天岩戸神社 (天岩戸大神宮) [京都府]
2016/02/12
京都府福知山市大江町にある天岩戸神社(あめのいわとじんじゃ)です。
元伊勢内宮 皇大神社の奥宮とされる神社であり、「天岩戸」に比定される渓谷の中に鎮座しています。
由緒・祭神などには諸説あり、ハッキリしない部分も多いですが、概ね聖地として崇められているようです。
なお、当社は元伊勢神宮と併せて「元伊勢三社」に数えられており、伊勢神宮の元宮とも云われています。
神社概要
由緒
天岩戸神社の由緒には諸説あるようです。そのため、境内にあるいくつかの案内板の内容を転載しておきます。
岩戸山(京都府)
天岩戸神社は大江町の元伊勢三社(皇大神社(内宮)・豊受大神社(外宮)・天岩戸神社)の一つで、伊勢の皇大神宮の元宮として古くから この地方の象徴的存在として崇敬されて来ました。
天岩戸神社の祭神である櫛岩窓戸命(クシイワマド)・豊岩窓戸命(トヨイワマド)は門を守る岩石の神であり、岩戸渓谷の幽玄の池を天岩戸に比定し、『古事記』の大神の門番神を配祀していると伝えられています。
社殿背面にある巨石は、神が座して天降った所といわれ「御座石(ございし)」と名付けられています。
また、御座石から岩戸渓谷を隔てた土手には「神楽石(かぐらいし)」と呼ばれる石があります。さらに約50m下流の岩場には甌穴(おうけつ、河流の浸食作用によって川底の岩盤に開いた穴)があり、この甌穴は神が湯浴みしたところとして「産盥(うぶだらい)」と呼ばれています。
これを汚すと変異を現すと言い伝えられており、産盥の水は旱天(かんてん)にも涸れることなく、この水を水面に注げば慈雨を呼ぶとされています。
天岩戸神社は大江町の元伊勢三社(皇大神社(内宮)・豊受大神社(外宮)・天岩戸神社)の一つで、伊勢の皇大神宮の元宮として古くから この地方の象徴的存在として崇敬されて来ました。
天岩戸神社の祭神である櫛岩窓戸命(クシイワマド)・豊岩窓戸命(トヨイワマド)は門を守る岩石の神であり、岩戸渓谷の幽玄の池を天岩戸に比定し、『古事記』の大神の門番神を配祀していると伝えられています。
社殿背面にある巨石は、神が座して天降った所といわれ「御座石(ございし)」と名付けられています。
また、御座石から岩戸渓谷を隔てた土手には「神楽石(かぐらいし)」と呼ばれる石があります。さらに約50m下流の岩場には甌穴(おうけつ、河流の浸食作用によって川底の岩盤に開いた穴)があり、この甌穴は神が湯浴みしたところとして「産盥(うぶだらい)」と呼ばれています。
これを汚すと変異を現すと言い伝えられており、産盥の水は旱天(かんてん)にも涸れることなく、この水を水面に注げば慈雨を呼ぶとされています。
岩戸神社の記(天岩戸大神宮)
偉大な祖神である天照大御神(アマテラス)は速須佐之男命(ハヤスサノオ)の乱暴な行いに耐え忍んでおられたが、とうとう我慢しきれずに天の岩戸に閉じ籠りになられた。
そこで、この世の中は真暗くなってしまい、悪いことばかりが連続して起こり、収拾がつかなくなってしまったので、八百万神々(やおよろずのかみがみ)は天安河原に集まられて相談された。
そこで、天の岩戸の前で長鳴鳥(ながなきどり)を鳴かせ、真榊(まさかき)の木に勾玉を飾り、御神鏡をかかげ、御幣を持ち、神饌物を捧げて、賑やかに歌い踊り音楽し、祝詞(のりと)を申し上げた。
この時、尊い天照大御神は外の様子を不思議に思われ、天の岩戸を細めに開いて見られたので、御神鏡を差し出し申した。畏い天照大御神は ますます変だと思われ、少し天の岩戸から出られたところを お引出し申したので世の中は明るくなり、救われたのである。
さて、この由緒ある御神鏡が神宝と信じられ、救世平和神とされている。
由緒(天岩戸大神宮)
