六甲山神社(白山の宮・六甲山石宝殿) [兵庫県]
2017/03/14
兵庫県西宮市の六甲山上にある六甲山神社(むこやまじんじゃ)です。
加賀国白山の神である菊理媛命(ククリヒメ)を祀る白山信仰の神社であり、白山の宮とも呼ばれています。
また、拝殿の奥に石の宝殿(いしのほうでん)と呼ばれる巨大な石祠が設置されていることが特徴です。
神社概要
概要
神社自体に由緒書などはありませんが、ウィキペディアによれば 当社は菊理媛命(加賀国白山の白山比咩神社の祭神)を祀る白山信仰の神社であり、祭神から白山の宮(しらやまのみや)とも称されるとされます。
創祀は不明とされるものの、神社の奥に設置された石祠である"石の宝殿(いしのほうでん)"の石扉に"慶長18年(1613年)"の刻銘があり、六甲山の南麓に鎮座する越木岩神社の氏子らが建立したことが判明しているとされています(少なくとも豊臣時代の末期には存在していた)。
なお、六甲山の石宝殿は 当地の民話にて"越木岩の村人が雨乞いのために設置した"とされており、この石祠には六甲大権現が祀らていると云われています。この神についての詳細は不明ですが、『広西両宮絵図』に"六甲山石宝殿が西宮鎮守"とあることや、かつて六甲山全域が廣田神社の社領であったこと、六甲山がかつては向津峰(ムカツミネ)と呼ばれていたことなどから、石宝殿は"廣田神社で祀られる撞賢木厳魂天疏向津媛命の奥宮である"とも云われているそうです。
また、当地は古くから霊場視されており、神功皇后にまつわる伝承がいくつかあるとされます(下記の「民話・伝承」を参照)。さらに六甲山には山伏や天狗に関する多くの伝説もあることから、山岳信仰によって白山修験の修験者が開いた霊山であるとする説もあります(慶長以前より白山権現が祀られ、社殿には白山の古文書が伝えられているとも)。
ちなみに、当社は廣田神社の境外末社で、西宮神社や越木岩神社には分社が設けられており、当社の拝殿付近の「行き止まり」の看板の向こうには豊徳大神と呼ばれる磐座が鎮座しています。
祭神
六甲山神社の祭神は以下の通りです。
・菊理比咩大神(ククリヒメ):「日本神話」に登場する神で、白山に祀られる白山比咩大神と同一とされる
・大山祇大神(オオヤマツミ):「日本神話」に登場する山の神
・白山妙理大権現(はくさんみょうりだいごんげん):白山の山岳信仰と修験道が融合した神仏習合の神
・六甲大権現(ろっこうだいごんげん):石宝殿に祀られる神(本来の主祭神とする説がある)
・白山水天宮
・御嶽大神(おんたけおおかみ):国常立尊、大己貴命、少彦名命の三神を指すとされる
・八代龍王大神(はちだいりゅうおうおおかみ):法華経に登場する竜族の八王(天竜八部衆に所属)
・龍王姫金神
・白川大明神(しらかわだいみょうじん):稲荷神?
・小玉大神:子供の神とする説がある
・大山祇大神(オオヤマツミ):「日本神話」に登場する山の神
・白山妙理大権現(はくさんみょうりだいごんげん):白山の山岳信仰と修験道が融合した神仏習合の神
・六甲大権現(ろっこうだいごんげん):石宝殿に祀られる神(本来の主祭神とする説がある)
・白山水天宮
・御嶽大神(おんたけおおかみ):国常立尊、大己貴命、少彦名命の三神を指すとされる
・八代龍王大神(はちだいりゅうおうおおかみ):法華経に登場する竜族の八王(天竜八部衆に所属)
・龍王姫金神
・白川大明神(しらかわだいみょうじん):稲荷神?
