人文研究見聞録:有馬温泉 [兵庫県]

兵庫県神戸市にある有馬温泉(ありまおんせん)です。

日本最古といわれる温泉であり、塩分と鉄分を多く含む黄金色の湯が湧き出ていることで知られています。


概要

人文研究見聞録:有馬温泉 [兵庫県]
金泉(赤泉)

有馬温泉は『日本書紀』にも記されるほど古い歴史を持つ温泉であり、道後温泉(愛媛県)・白浜温泉(和歌山県)と共に日本三古湯の一つに数えられています。

泉質は含鉄塩化物泉・放射能泉・炭酸泉の3種類あり、黄金色のものは金泉、透明色のものは銀泉と呼ばれています。なお、それぞれに多くの効能があり、公衆浴場で安価で入湯できるようになっています。

名物には炭酸水を使用した炭酸煎餅炭酸饅頭サイダーなどがあります。また、温泉の周辺には神社仏閣および景勝地などの多くの観光スポットがあり、国内外の観光客で賑わっています。

歴史

人文研究見聞録:有馬温泉 [兵庫県]
三羽烏のオブジェ

案内板や伝説などによれば、有馬温泉は神代に大己貴命(オオナムチ)少彦名命(スクナヒコナ)の二神が発見したことに始まり、古くから皇族や貴族などに愛された温泉で、安土桃山時代には特に豊臣秀吉に愛されていたとされています。

下記に"案内板による解説""有馬温泉の年表"をまとめましたので、参考にしてみてください。

【有馬温泉の歴史】

有馬温泉の歴史は古く、神代の昔、大己貴命(オオナムチ)と少彦名命(スクナヒコナ)の二神が、三羽の傷ついた烏(カラス)が湧き出した泉で傷を癒やしているのを見つけて温泉を発見したのが始まりだといわれております。

『日本書紀』にも、舒明天皇(631年)や孝徳天皇(647年)が御幸したとの記述があり、日本最古の温泉といわれております。

有馬温泉が世に広く知られるようになったのは、奈良時代に行基菩薩が温泉寺を建立し、また、鎌倉時代には仁西上人が十二の寝坊を建ててからといわれ、さらに太閤秀吉公は、湯治のためにたびたび有馬を訪れ、戦乱や大火で衰退した有馬の改修を行い、湯山御殿(太閤の湯殿館に湯船の遺構が現存)を建てました。

江戸時代になってからは、その効能により全国でも評判の湯治場となった有馬には多くの人々が湯治に訪れ、有馬千軒といわれる繁栄をするに至り、その繁栄は今日の礎となっております。


【有馬の歴史年表】

・神 代:大己貴命・少彦名命の二神が、烏の入湯を見て有馬温泉を発見する
・ 631年:舒明天皇が有馬温泉に入湯する
・ 647年:孝徳天皇が有馬温泉に入湯する
・ 724年:僧・行基が有馬温泉を再興し、温泉寺などの寺院を建立する
・ 759年:坂上郎女が有馬山の歌を詠む
・ 927年:延喜式神名帳に湯泉神社が列せられる
・ 978年:有馬天神社が建立される
・ 997年:和泉式部が入湯する
・1001年:清少納言が枕草子にありまの湯をあげる
・1097年:大洪水・山津波によって有馬温泉が荒廃する
・1128年:白河法皇が入湯する
・1175年:後白河法皇が建春門院と共に有馬に入湯する
・1191年:僧・仁西が有馬温泉を再興する
・1200年:藤原定家が入湯する
・1385年:足利義満が入湯する
・1461年:足利義政が入湯する
・1483年:本願寺蓮如が入湯する
・1517年:足利義稙が入湯する
・1576年:大火災によって有馬が荒廃する
・1579年:織田信長の出陣に伴い、秀吉が有馬郡に道を造る
・1583年:秀吉が入湯する
・1596年:慶長伏見地震によって有馬の湯が熱湯になる、秀吉によって温泉場が再興される
・1695年:大火災によって温泉寺、極楽寺などが炎上する
・1773年:大火災によって湯泉神社、温泉寺薬師堂、極楽寺などが炎上する
・1805年:伊能忠敬が入湯する
・1836年:天保の大飢饉によって有馬の戸数が半減する
・1874年:神戸大阪間の鉄道の開通によって入湯客が増える、梶木源治郎が炭酸水を発見する
・1883年:一之湯・二之湯の区別が廃止され、湯女もなくなる
・1899年:六甲山鳴動地震によって温泉の温度が上がる
・1900年:サイダー製造のための有馬鉱泉合資会社が設立される
・1908年:炭酸煎餅ができる
・1915年:ラジウム温泉を発見する
・1928年:神戸電鉄開通
・1938年:阪神大水害によってラジウム温泉が流出する
・1950年:天神泉源を掘る、後に極楽泉源、御所泉源、妬泉源を掘る
・1970年:六甲有馬ロープウェーが開通
・1995年:阪神淡路大震災によって被害を受ける

