徳島県徳島市にある井戸寺(いどじ)です。

四国八十八箇所霊場の第十七番札所であり、本尊に聖徳太子作と伝えられる七仏薬師如来を祀る真言宗善通寺派の寺院となっています。なお、七仏薬師如来は全国でも珍しいものであり、七躍即滅、七福即生門、運厄除、難病平癒に霊験あらたかとされているそうです。

また、境内には熊鷹大明神(阿波の狸)などの祠が祀られており、さらに八幡神社(井上八幡宮)と隣接して建っていることから、神仏習合色の強い寺院であると思われます。

お遍路の基礎知識についてはこちらの記事を参照:【お遍路とは?】


寺院概要

縁起

寺伝によれば、天武天皇の勅願により673年に創建された妙照寺が前身とされ、平安期(815年)に空海(弘法大師)が巡錫した際、十一面観世音菩薩、十二神将、四天王、日光菩薩、月光菩薩を刻んで安置したといったと伝えられているそうです。

また、その際に空海は土地の人々が水不足で困っていることを知り、錫杖で一夜にして井戸を掘ったとされ、それを以ってこの地を井戸村と名付け、寺号も井戸寺と改めたと云われています。

なお、中世以降は兵火によって堂宇を焼失するも、江戸中期(1661年)に徳島藩主 蜂須賀氏によって本堂が再建され、その後、昭和期(1968年)に再び本堂が焼失するも本尊は無事だったとされ、その3年後(1971年)に再建されて現在に至るとされています。

本尊

人文研究見聞録:四国八十八ヶ所17番札所 瑠璃山井戸寺 [徳島県]

・七仏薬師如来(しちぶつやくし):薬師如来が衆生を救うために姿を変えて現れるという七つの姿を指す
 → 薬師如来(やくしにょらい):東方の浄瑠璃世界の主で、12の誓願を起こし、生ある全てのものを救う仏
 → 真言:オン コロコロ センダリ マトウギ ソワカ
 → 本地垂迹説において、スサノオの本地とされた

境内の見どころ

山門(仁王門)

人文研究見聞録:四国八十八ヶ所17番札所 瑠璃山井戸寺 [徳島県]

井戸寺の山門です。

外側に仁王像を配し、内側に魔除けとされる巨大なわらじが奉納されています。

人文研究見聞録:四国八十八ヶ所17番札所 瑠璃山井戸寺 [徳島県]
内側の大わらじ

本堂

人文研究見聞録:四国八十八ヶ所17番札所 瑠璃山井戸寺 [徳島県]

井戸寺の本堂です。

中に入って本尊の七仏薬師如来を拝顔して参拝することができます。

雀大師

人文研究見聞録:四国八十八ヶ所17番札所 瑠璃山井戸寺 [徳島県]

井戸寺の雀大師です。

近年寄進された弘法大師像であり、大師が持つ鉢には小さな雀が留まっています。

大師堂

人文研究見聞録:四国八十八ヶ所17番札所 瑠璃山井戸寺 [徳島県]

井戸寺の大師堂です。

窓から中にある弘法大師像を拝顔することができます。

六角堂

人文研究見聞録:四国八十八ヶ所17番札所 瑠璃山井戸寺 [徳島県]

井戸寺の六角堂です。

堂内に安置される十一面観音像は、国の重要文化財に指定されているそうです。

訶梨帝母天堂

人文研究見聞録:四国八十八ヶ所17番札所 瑠璃山井戸寺 [徳島県]

井戸寺の訶梨帝母天堂(かりておいもてんどう)です。

鬼子母神を祀っており、安産に御利益があるとされています。

日限大師

人文研究見聞録:四国八十八ヶ所17番札所 瑠璃山井戸寺 [徳島県]

井戸寺の日限大師(ひかぎりだいし)です。

日数を限定して祈願すると願いが叶うとされています。

面影の井戸

人文研究見聞録:四国八十八ヶ所17番札所 瑠璃山井戸寺 [徳島県]

井戸寺の面影の井戸です。

井戸の水を覗いて姿が映れば無病息災とされ、映らない場合は3年以内に不幸があると云われています。

熊鷹大明神

人文研究見聞録:四国八十八ヶ所17番札所 瑠璃山井戸寺 [徳島県]

井戸寺に祀られる熊鷹大明神です。

熊鷹大明神とは、阿波狸合戦で戦死した狸の大鷹の子であるとされています。

謎の祠(弁天堂?)

人文研究見聞録:四国八十八ヶ所17番札所 瑠璃山井戸寺 [徳島県]

井戸寺に祀られる謎の祠です。

池の上にあることから弁財天を祀っているものと思われます。

料金: 無料
住所: 徳島県徳島市国府町井戸北屋敷80-1(マップ
営業: 7:00~17:00
交通: 府中駅(徒歩20分)、徳島バス 覚円線 「井戸寺口」下車

公式サイト: http://www.88shikokuhenro.jp/tokushima/17idoji/
matapon
著者: matapon Twitter
「日本神話」を研究しながら日本全国を旅しています。旅先で発見した文化や歴史にまつわる情報をブログ記事まとめて紹介していきたいと思っています。少しでも読者の方々の参考になれば幸いです。