当 天の岩戸神社は、往昔 地神の元始神・天照大神 籠居ましし霊地にして、真名井ヶ原・真名井ヶ池・楽の堂産盥・産釜・神楽石・御座石・鶏鳴岩・鱒池・鮎返りの滝 等の地名 旧蹟あり。
殊に産盥の霊水は平常満水することなく、域は減水することなく、かつ、腐水することかつてなく、此の霊水は旱魃(かんばつ)の際、その霊水の少許を水上に注ぐ時は如何なる旱魃の時といえども神雨不思議に降り来たり、庶民安堵の撫するにより往昔より今に至るも尚その慣例絶へざるなり。
偉大な祖神である天照大御神(アマテラス)は速須佐之男命(ハヤスサノオ)の乱暴な行いに耐え忍んでおられたが、とうとう我慢しきれずに天の岩戸に閉じ籠りになられた。
そこで、この世の中は真暗くなってしまい、悪いことばかりが連続して起こり、収拾がつかなくなってしまったので、八百万神々(やおよろずのかみがみ)は天安河原に集まられて相談された。
そこで、天の岩戸の前で長鳴鳥(ながなきどり)を鳴かせ、真榊(まさかき)の木に勾玉を飾り、御神鏡をかかげ、御幣を持ち、神饌物を捧げて、賑やかに歌い踊り音楽し、祝詞(のりと)を申し上げた。
この時、尊い天照大御神は外の様子を不思議に思われ、天の岩戸を細めに開いて見られたので、御神鏡を差し出し申した。畏い天照大御神は ますます変だと思われ、少し天の岩戸から出られたところを お引出し申したので世の中は明るくなり、救われたのである。
さて、この由緒ある御神鏡が神宝と信じられ、救世平和神とされている。
由緒(天岩戸大神宮)
当 天の岩戸神社は、往昔 地神の元始神・天照大神 籠居ましし霊地にして、真名井ヶ原・真名井ヶ池・楽の堂産盥・産釜・神楽石・御座石・鶏鳴岩・鱒池・鮎返りの滝 等の地名 旧蹟あり。
殊に産盥の霊水は平常満水することなく、域は減水することなく、かつ、腐水することかつてなく、此の霊水は旱魃(かんばつ)の際、その霊水の少許を水上に注ぐ時は如何なる旱魃の時といえども神雨不思議に降り来たり、庶民安堵の撫するにより往昔より今に至るも尚その慣例絶へざるなり。
概要
上記の由緒では分かりづらいので、当地の概要を以下にまとめてみます。
天岩戸神社の概要
・当地は、『古事記』の「天岩戸神話」にまつわる場所であり、神話に登場する多数の旧跡が残る
・当地は、地神の元始神・天照大神が籠った「天岩戸」とされる霊地である(『記紀』では、天照大神は天神とされる)
・当社は、元伊勢内宮 皇大神社の奥宮である
・当社は、伊勢の皇大神宮(伊勢神宮内宮)の元宮であるとされる
・当社は、門を守る櫛岩窓戸命(クシイワマド)・豊岩窓戸命(トヨイワマド)を祀る(配祀とも)
・当社は、福知山の元伊勢神宮と併せて「元伊勢三社」と呼ばれる
天岩戸神社の旧蹟
・真名井ヶ原(まないがはら):『古事記』の「天の真名井」に比定されるか?
・真名井ヶ池(まないがいけ)
・産盥(うぶだらい):常に枯れることが無く、水面に水を注ぐと雨が降ると云われる
・産釜(うぶがま)
・神楽石(かぐらいし):「天岩戸神話」の神楽にちなむか?
・御座石(ございし):社殿背後にある巨石で「神が座して天降った場所」と云われる
・鶏鳴岩(とりなきいわ):「天岩戸神話」の常世長鳴鳥にちなむか?
・鱒池(ますいけ)
・鮎返りの滝(あゆかえりのたき)
・当地は、『古事記』の「天岩戸神話」にまつわる場所であり、神話に登場する多数の旧跡が残る
・当地は、地神の元始神・天照大神が籠った「天岩戸」とされる霊地である(『記紀』では、天照大神は天神とされる)
・当社は、元伊勢内宮 皇大神社の奥宮である
・当社は、伊勢の皇大神宮(伊勢神宮内宮)の元宮であるとされる
・当社は、門を守る櫛岩窓戸命(クシイワマド)・豊岩窓戸命(トヨイワマド)を祀る(配祀とも)
・当社は、福知山の元伊勢神宮と併せて「元伊勢三社」と呼ばれる
天岩戸神社の旧蹟
・真名井ヶ原(まないがはら):『古事記』の「天の真名井」に比定されるか?
