人文研究見聞録:艸墓古墳(カラト古墳) [奈良県]

奈良県桜井市にある艸墓古墳(くさはかこふん)です。別名 カラト古墳とも呼ばれています。

安倍文殊院の東に位置する方墳であり、7世紀中頃の終末期古墳であると考えられているようです。

なお、石室の中に入って石棺を見ることもできるという、なかなか珍しい古墳となっています。


概要

人文研究見聞録:艸墓古墳(カラト古墳) [奈良県]

艸墓古墳は、案内板にて以下の様に説明されています。

艸墓古墳(国指定史跡)

墳丘は、阿部丘陵の小突起部を利用した北西面・南東面のやや長い、長辺が約27m、短辺が約21mの戴頭長方錘形(せっとうちょうほうすいけい)の方墳である。

埋葬施設は、南東に開口する両袖の横穴式石室に竜山石製のくり抜きの家型石棺を安置する。

石室の規模は全長13.16m、玄室幅2.71m、玄室長4.44m、玄室高2.0m。羨道は長さ8.2m、玄門部での幅1.9m、高さ1.5mを測る。側壁・天上石の間隙は漆喰を充填する。

石棺の規模と石室の規模から、石棺を安置した後に石室を構成し、墳丘を築いたかと考えられる。

※やや加筆修正しています。

案内板の内容の他、桜井市のホームページなどを参考にまとめると以下のような特徴があるとされています。

艸墓古墳の特徴

・戴頭長方錘形の方墳である
・主体部は、南東に開口する両袖式の横穴式石室である
・石室は、石材1石を並列して構成する事を基本としている
・玄室は、規模の割に高さが低いという特徴がある
・大型の石材を使用していることが特徴的である
・石の間隙に漆喰が埋められるなど、新しい要素が随所に見られる
・石室構築前に石棺が据えられて、埋葬が行われたと見られている
・石室の構造や石棺の形式などから、7世紀中頃の築造と考えられている

スペック

艸墓古墳のスペックは以下の通りです。

全体

・形状:戴頭長方錘形
・長辺:約27m
・短辺:約21m

玄室

・形状:両袖式の横穴式石室
・全長:13.16m
・長さ:4.44m
・横幅:2.71m
・高さ:2.0m
・羨道:8.2m
・門幅:1.9m
・門高:1.5m

艸墓古墳の様子

人文研究見聞録:艸墓古墳(カラト古墳) [奈良県]

まず、艸墓古墳は非常に分かりづらい場所に位置しています。

そこで古墳まで訪れるには、付近にある画像のような案内表示を頼りに道を進む必要があります。

人文研究見聞録:艸墓古墳(カラト古墳) [奈良県]
民家の横の案内表示
人文研究見聞録:艸墓古墳(カラト古墳) [奈良県]
古墳までの通路

この表示は民家の隣にまで続いており、排水溝の脇の細い道を進んで行けば やがて古墳に辿り着くことが出来ます。

古墳の前まで来ると、インパクトのある石室の入口と盛土が見えてきます。

人文研究見聞録:艸墓古墳(カラト古墳) [奈良県]
石室と盛土
人文研究見聞録:艸墓古墳(カラト古墳) [奈良県]
石室入口

石室の中を覗いてみると、説明にある通りの巨大な石材の並びが見えてきます(階段になっている部分もある)。

また、石室の中に入ることができ、その先には石棺があるのが確認できます。

人文研究見聞録:艸墓古墳(カラト古墳) [奈良県]
羨道と石棺
人文研究見聞録:艸墓古墳(カラト古墳) [奈良県]
蓋石
人文研究見聞録:艸墓古墳(カラト古墳) [奈良県]
羨道の石組(左)
人文研究見聞録:艸墓古墳(カラト古墳) [奈良県]
羨道の石組(右)

なかなかしっかりとした造りになっており、中に入れば古代の技術を感じ取ることができます。

このように中に入って見られる古墳は珍しく、史跡にしては観光客なんかも少ないようです。

そのため、古代を感じられるスポットとしては穴場なのではないでしょうか?

料金: 無料
住所: 奈良県桜井市谷(マップ
営業: 終日開放
交通: 桜井駅(徒歩20分)

公式サイト: http://www.city.sakurai.lg.jp/kanko/isekibunkazai/kashiramoji/kagyo/1394792193208.html
matapon
著者: matapon Twitter
「日本神話」を研究しながら日本全国を旅しています。旅先で発見した文化や歴史にまつわる情報をブログ記事まとめて紹介していきたいと思っています。少しでも読者の方々の参考になれば幸いです。