・小玉大神:子供の神とする説がある
境内社
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六甲山神社の境内社は以下の通りです。
・蛤稲荷:石碑の裏に丸太が祀られている(社名から稲荷神を祀るものと思われる)
・山之地大神:石碑に「山之地大神」と刻まれている(祭神の詳細不明)
・山之地大神:石碑に「山之地大神」と刻まれている(祭神の詳細不明)
関連知識
アクセス
六甲山神社の境内には駐車場があり、自動車で訪れるのが一般的とされているようです。
公共の交通機関を利用して訪れる場合は、阪急バスで「宝殿橋」バス停まで行き、そこから25分程度 歩けば辿り着くことが出来ます。ただし、このバス停は芦有自動車道の宝殿料金所付近にあり、料金所のかたわらを通ってハイキングコースを登らなければならないため、コースが非常に分かりづらくなっています。
そのため、スマホの地図アプリ(Googleマップなど)で徒歩ルートの検索ができるようにしておくと便利です。
民話・伝承
【石の宝殿】
越木岩には上新田と下新田という2つの村があり、雨乞いをするために六甲山の上に「石の宝殿」を建てることになった。この際、石の宝殿の屋根の部分は上新田が受け持ち、その下の部分は下新田が受け持つことに決まった。
六甲山に石の宝殿を設ける当日、上新田の村人は山の上まで屋根を持って上がったが、下新田の村人は なかなか上って来なかったため、しびれを切らした上新田の村人は屋根を置いて下山してしまった。遅れてやって来た下新田の村人は、苦労して大岩の上に置いてあった屋根をどけて下の部分を造り、再び屋根を被せて組み立てて、疲労困憊で下山した。
なお、この後も2つの村は石の宝殿の建設を巡って争ったという。
こうして石の宝殿が完成したが、肝心の雨は一向に降る気配がなかった。そこで村人が話し合い、「2つの村が お互いに仲違いしているから、きっと神様も呆れているのだろう」という結論に至り、互いに仲直りして、2つの村人同士が共に越木岩神社の前に集まって護摩を焚き、雨が降るように熱心に祈願した。
すると、護摩の煙が天高くまで昇り、やがて石の宝殿の方まで棚引いて行った。これを見た村人たちは松明に火を灯し、煙とともに石の宝殿に向かい、天に"こだま"するほど大きな声を出して雨乞いした。そのとき、巨大な黒雲が湧き出て、大粒の雨が滝のように降り始めた。
これ以来、越木岩の人々は水が不足すると、石の宝殿まで上って雨乞いを祈願するようになったという。
越木岩には上新田と下新田という2つの村があり、雨乞いをするために六甲山の上に「石の宝殿」を建てることになった。この際、石の宝殿の屋根の部分は上新田が受け持ち、その下の部分は下新田が受け持つことに決まった。
六甲山に石の宝殿を設ける当日、上新田の村人は山の上まで屋根を持って上がったが、下新田の村人は なかなか上って来なかったため、しびれを切らした上新田の村人は屋根を置いて下山してしまった。遅れてやって来た下新田の村人は、苦労して大岩の上に置いてあった屋根をどけて下の部分を造り、再び屋根を被せて組み立てて、疲労困憊で下山した。
なお、この後も2つの村は石の宝殿の建設を巡って争ったという。
こうして石の宝殿が完成したが、肝心の雨は一向に降る気配がなかった。そこで村人が話し合い、「2つの村が お互いに仲違いしているから、きっと神様も呆れているのだろう」という結論に至り、互いに仲直りして、2つの村人同士が共に越木岩神社の前に集まって護摩を焚き、雨が降るように熱心に祈願した。
すると、護摩の煙が天高くまで昇り、やがて石の宝殿の方まで棚引いて行った。これを見た村人たちは松明に火を灯し、煙とともに石の宝殿に向かい、天に"こだま"するほど大きな声を出して雨乞いした。そのとき、巨大な黒雲が湧き出て、大粒の雨が滝のように降り始めた。
これ以来、越木岩の人々は水が不足すると、石の宝殿まで上って雨乞いを祈願するようになったという。
【石宝殿と神功皇后】
六甲山の石の宝殿には、神功皇后(じんぐうこうごう)が三韓征伐の際に持ち帰った神の石を納めたという伝承がある。
また、神功皇后が石の宝殿の傍の三葉空木(みつばうつぎ)の根元に黄金の鶏を埋めたとも伝えられ、毎年の元旦の夜明け前には、埋められた黄金の鶏の鳴き声が六甲の山々に響き渡ると云われている。
ほかにも、六甲山の石の宝殿は神功皇后の御廟(墓所)である とも伝えられるという。
六甲山の石の宝殿には、神功皇后(じんぐうこうごう)が三韓征伐の際に持ち帰った神の石を納めたという伝承がある。
また、神功皇后が石の宝殿の傍の三葉空木(みつばうつぎ)の根元に黄金の鶏を埋めたとも伝えられ、毎年の元旦の夜明け前には、埋められた黄金の鶏の鳴き声が六甲の山々に響き渡ると云われている。
ほかにも、六甲山の石の宝殿は神功皇后の御廟(墓所)である とも伝えられるという。
【六甲山の神々】
かつて六甲山には八十八の社があり、その中心である石の宝殿から神々が四方の高山に修行に出かけたと云われている。そのため、古くは六甲山は霊場とされ、女人の入山は禁じられていた。
もし女人が登山すれば、大声で「昼三度、夜三度、詫びせ!」という叫び声が聞こえたという。
かつて六甲山には八十八の社があり、その中心である石の宝殿から神々が四方の高山に修行に出かけたと云われている。そのため、古くは六甲山は霊場とされ、女人の入山は禁じられていた。
もし女人が登山すれば、大声で「昼三度、夜三度、詫びせ!」という叫び声が聞こえたという。
参考サイト:六甲山系の岩石にまつわる民話と伝承
境内の見どころ
登山道の鳥居
六甲山神社の登山道の鳥居です。
入口鳥居
六甲山神社の入口鳥居です。
扁額には「石宝殿 白山の宮」と刻まれています。
白山姫観音
六甲山神社の白山姫観音(しらやまひめかんのん)です。
祭神の菊理媛命(白山比咩大神)を象徴した観音像であると思われます。
家族杉
六甲山神社の家族杉です。
拝殿付近にあり、二本の杉の間に細い杉が生じています(家族を象徴している?)。
拝殿
六甲山神社の拝殿です。
奥に階段があり、その上には石宝殿が安置されています。
石の宝殿
六甲山神社の石の宝殿(いしのほうでん)です。
家型の巨大な石祠であり、中には六甲大権現が祀らていると云われています。
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「日本神話」を研究しながら日本全国を旅しています。旅先で発見した文化や歴史にまつわる情報をブログ記事まとめて紹介していきたいと思っています。少しでも読者の方々の参考になれば幸いです。
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