・真名井ヶ池(まないがいけ)
・産盥(うぶだらい):常に枯れることが無く、水面に水を注ぐと雨が降ると云われる
・産釜(うぶがま)
・神楽石(かぐらいし):「天岩戸神話」の神楽にちなむか?
・御座石(ございし):社殿背後にある巨石で「神が座して天降った場所」と云われる
・鶏鳴岩(とりなきいわ):「天岩戸神話」の常世長鳴鳥にちなむか?
・鱒池(ますいけ)
・鮎返りの滝(あゆかえりのたき)
祭神
天岩戸神社の祭神は以下の通りです。
・櫛御毛奴命(クシミケヌ):スサノオの別名と考えられている
→ Wikipediaをはじめ多くのネット情報で主祭神とされるが、具体的な出典は不明
⇒ 神社案内板には「地神の元始神・天照大神」という謎の記述もある(天照大神は天神とされるため)
→ 卵を供える参拝者もいるとされる(龍蛇信仰か?)
・櫛岩窓戸命(クシイワマド):御門の神であり、天石門別神の別名とされる
・豊岩窓戸命(トヨイワマド):同上
→ 京都府の案内板にて祭神と記される
⇒ 「大神の門番神を配祀している」とも
→ Wikipediaをはじめ多くのネット情報で主祭神とされるが、具体的な出典は不明
⇒ 神社案内板には「地神の元始神・天照大神」という謎の記述もある(天照大神は天神とされるため)
→ 卵を供える参拝者もいるとされる(龍蛇信仰か?)
・櫛岩窓戸命(クシイワマド):御門の神であり、天石門別神の別名とされる
・豊岩窓戸命(トヨイワマド):同上
→ 京都府の案内板にて祭神と記される
⇒ 「大神の門番神を配祀している」とも
元伊勢三社
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伊勢神宮の創建前に天照大神が鎮座した地を「元伊勢」と言いますが、大江町には伊勢と同様に「皇大神社(内宮)」「豊受大神社(外宮)」が揃っていることから、二社の総称として「元伊勢神宮」と称されるそうです。
また、同地内の「岩戸山」の異称を持つ両宮の神体山「日室ヶ嶽(ひむろがたけ)」があり、その麓には「天岩戸神社」が鎮座しているため、この三社の総称として「元伊勢三社」と称するとされています。
境内社
龍燈明神
天岩戸神社の入口にある龍燈明神です。
祭神・由緒などは不明ですが、龍神信仰があるものと思われます。
小祠
天岩戸神社の鳥居付近にある小祠です。
祭神などは不明ですが、記念石碑などと共に鎮座しています。
周辺の見どころ
鳥居
天岩戸神社の鳥居です。
本殿遥拝所
天岩戸神社の本殿遥拝所です。
本殿付近はやや危険なので、崖の上に遥拝所が設けられています。
産釜遥拝所
天岩戸神社の産釜遥拝所です。
崖の上から産釜・産盥を望むことができます(中には参考写真もある)。
産釜・産盥
産釜遥拝所から望む産釜・産盥です。
産釜・産盥とされる岩は、人工的な形状をしているようにも見えます。
本殿周辺
天岩戸神社の本殿周辺の雰囲気です。
本殿下の鎖
天岩戸神社の本殿は巨岩の上に建っているため、直接拝むには鎖伝いに岸壁を登る必要があります。
結構危ないので、本殿の真下にも賽銭箱が設置されています。
本殿
天岩戸神社の本殿です。
社殿の前には鈴と賽銭箱が設けられています。
磐座
天岩戸神社周辺の磐座です。
渓流の周辺には多数の巨石・奇岩の類が数多く点在しており、かつては渓谷を遡った所に神体石があったとされます。
しかし、現在は大雨の影響によって崩壊・流出してしまったそうです。
渓流
天岩戸神社周辺の渓流です。
心が洗われるような清々とした場所になっています。
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「日本神話」を研究しながら日本全国を旅しています。旅先で発見した文化や歴史にまつわる情報をブログ記事まとめて紹介していきたいと思っています。少しでも読者の方々の参考になれば幸いです。
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