人文研究見聞録:有馬稲荷神社 [兵庫県]

兵庫県神戸市の有馬温泉地区にある有馬稲荷神社(ありまいなりじんじゃ)です。

飛鳥時代に創建された古い歴史を持つ稲荷神社であり、祭神に稲倉魂命(稲荷大神)を祀っています。


神社概要

由緒

由緒書によれば、飛鳥時代(7世紀)に造営された有馬行宮(ありまあんぐう)を起源とする神社であり、第34代 舒明天皇の有馬行幸の際に造営され、第36代 孝徳天皇の有馬行幸の際に改築したとされます。

この有馬行宮に守護神として稲荷大神を勧請したことに始まり、以後 皇室の厚い崇敬を受け、鎌倉時代には承久の乱を起こした後鳥羽上皇によって龍神の彫物が奉納され、社殿も新たに再建されたそうです。

また、慶応4年(1868年)には有栖川宮織仁親王の令旨を受けて永世宮家の祈願所となり、明治37年(1904年)に当社奥宮で祀られる古長大神(フルオサオオカミ)恒長大神(ツネオサオオカミ)の導きによって現在地に遷座したとされています。

なお、由緒書による解説は以下の通りです。

【有馬稲荷神社】

舒明天皇・孝徳天皇(600年代)が有馬温泉に行幸されたとき、杉ヶ谷行宮の守護神として祀られたのが始まりです。

射場山(いばやま)の中腹で こぶしの花をはじめ、四季折々の花名所になっています。


【有馬いなりと龍神さま】

畏くも当神社は日本第一の神霊泉有馬温泉功地山(射場山)の中つ処に鎮座し、古松老杉清泉奇石の外、四季折々の花木と共に高潔優美の霊境に有ります。

当社の歴史を深く考えるに日本の歴史の転換期に出現し、日本の運命を安らかな神の道へとつながる役目を持つ御社です。

昨年7月には、昔から遺りたる龍神さま(後鳥羽天皇から当社再建時に奉納された彫物)800年余の眠りから覚め、有馬のこの地に出現し、社殿正面に安置されました。

この有馬いなりは その源を有馬行宮として、約1400年前(6世紀)に古代国家の創祀と共に蘇我氏が物部氏を滅ぼし、蘇我馬子は崇峻天皇を謀殺した後、聖徳太子が摂政を執り、崇峻天皇の霊を慰めるため有馬行宮で鎮魂祭を執り行われ、後に舒明天皇が行幸せられ造営されている。

後、孝徳天皇(元の名を軽皇子)が西暦645年の大化の改新後、聖徳太子が没した後、孝徳天皇が即位するが、孝徳天皇と中大兄皇子との対立が続き、中大兄皇子は大和(奈良)に遷る。

孝徳天皇は有馬行宮に行幸せられた後、灘波宮(神戸市灘区)で没する孝徳天皇の御霊と鎮護のため、御社を再び美しく造営される。そして、500年後(12世紀)の1180年に平安貴族の時代が終わり、平氏も滅び、源氏の御代に変わりました。この時代に有馬いなりが歴史上に登場します。後鳥羽天皇が鎌倉幕府に政治の権力が移ったのをひどく嫌い、その政権を取り返そうとクーデターを起こすも失敗して、隠岐島に流罪となり、都への帰還を切望しながら憤死している。当時、後鳥羽天皇は新古今和歌集で藤原定家と共に歌を詠み、自分で創った刀を有馬いなりに奉納し、武家政権の打倒を祈願して、再び社殿の建立と龍神さまの彫物を奉納する。

後、有栖川宮家も崇敬厚く、慶応4年5月9日の有栖川宮織仁親王殿下のご令旨を賜り、永世宮家のご祈願所となし給い、昭和27年12月4日に高松宮宣仁親王殿下のご参拝を給う。

そして、西暦2000年、この龍神さまのを通して宇宙のエネルギーを戴き、今 日本に必要なのは明治維新を成し遂げた明治時代の先人達のようなエネルギーで、勇気と情熱と決断力のパワーではないでしょうか。

今 日本神道は神ながらに来るべき21世紀に向けて言霊の国 日本国家の安泰と皇室の繁栄、そして日本人と世界の人々の幸福を願うものです。

祭神

有馬稲荷神社の祭神は以下の通りです。

【本宮】

・稲倉魂命(ウガノミタマ):稲荷大神
 → 当社においては、有馬行幸の守護神として勧請された

【奥宮】

・古長大神(フルオサオオカミ):射場山の守護神とされる
・恒長大神(ツネナガオオカミ):同上

境内社

人文研究見聞録:有馬稲荷神社 [兵庫県]

有馬稲荷神社の境内社は以下の通りです。


・淡嶋神社:粟島大神、大宮姫大神、白霊大神を祀る
・湯山稲荷神社:大島豊永大神を祀る

境内の見どころ

石段下の鳥居

人文研究見聞録:有馬稲荷神社 [兵庫県]

有馬稲荷神社の石段下の鳥居です。

石段の前には遥拝所が設置されています。

石段

人文研究見聞録:有馬稲荷神社 [兵庫県]

有馬稲荷神社の石段です。

荷物を運ぶためのレールと荷車が設置された石段となっています。

石段上の鳥居

人文研究見聞録:有馬稲荷神社 [兵庫県]

有馬稲荷神社の石段上の鳥居です。

この先には、非常に長い参道が続いています。

拝殿

人文研究見聞録:有馬稲荷神社 [兵庫県]

有馬稲荷神社の拝殿です。

神木

人文研究見聞録:有馬稲荷神社 [兵庫県]

有馬稲荷神社にある神木です。

境内からの景色

人文研究見聞録:有馬稲荷神社 [兵庫県]

有馬稲荷神社の境内からは有馬温泉街が一望できます。

料金: 無料
住所: 兵庫県神戸市北区有馬町1745(マップ
営業: 終日開放
交通: 有馬温泉駅(徒歩20分)

公式サイト: http://www006.upp.so-net.ne.jp/arimainari/index.html
matapon
著者: matapon Twitter
「日本神話」を研究しながら日本全国を旅しています。旅先で発見した文化や歴史にまつわる情報をブログ記事まとめて紹介していきたいと思っています。少しでも読者の方々の参考になれば幸いです。