※太閤の湯殿館の年表参照

泉質

人文研究見聞録:有馬温泉 [兵庫県]
銀泉と金泉

有馬温泉には3種類の温泉が湧き出ており、黄金色のものを金泉、透明色のものを銀泉と呼ぶとされています。

・金泉(赤湯)
 ・含鉄塩化物泉:塩分と鉄分を多く含む黄金色の温泉で、保湿効果が高く、殺菌作用がある
・銀泉
 ・放射能泉:ラジウムを多く含む透明色の温泉で、ガスの吸入によって自然治癒力を高める
 ・炭酸水素塩泉:炭酸を多く含む透明色の温泉で、毛細血管を拡張させて血行を良くする

泉源

人文研究見聞録:有馬温泉 [兵庫県]
天神泉源
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有明泉源
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太閤泉
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妬泉源
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極楽泉源
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御所泉源
人文研究見聞録:有馬温泉 [兵庫県]
炭酸泉源

有馬温泉には7ヶ所の泉源があります(場所はGoogleMapで見られます)。

・天神泉源:金泉源で、有馬天神社の境内にある
・有明泉源:金泉源(私有地にあるため、直接観光することはできない)
・太閤泉:銀泉源で、金の湯の外にある無料の飲泉場となっている
・妬泉源:金泉源で、湯の量は少ないが 自分の悪口を言って罵ると湧くと云われている
・極楽泉源:金泉源で、秀吉が願い事を言って湧き出させたことから「願いの湯」とも呼ばれる
・御所泉源:金泉源で、妬泉源から湧き出た金泉は御所泉源を通って各旅館に運ばれる
・炭酸泉源:銀泉源で、炭酸水が飲める飲泉場がある

観光地一覧

人文研究見聞録:有馬温泉 [兵庫県]
太閤像
人文研究見聞録:有馬温泉 [兵庫県]
ねね像
人文研究見聞録:有馬温泉 [兵庫県]
ねね橋
人文研究見聞録:有馬温泉 [兵庫県]
行基像

有馬温泉地区の観光地をまとめました。


【観光スポット】

・太閤像:豊臣秀吉の像
・ねね像:北政所(ねね)の像
・ねね橋
・行基像:行基菩薩の像

【外湯】

金の湯金泉が楽しめる公衆浴場
銀の湯銀泉が楽しめる公衆浴場

【神社】

湯泉神社有馬温泉を発見した大己貴命・少彦名命の二神を温泉の守護神として祀った古社
有馬天神社北野天満宮から勧請した天神社であり、境内に天神泉源がある
有馬稲荷神社飛鳥時代に創建された古い歴史を持つ稲荷神社
・滝本神社
・湯山稲荷大明神
・増冨稲荷神社
雪國稲荷神社明治時代に創建された稲荷神社
水天神社(あなむちの神地)太古に大巳貴命・少彦名命の二神が降臨した伝えられる場所

【寺院】

善福寺奈良時代に行基によって創建された寺院
念仏寺室町時代に岌誉によって創建された寺院
極楽寺飛鳥時代に聖徳太子によって創建された寺院
温泉寺奈良時代に行基によって創建された寺院
林渓寺安土桃山時代に池之坊法順によって創建された寺院
亀乃尾不動尊境内に亀乃尾滝という観光スポットがある

【博物館】

太閤の湯殿館秀吉の湯治施設であった湯山御殿の跡地に建てられた博物館
・温泉寺御祖師庵
・有馬玩具博物館:世界のオモチャが見られる博物館
・有馬切手文化博物館:国内で今までに発行された切手が見られる博物館

【巨石・磐座】

袂石湯泉神社の祭神にまつわる伝説を持つ巨石
仏座巌江戸時代に日政によって命名された巨石
天狗岩愛宕山の山頂に位置する巨岩

【景勝地】

・有馬四十八滝:紅葉谷・白石谷にある滝群の総称で、冬季には樹氷や霧氷が見られる
・紅葉谷:六甲山地にある谷で、紅葉の名所として知られる
地獄谷かつて噴出した炭酸ガスで多くの鳥や虫が死んだとされる地帯

【名物】

炭酸煎餅有馬の炭酸泉を使用して焼き上げられた煎餅
・炭酸饅頭:有馬の炭酸泉にザラメを加えて作られた饅頭
・金泉焼:アンコの入った薄い餅を醤油で焼き上げた和菓子
・有馬サイダー:有馬の炭酸泉を使用したサイダーで、日本のサイダーの発祥とされる

料金: 無料
住所: 兵庫県神戸市北区有馬町(マップ
交通: 有馬温泉駅、阪急バス、JRバス ほか

公式サイト: http://www.arima-onsen.com/
matapon
著者: matapon Twitter
「日本神話」を研究しながら日本全国を旅しています。旅先で発見した文化や歴史にまつわる情報をブログ記事まとめて紹介していきたいと思っています。少しでも読者の方々の参考になれば幸いです。